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50. 心理テストのような類いのものはだいたい何かしら当たるようになっている
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50. 心理テストのような類いのものはだいたい何かしら当たるようになっている
8月も半ば。灼熱の夏休みはまだまだ容赦なく続いている。今日は、そろそろ本格的にやらないとマズい夏休みの宿題をやっている。机に向かいノートと睨めっこする。冷房の効いた部屋は快適だが、気分は重い。
もちろん当たり前のようにソファーの上で、スマホをいじっている小さな茶髪の塊も部屋にいるけどな。こいつがここにいるせいで、集中力が削がれるのは分かっているが今更追い出すこともできない。というか宿題やれよ。
しばらく黙々と宿題をこなしていると、白石がスマホから顔を上げた。そしてオレに話しかけてくる。
「う~ん……先輩。休憩してゲームしましょうよ!レースゲーム!」
「は?さっき休憩したばかりだろ?それにもう飽きたよ、レースゲームは」
もう、あのゲームは見るのも嫌だ。宿題を終わらせたい。それに今はゲームをしている場合じゃない。
「だって、それくらいしか先輩に勝てないんだもん!ねぇ先輩、やりましょうよぉ~」
白石は、珍しく少しだけしょんぼりした声で言った。レースゲームなら勝てる。だからやりたいのだろう。だが、だからといって、オレがやりたくないものをお前に付き合ってやる義理はない。
「だからやらないって言ってるだろ?黙って宿題をやれ」
「むぅ……あっそうだ!それなら心理テストやりましょ!昨日面白いサイトを見つけたんです!」
白石は、急に声を弾ませて新しい提案をしてきた。心理テスト? どうせくだらない内容のネットに転がっているようなものだろうが。だが、ここで完全に無視すればこいつはさらに面倒なこと言ってオレの宿題を邪魔してくるかもしれない。少し付き合ってやるか。そう思い宿題から目を離し、白石の方を向いた。
「1回だけだからな?」
「さすが先輩!私ってば愛されてます!」
本当にウザいよなこいつ。そんなことを考えながらも、白石の言ったサイトを開くことにする。
「このサイトでいいのか?」
「はい。よしっ、準備完了です!」
そのスマホの画面には、大きめの文字で『あなたの性格診断』と書かれている。よくあるネットの心理テストサイトだ。
「なんだこれ。50問もあるじゃねぇかよ……すごく面倒なんだが……」
「私もやるのでいいじゃないですか!」
仕方ない。こうなったら早く終わらせて、宿題に戻るしかない。オレはそのサイトを開き、問題を読み始めた。白石も、自分のスマホで同じサイトを開いている。
最初の問題は『好きな人と結ばれている夢を見たとき、あなたはその人にどんな感情を抱きますか?』というものだ。
これは……普通に考えたら、恋愛関係にある相手と結ばれている夢を見たということだよな? 結ばれるという言葉に、妙に意識してしまう。そして「好きな人」。誰を思い浮かべればいいんだ。妙な想像をしてしまう。
しかも、相手はあの白石だし……いやいや白石じゃなくていいだろ!なんで白石を思い浮かべるんだよ!何考えてんだよオレは!自分の思考に自分でパニックになる。
「あれ?先輩、顔赤いですよ?結ばれるって……変な意味じゃないですからね?」
「うるせぇ!わ、わかってるよ!」
オレは、白石の視線から逃れるように、顔を逸らした。そして、それ以上白石を無視して問題を読み進めていった。他の問題もなんだか妙なものばかりだ。深層心理とか言われてもよく分からない。だが早く終わらせたい一心で、適当に答えを選んでいく。
―――20分後―――――
ようやく、50問全ての問題に答え終わった。白石も、ほぼ同じタイミングで終わったらしい。
「終わりました!入力終わりましたか先輩?見せてください!」
白石が、興奮した様子で言った。そして、オレのスマホを覗き込もうとする。
「ああ。これでいいんだろ?ほら診断しろ」
「最初は先輩のを……どれどれ……ふむふむ。読みますね。 なるほど!あなたは……ズバリ、真面目な人ですね!」
「まあ、無難だな」
「というのは外面的な話です」
白石はそこで一旦言葉を切り、ニヤリと笑った。嫌な予感がする。
「あなたの内面は、すごく近くの女の子が大好きで、愛しく思っているのです。 それはもう、色々なことをしたいくらいに独占欲があります」
白石は楽しそうに一字一句噛みしめながら、オレの内面診断の結果を読み上げた。その言葉を聞いた瞬間、オレは全身が硬直した。は?なんだって?近くの女の子が大好きで愛しく思っている?色々なことをしたい?独占欲?
「は? いやいや何言ってんだよお前!そんなわけあるはずないだろうが!それ合ってねぇぞ!」
オレは、慌てて否定した。これは間違っている。絶対に間違っている。こんな診断信じられるか!
