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77. 全然は失礼じゃない
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77. 全然は失礼じゃない
文化祭当日。普段は勉学を励むこの学校で今日明日だけはお祭り騒ぎである。各クラスでは屋台を出し、そして何と言っても目玉となるのが2日目最後の校庭でのキャンプファイアだろう。
オレたちのクラスはメイド喫茶をしているが、当然オレは裏方だ。クラスの女子がメイド服を身にまとい接客をしている中、オレはひたすら皿洗いに追われていた。
午前中は客足もまばらだったが、午後になると一気にお客さんが増えてきた。そしてピークを迎えようとしている。
聖菜さんはニコニコしながら注文を受けている。聖菜さん目当てにやってくる男子生徒が後を絶たない。そう思うと聖菜さんって人気あるんだな。それに男子生徒の視線を浴びても動じていない。
西城さんも相変わらず男子からの熱い視線を浴びせられている。一番の理由は胸が大きいからだろうけど。そりゃ見ちゃうよなあれは。
東雲さんも意外にも人気があるようだ。クールビューティーな雰囲気がいいらしい。聖菜さんのことになるとヤバいけど。
昼になり、ようやく一息つける。聖菜さんと休憩を取りたかったけど、順番なので仕方ない。そこに東雲さんがやってくる。
「お疲れ様。東雲さん。お茶飲むか?」
「は?なに……一体何が目的なの?」
「目的?」
「あなたも私の事をバカにするんでしょ?可愛くない女がメイドなんかやるなよとか」
「なんでそんなこと言われてんだよ……オレはそんなこと思ってないし」
「そう……ならもらってあげるわ」
そう言ってオレが渡した紙コップに入ったお茶を飲む。このひねくれ具合もどうかと思うし。黙ってれば本当に美人なんだけどなこの人。
「……おいしいわね。ありがとう」
「ああ」
素直に感謝するのかい。そしてまた沈黙の時間が流れる。東雲さんってやっぱり無口だな。というよりオレのこと嫌いなんだろうな……すると東雲さんは少し微笑みながら話し出す。
「あなたって本当に変な人ね」
「そうか?」
「私はあなたのこと毛嫌いしてると思うんだけど?」
「そんな気はしてるけど」
「それでも平然と話しかけてくるし」
「そりゃクラスメートで聖菜さんの親友だからな」
そう言うと何故か驚いたような表情をする東雲さん。すると再び沈黙の時間が2人の間を流れる。オレたちって友達まではいかないけど一応知り合いじゃないのか?こういう時に話題とか全く思いつかないオレがいる。
そう思っていたとき、東雲さんのスマホが鳴る。画面を見てみるとどうやら電話らしく、オレに軽く頭を下げてから廊下に出る東雲さん。そして少ししてから戻ってきた東雲さんは少しだけ嬉しそうな表情をしていた。
「なんか良いことあったのか?」
「え?どうして?」
「いや……嬉しそうな顔してたからだけど」
「あなた……どれだけ私のこと見てるのよ?まさか……私の下着の色とか身体とか想像して……」
そういうわけじゃないんだが。ただ普段の冷たい印象とは違ったから気になっただけだ。
「聖菜に言いつけるわよ!」
「いや。勘弁してくれ!それは東雲さんの勘違いだろう!」
「勘違いされるのが悪いじゃないの!普段から彩音のことをそうやって見てるあなたが悪いんでしょ!」
「見てないぞ!」
オレと東雲さんがそんな会話をしている中、タイミング悪く聖菜さんがやってくる。本当にこの人『もってる』よな。
「あれ優斗君と舞子ちゃんってそんなに仲良かったんだ……」
「聖菜!?これは違うのよ!神坂君が私を性的な目で見てきて……」
「待て待て!それは誤解だぞ!全然見てないよオレは?」
「全然は失礼じゃない!私だって女子なのよ!」
「ならオレにどうしろと?」
「ふふ。どっちにしても2人が仲良いということだね。」
「聖菜?」
「聖菜さん?」
