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拡大魔法
「これから拡大魔法の授業を始める。魔力の強さとコントロールによって、この石の大きさは変わってくる」
そう説明すると先生はすぐに俺を呼んだ。
「月森、やってみてくれるか」
「はい」
「石よ、我に従え」
そう言うと石は紫の光を帯始め、空中に浮いた。
どのくらいの大きさにしようか……。そう言えばこの間父さんが山の洞窟のひとつに封印魔法かけてきたって言ってたな。あの穴を塞いでしまおうか。
洞窟の穴の大きさをイメージして目の前の石を大きくする。
「おお……すげー」
「さすが月森様……」
皆の声が上がったところでようやくイメージ通りの岩が出来上がった。
「月森、もういいよ。で、これどうするつもりだ?」
「あ、これは……」
そう言いながら魔法陣を描く。そして魔法陣に収まった岩を前に軽く指を鳴らす。
静まり返った空気にパチンっと音が響いて一瞬のうちに消えた。
「えぇどこへ飛ばしたのですかっ」
「月森っ」
先生も少し焦っているようだ。
「安心してください。先日父が封印魔法をかけた洞窟の穴をあの岩でふさいだだけです」
そうか、と先生が一言漏らすとまたどっと歓声が上がった。
こんなの朝飯前だ。なんたって拡大魔法なんか物心つく前から何百回と唱えてきた。今更こんな魔法なんて口に出さずとも大きさを変えられる。
俺 月森双夜は、伝説の英雄と謳われた影の魔法使い月森誠一郎を先祖にもつ月森家百三代目の長男。月森家と言えば、誰もが「大魔法使い家系」だと言う。
伝説の五人の大魔法使いが作ったとされる国が今の五か国である。
一つ目がここ魔法学院もある《月の国》。影を司る魔法を得意とし、また王家の譲りの戦力は未だ健在している。そしてその大魔法使いというのが、俺の先祖、月森誠一郎である。とは言っても月の国は王家の領域内であるため、この国の王はかつての王の血筋が継いでいる。
二つ目が《太陽の国》。火を司る魔法を得意とする魔法使いが多くいる。大魔法使いの中でも一番優秀であった火の使い手がこの地を治めた。
三つ目は《空の国》。彼らが使う風を司る魔法はあの日、禁断の魔法と王の闇の魔法の衝突時の爆風にも負けず、大魔法使いの一人の風の使い手の防御魔法によってあの場にいた魔法使いたちは飛ばされずに済んだのだった。
四つ目は《大地の国》。この国の魔法使いは水はもちろん、天候をも司る。自然の守り神とも言われている彼らの作り上げた国には、たくさんの精霊が住んでいる。
五つ目は存在するかどうかさえ謎である《星の国》。幻の国とも呼ばれている。何の魔法を使うかさえも分からない。
◇◇◇
「聞いたぞ、またやってくれたんだって?」
「何の話?」
「拡大魔法だよ。それに魔法陣で洞窟の穴までふさいだそうじゃん」
こいつは水平雷羅。中等部からの知り合いで今でも一緒にいる。言えば親友というやつだろうか。
「ま、雷羅には無理ね。双夜様ほどのコントロールないもの」
そう言って横を通り過ぎたのは雷羅の幼馴染みの坂谷芽衣。
「……話に入ってくるなよ」
あーあ、また始まるよ。やめてほしいなあ、雲行きがあやしくなるから。
火花を散らす二人をなんとかなだめる。二人は大地の国の出身だから、天候を司る魔法を得意とする。そんな二人の喧嘩はいつだって雨雲を呼んでしまうんだよね。
フンっと雷羅から顔を背けた芽衣は、俺に一礼したあと、教室棟へ行ってしまった。
「なんなんだ、あいつ……」
そう言ったか言い終わらないかのうちに、また雷羅が口を開いた。
「双夜、これっ!」
そう説明すると先生はすぐに俺を呼んだ。
「月森、やってみてくれるか」
「はい」
「石よ、我に従え」
そう言うと石は紫の光を帯始め、空中に浮いた。
どのくらいの大きさにしようか……。そう言えばこの間父さんが山の洞窟のひとつに封印魔法かけてきたって言ってたな。あの穴を塞いでしまおうか。
洞窟の穴の大きさをイメージして目の前の石を大きくする。
「おお……すげー」
「さすが月森様……」
皆の声が上がったところでようやくイメージ通りの岩が出来上がった。
「月森、もういいよ。で、これどうするつもりだ?」
「あ、これは……」
そう言いながら魔法陣を描く。そして魔法陣に収まった岩を前に軽く指を鳴らす。
静まり返った空気にパチンっと音が響いて一瞬のうちに消えた。
「えぇどこへ飛ばしたのですかっ」
「月森っ」
先生も少し焦っているようだ。
「安心してください。先日父が封印魔法をかけた洞窟の穴をあの岩でふさいだだけです」
そうか、と先生が一言漏らすとまたどっと歓声が上がった。
こんなの朝飯前だ。なんたって拡大魔法なんか物心つく前から何百回と唱えてきた。今更こんな魔法なんて口に出さずとも大きさを変えられる。
俺 月森双夜は、伝説の英雄と謳われた影の魔法使い月森誠一郎を先祖にもつ月森家百三代目の長男。月森家と言えば、誰もが「大魔法使い家系」だと言う。
伝説の五人の大魔法使いが作ったとされる国が今の五か国である。
一つ目がここ魔法学院もある《月の国》。影を司る魔法を得意とし、また王家の譲りの戦力は未だ健在している。そしてその大魔法使いというのが、俺の先祖、月森誠一郎である。とは言っても月の国は王家の領域内であるため、この国の王はかつての王の血筋が継いでいる。
二つ目が《太陽の国》。火を司る魔法を得意とする魔法使いが多くいる。大魔法使いの中でも一番優秀であった火の使い手がこの地を治めた。
三つ目は《空の国》。彼らが使う風を司る魔法はあの日、禁断の魔法と王の闇の魔法の衝突時の爆風にも負けず、大魔法使いの一人の風の使い手の防御魔法によってあの場にいた魔法使いたちは飛ばされずに済んだのだった。
四つ目は《大地の国》。この国の魔法使いは水はもちろん、天候をも司る。自然の守り神とも言われている彼らの作り上げた国には、たくさんの精霊が住んでいる。
五つ目は存在するかどうかさえ謎である《星の国》。幻の国とも呼ばれている。何の魔法を使うかさえも分からない。
◇◇◇
「聞いたぞ、またやってくれたんだって?」
「何の話?」
「拡大魔法だよ。それに魔法陣で洞窟の穴までふさいだそうじゃん」
こいつは水平雷羅。中等部からの知り合いで今でも一緒にいる。言えば親友というやつだろうか。
「ま、雷羅には無理ね。双夜様ほどのコントロールないもの」
そう言って横を通り過ぎたのは雷羅の幼馴染みの坂谷芽衣。
「……話に入ってくるなよ」
あーあ、また始まるよ。やめてほしいなあ、雲行きがあやしくなるから。
火花を散らす二人をなんとかなだめる。二人は大地の国の出身だから、天候を司る魔法を得意とする。そんな二人の喧嘩はいつだって雨雲を呼んでしまうんだよね。
フンっと雷羅から顔を背けた芽衣は、俺に一礼したあと、教室棟へ行ってしまった。
「なんなんだ、あいつ……」
そう言ったか言い終わらないかのうちに、また雷羅が口を開いた。
「双夜、これっ!」
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