「動揺しすぎですよ?おやおや、顔真っ赤にしちゃって可愛いですね先輩は?私のこと、そんな風に思ってるんですか?」
白石はオレの動揺を見て、さらに楽しそうに言った。顔が赤い?可愛い?私のこと、そんな風に思ってる?全てがオレを追い詰める言葉だ。
くそっ。こんな心理テスト、誰が作ったんだ。なんでこんな核心を突くような、そして否定しにくいような結果が出るんだ。なんて厄介な心理テストなんだよ。これじゃあ全然勉強できねぇぞ……心理テストのせいで頭の中が混乱している。
「ちなみに……先輩の近くの女の子は私ですか?それとも違う誰かですか?んん?」
白石は、オレの動揺をさらに煽るように、直接的に聞いてきた。そして人をからかう時の含みのある「んん?」を付け加える。うぜぇ……
ダメだ。こいつ完全に調子乗ってやがる。このままだと、どこまで追い詰められるか分からない。ここは反撃するしかない。オレは、白石からスマホを取り返し、今度は白石の診断結果を見てやることにした。
お前だけが恥をかくと思うなよ、白石。オレが受けた屈辱をお前にも味わせてやる。
「黙れ。お前の見せろ」
「はい。どうぞ」
「おい白石よく聞け。お前の答えはこれだ」
オレは、画面に表示された白石の診断結果を読み上げた。そこにはこう書かれていた。
『あなたは自分の理想の異性を自分の思い通りにしたくて仕方がないタイプでしょう。 異性に対しての支配力が強い傾向があります。 そしてすごく愛情を注ぐタイプでもあります』
「は?」
「ほら、私の合ってますよ!やっぱり先輩も……」
「オレのは合ってねぇからな!こんな下らないことやってないで宿題やれよ!」
オレは、最後の抵抗としてそう叫んだ。オレの内面はそんなんじゃない。白石のことなんて大好きでも愛しくも思ってないし、独占欲もない!
結局、オレは心理テストの診断結果によって散々な思いをした。そして、その心理テストのせいで頭の中が完全に混乱し、宿題どころではなくなってしまった。白石は、ケラケラと笑いながらオレの反応を楽しんでいる。
全く、どこまでもオレを困らせる奴だ。そして心理テストの結果は本当に合っていなかったのか?オレの心の中の白石に対する感情は……
それは、まだ自分自身にもはっきりとは分からない、複雑なものだった。心理テストの結果は否定したが、その言葉がどこか心の奥底に引っかかっているようなそんな気がした。
8月も半ば。灼熱の夏休みはまだまだ容赦なく続いている。今日は、そろそろ本格的にやらないとマズい夏休みの宿題をやっている。机に向かいノートと睨めっこする。冷房の効いた部屋は快適だが、気分は重い。
もちろん当たり前のようにソファーの上で、スマホをいじっている小さな茶髪の塊も部屋にいるけどな。こいつがここにいるせいで、集中力が削がれるのは分かっているが今更追い出すこともできない。というか宿題やれよ。
しばらく黙々と宿題をこなしていると、白石がスマホから顔を上げた。そしてオレに話しかけてくる。
「う~ん……先輩。休憩してゲームしましょうよ!レースゲーム!」
「は?さっき休憩したばかりだろ?それにもう飽きたよ、レースゲームは」
もう、あのゲームは見るのも嫌だ。宿題を終わらせたい。それに今はゲームをしている場合じゃない。
「だって、それくらいしか先輩に勝てないんだもん!ねぇ先輩、やりましょうよぉ~」
白石は、珍しく少しだけしょんぼりした声で言った。レースゲームなら勝てる。だからやりたいのだろう。だが、だからといって、オレがやりたくないものをお前に付き合ってやる義理はない。
「だからやらないって言ってるだろ?黙って宿題をやれ」
「むぅ……あっそうだ!それなら心理テストやりましょ!昨日面白いサイトを見つけたんです!」
白石は、急に声を弾ませて新しい提案をしてきた。心理テスト? どうせくだらない内容のネットに転がっているようなものだろうが。だが、ここで完全に無視すればこいつはさらに面倒なこと言ってオレの宿題を邪魔してくるかもしれない。少し付き合ってやるか。そう思い宿題から目を離し、白石の方を向いた。
「1回だけだからな?」
「さすが先輩!私ってば愛されてます!」
本当にウザいよなこいつ。そんなことを考えながらも、白石の言ったサイトを開くことにする。
「このサイトでいいのか?」
「はい。よしっ、準備完了です!」
そのスマホの画面には、大きめの文字で『あなたの性格診断』と書かれている。よくあるネットの心理テストサイトだ。
「なんだこれ。50問もあるじゃねぇかよ……すごく面倒なんだが……」
「私もやるのでいいじゃないですか!」
仕方ない。こうなったら早く終わらせて、宿題に戻るしかない。オレはそのサイトを開き、問題を読み始めた。白石も、自分のスマホで同じサイトを開いている。
