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意識≒無意識
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しおりを挟む「何をこそこそしているんですか貴方は」
呆れの溜息と共に頭の上に乗せていた教科書を取り除かれ、ガッツリと茶々さんの顔が視界いっぱいに映った途端。
「ひっ……」
だなんて悲鳴じみた声をあげたもんだから、ピクリ、と茶々さんの眉間に一筋のシワが寄せられる。
「ひ?」
「いやっ、なんでも! なんでもないです! ええ本当になんでも!!」
しまった、と慌てて取り繕う様に言って両手をバタバタとふった。隣ではどうしたのよあんた、と恵が訝しげな目で俺をみてくる。
「挨拶、しようと思ったんですけどなんか真面目な話してたんで。また今度にしようかな~って……」
思って、と最後の言葉はブツブツと独り言の様に小さくなっていく。
そのまま次の言葉をなんて続けていいかわからず、俯いたまま黙りこんでしまう。ちょうど下校の時刻と重なってしまっていて、教室を出ていこうとする生徒達が好奇な目で横を通り過ぎていくのが、なんか居心地悪い。
「別に挨拶の一つに何時間もかかるわけではないでしょう。もし私がテレビ局のプロデューサーやスタッフだったらどうします? 大事な話をしていたからと挨拶もせずに通り過ぎるのですか貴方は」
「べっ、別にそういう意味じゃ……っ」
「もし木本さんが貴方の担当するタレントだったらきっとその場で得られるはずだった仕事がなくなっていたかもしれない。例えここが学校だとしても、マネージャーたるもの一時の気も抜いてはダメですよ」
「……はい、すみませんでした」
あれ、なんで俺怒られてるんだ?
確かに何も言わずに帰ろうとしたのは悪かったかも知れないけどそこまで言われる事か?
ふと生まれた疑問に、今度は俺の眉間にシワがよった。俯いてたから茶々さん側からは見えなかった様だけど、横にいた恵にはしっかり見えてたみたいで「まぁまぁ」と助け舟をだしてくれた。
「きっと気を使ってくれたのよねさかえちゃん。あたしが横から口出されるの嫌いなの知ってるから。口出す度に黙れ犯すぞって脅してたからね。やぁねぇ、もう冗談なのに~」
うふふ、と俺に抱き着いてグリグリと頬ずりをしてくる。それをうざったそうに横目で睨んでみるけど、でも振り払ったりはしなかった。
「今日はこれくらいで許してあげてくださいよ茶々副理事長。あたしの顔に免じて」
ね、とウィンクのオマケまでつけてくれる。流石の茶々さんもそれ以上何かをいう気にならなかった様で「そうですね」と短く息をついた。
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