不敵な笑みを浮かべてその場から立ち去る聖菜さん。オレはこの時悟った。このチャッカマンは敵だと。
文化祭当日。普段は勉学を励むこの学校で今日明日だけはお祭り騒ぎである。各クラスでは屋台を出し、そして何と言っても目玉となるのが2日目最後の校庭でのキャンプファイアだろう。
オレたちのクラスはメイド喫茶をしているが、当然オレは裏方だ。クラスの女子がメイド服を身にまとい接客をしている中、オレはひたすら皿洗いに追われていた。
午前中は客足もまばらだったが、午後になると一気にお客さんが増えてきた。そしてピークを迎えようとしている。
聖菜さんはニコニコしながら注文を受けている。聖菜さん目当てにやってくる男子生徒が後を絶たない。そう思うと聖菜さんって人気あるんだな。それに男子生徒の視線を浴びても動じていない。
西城さんも相変わらず男子からの熱い視線を浴びせられている。一番の理由は胸が大きいからだろうけど。そりゃ見ちゃうよなあれは。
東雲さんも意外にも人気があるようだ。クールビューティーな雰囲気がいいらしい。聖菜さんのことになるとヤバいけど。
昼になり、ようやく一息つける。聖菜さんと休憩を取りたかったけど、順番なので仕方ない。そこに東雲さんがやってくる。
「お疲れ様。東雲さん。お茶飲むか?」
「は?なに……一体何が目的なの?」
「目的?」
「あなたも私の事をバカにするんでしょ?可愛くない女がメイドなんかやるなよとか」
「なんでそんなこと言われてんだよ……オレはそんなこと思ってないし」
「そう……ならもらってあげるわ」
そう言ってオレが渡した紙コップに入ったお茶を飲む。このひねくれ具合もどうかと思うし。黙ってれば本当に美人なんだけどなこの人。
「……おいしいわね。ありがとう」
「ああ」
素直に感謝するのかい。そしてまた沈黙の時間が流れる。東雲さんってやっぱり無口だな。というよりオレのこと嫌いなんだろうな……すると東雲さんは少し微笑みながら話し出す。
「あなたって本当に変な人ね」
「そうか?」
「私はあなたのこと毛嫌いしてると思うんだけど?」
「そんな気はしてるけど」
「それでも平然と話しかけてくるし」
「そりゃクラスメートで聖菜さんの親友だからな」
そう言うと何故か驚いたような表情をする東雲さん。すると再び沈黙の時間が2人の間を流れる。オレたちって友達まではいかないけど一応知り合いじゃないのか?こういう時に話題とか全く思いつかないオレがいる。
そう思っていたとき、東雲さんのスマホが鳴る。画面を見てみるとどうやら電話らしく、オレに軽く頭を下げてから廊下に出る東雲さん。そして少ししてから戻ってきた東雲さんは少しだけ嬉しそうな表情をしていた。
「なんか良いことあったのか?」
「え?どうして?」
「いや……嬉しそうな顔してたからだけど」
「あなた……どれだけ私のこと見てるのよ?まさか……私の下着の色とか身体とか想像して……」
そういうわけじゃないんだが。ただ普段の冷たい印象とは違ったから気になっただけだ。
「聖菜に言いつけるわよ!」
「いや。勘弁してくれ!それは東雲さんの勘違いだろう!」
「勘違いされるのが悪いじゃないの!普段から彩音のことをそうやって見てるあなたが悪いんでしょ!」
「見てないぞ!」
オレと東雲さんがそんな会話をしている中、タイミング悪く聖菜さんがやってくる。本当にこの人『もってる』よな。
「あれ優斗君と舞子ちゃんってそんなに仲良かったんだ……」
「聖菜!?これは違うのよ!神坂君が私を性的な目で見てきて……」
「待て待て!それは誤解だぞ!全然見てないよオレは?」
「全然は失礼じゃない!私だって女子なのよ!」
「ならオレにどうしろと?」
「ふふ。どっちにしても2人が仲良いということだね。」
「聖菜?」
「聖菜さん?」
不敵な笑みを浮かべてその場から立ち去る聖菜さん。オレはこの時悟った。このチャッカマンは敵だと。
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