最初の問題は『好きな人と結ばれている夢を見たとき、あなたはその人にどんな感情を抱きますか?』というものだ。
これは……普通に考えたら、恋愛関係にある相手と結ばれている夢を見たということだよな? 結ばれるという言葉に、妙に意識してしまう。そして「好きな人」。誰を思い浮かべればいいんだ。妙な想像をしてしまう。
しかも、相手はあの白石だし……いやいや白石じゃなくていいだろ!なんで白石を思い浮かべるんだよ!何考えてんだよオレは!自分の思考に自分でパニックになる。
「あれ?先輩、顔赤いですよ?結ばれるって……変な意味じゃないですからね?」
「うるせぇ!わ、わかってるよ!」
オレは、白石の視線から逃れるように、顔を逸らした。そして、それ以上白石を無視して問題を読み進めていった。他の問題もなんだか妙なものばかりだ。深層心理とか言われてもよく分からない。だが早く終わらせたい一心で、適当に答えを選んでいく。
―――20分後―――――
ようやく、50問全ての問題に答え終わった。白石も、ほぼ同じタイミングで終わったらしい。
「終わりました!入力終わりましたか先輩?見せてください!」
白石が、興奮した様子で言った。そして、オレのスマホを覗き込もうとする。
「ああ。これでいいんだろ?ほら診断しろ」
「最初は先輩のを……どれどれ……ふむふむ。読みますね。 なるほど!あなたは……ズバリ、真面目な人ですね!」
「まあ、無難だな」
「というのは外面的な話です」
白石はそこで一旦言葉を切り、ニヤリと笑った。嫌な予感がする。
「あなたの内面は、すごく近くの女の子が大好きで、愛しく思っているのです。 それはもう、色々なことをしたいくらいに独占欲があります」
白石は楽しそうに一字一句噛みしめながら、オレの内面診断の結果を読み上げた。その言葉を聞いた瞬間、オレは全身が硬直した。は?なんだって?近くの女の子が大好きで愛しく思っている?色々なことをしたい?独占欲?
「は? いやいや何言ってんだよお前!そんなわけあるはずないだろうが!それ合ってねぇぞ!」
オレは、慌てて否定した。これは間違っている。絶対に間違っている。こんな診断信じられるか!
「動揺しすぎですよ?おやおや、顔真っ赤にしちゃって可愛いですね先輩は?私のこと、そんな風に思ってるんですか?」
白石はオレの動揺を見て、さらに楽しそうに言った。顔が赤い?可愛い?私のこと、そんな風に思ってる?全てがオレを追い詰める言葉だ。
くそっ。こんな心理テスト、誰が作ったんだ。なんでこんな核心を突くような、そして否定しにくいような結果が出るんだ。なんて厄介な心理テストなんだよ。これじゃあ全然勉強できねぇぞ……心理テストのせいで頭の中が混乱している。
「ちなみに……先輩の近くの女の子は私ですか?それとも違う誰かですか?んん?」
白石は、オレの動揺をさらに煽るように、直接的に聞いてきた。そして人をからかう時の含みのある「んん?」を付け加える。うぜぇ……
ダメだ。こいつ完全に調子乗ってやがる。このままだと、どこまで追い詰められるか分からない。ここは反撃するしかない。オレは、白石からスマホを取り返し、今度は白石の診断結果を見てやることにした。
お前だけが恥をかくと思うなよ、白石。オレが受けた屈辱をお前にも味わせてやる。
「黙れ。お前の見せろ」
「はい。どうぞ」
「おい白石よく聞け。お前の答えはこれだ」
オレは、画面に表示された白石の診断結果を読み上げた。そこにはこう書かれていた。
『あなたは自分の理想の異性を自分の思い通りにしたくて仕方がないタイプでしょう。 異性に対しての支配力が強い傾向があります。 そしてすごく愛情を注ぐタイプでもあります』
「は?」
「ほら、私の合ってますよ!やっぱり先輩も……」
「オレのは合ってねぇからな!こんな下らないことやってないで宿題やれよ!」
オレは、最後の抵抗としてそう叫んだ。オレの内面はそんなんじゃない。白石のことなんて大好きでも愛しくも思ってないし、独占欲もない!
結局、オレは心理テストの診断結果によって散々な思いをした。そして、その心理テストのせいで頭の中が完全に混乱し、宿題どころではなくなってしまった。白石は、ケラケラと笑いながらオレの反応を楽しんでいる。
全く、どこまでもオレを困らせる奴だ。そして心理テストの結果は本当に合っていなかったのか?オレの心の中の白石に対する感情は……
それは、まだ自分自身にもはっきりとは分からない、複雑なものだった。心理テストの結果は否定したが、その言葉がどこか心の奥底に引っかかっているようなそんな気がした。
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