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45. あの時はマリッジブルーだったから

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45. あの時はマリッジブルーだったから



 そして翌日。怜奈は朝早くから友達の家にお泊まり勉強会をしに家を出ていく。出かける前の怜奈の顔はニヤついていた。あとでボコそう。

 聖菜さんはお昼過ぎに来るらしい。いきなり誘ったのに了承してくれたのは、やっぱり愛されてるからだと思いたい。

 そんなこんなでお昼過ぎになり、インターホンが鳴る。そこには夏らしく涼しげな格好をした聖菜さんがいた。今日の聖菜さんは黒か……本当にエロいな。

「こんにちは優斗くん」

「おっおう。上がって」

 聖菜さんはニコッと笑いながら「お邪魔します」と言って家に上がる。とりあえずリビングに案内して飲み物を用意することにする。

 実は今日はある目的がある。せっかく聖菜さんとお付き合い出来たのだから、今日は聖菜さんから未来のことをいっぱい聞こう!というのが目的のお泊まり会にしたい。決してやましいことが目的ではない。ここは手初めに軽くボケとくか。

「今日も暑いな」

「うん。夏って感じだよね」

「聖菜さんはビールでいい?」

「こらこら。身体は未成年だよ。お昼から酔わせてどうするつもりなのかな」

「未来の聖菜さんはお酒飲むの?」

「たまにね。ちなみに優斗君はお酒弱いよ。すぐに酔っぱらうし」

「それは酔った勢いを演出してるんだよ」

「なるほど。そしたら何回かまんまと騙されたのかもしれないね?」

 ちょっと意地悪な笑みを浮かべて聖菜さんは笑う。その笑顔はとても可愛い。

「あのさ聖菜さん」

「なにかな」

「オレと聖菜さんの愛の結晶のこと聞きたいな」

「なんか言い方がイヤらしいなぁ」

「葵と愛梨だよね名前」

「うん。優斗君が好きなゲームのキャラクターの名前だよね。あの日私が病院から帰ってきて、お腹のなかの子供は双子で女の子って話したら、優斗君がいきなりそう言ってきてさ。あの時の顔は今でも覚えてるよ。すっごい嬉しそうな顔してた」

「ほう。未来のオレは意外に自己主張が強くなっていると」

「変わらないと思うよ。今も」

「そうかな?」

「ふふ。優斗君が自己主張しないのはエッチなことだけだよ。それ以外はきちんと自分の意見言ってるよ?」

 聖菜さんはクスッと笑ってから飲み物を一口飲む。当たっているから何とも言えない。

「葵は運動神経抜群の明るくて活発な子。愛梨は勉強が出来て気遣いができる優しい子なんだ」

「それ本当にオレの子?なんか似てないんだけど」

「あの時はマリッジブルーだったから……」

「ハンカチ取ってくるか」

「ふふ。何枚か持ってきたほうがいいんじゃない。1枚じゃ足りないかもよ?」

 また聖菜さんはクスクスといつものように笑ってオレをからかってくる。

「童貞の嫉妬心を煽ると大変なことになるよ」

「もしかして無理矢理されちゃうのかな?」

「かもね」

「ほう。優斗君に無理矢理されるのもそれはそれで新鮮かもね」

「聖菜さんって変態なの?」

「え?私、結構変態だよ。知らなかった?」

「肯定しないように」

 まったく。聖菜さんには敵わないよな。でも聖菜さんは本当に『タイムリープ』してるんだろうな。そのあとも未来のオレの事、双子の子供の葵と愛梨の話を嬉しそうに話してくれる聖菜さん。

 オレがその2人に出会うのはまだ先の未来の話だけど、それでもオレは未来の自分が羨ましく思えた。
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