異世界ハードモード!〜持ってるチートスキルが使えなくても強くなれる剣士として努力を続けようと思います!〜

ちょっと黒い筆箱

文字の大きさ
7 / 135
第1章 魔法使いしかいない世界

第7話 二人とギルドと初戦闘②

しおりを挟む
――流石に建物の中でドンパチやるのはまずいと言う事で、俺達はギルドの前にある広場で戦う事になった。

 ”魔法が使えない冒険者志望の男女がBランク冒険者と戦う“という話題は瞬く間に拡がり、見物人が凄いことになっていた。

「ヒヒッ! とっととパンナ様に平伏しておけば痛い目を見ずに済んだのになあ男野郎!」

「パンナ様にあの女は負ける。それにお前は俺達に負ける!」

「黙れ下っ端AB。起こしたくない揉め事起こされて俺ちょっと怒ってるんだよ......」

 ヤリナ&モクナ(下っ端AB)VS俺。

「フッ......可愛い女の子に手を出すのはいつも気が引けるなぁ......手加減してやろう」

「本気でくから、死なないように頑張んなさい」

 パンナVSホノラ。

――――

 「怒ってるだァ!? 魔法すら使えない雑魚が俺達二人にどうやって勝つって言うんだよぉ!」

 下っ端Aが吠え、杖を懐から取り出す。先端に石のようなものが付いた、30cm程の木の棒だ。

「俺の故郷には『弱い犬程よく吠える』って言葉があるんだよ。腰巾着風情がイキんな」

 俺も刀を構える。今回は殺し合いでは無いので両者戦闘準備を整えてからの開始だ。

「誰が腰巾着だァ!? 一撃で終わらせてやる! 【中位岩石魔法・尖石大散弾ストーンフルバースト】!!」

「いけぇモクナ! ミンチにしちまえぇ!!」

 尖った石の塊が俺めがけて無数に放たれる。恐らく範囲攻撃系の魔法だが、俺のいる部分に範囲を狭めることによって逃げ場を無くした感じか? 色々と考えられているところは腐ってもBランク冒険者という事だろうか

『その通り~!』

〈うおっびっくりした! ナマコ神様急に出てこないでくれよ!〉

『いやあ心配でね! それでどうするの?』

〈俺はグレンの元で5年間修行した。何も闇雲に木刀を振っていた訳じゃないって事だよ〉

『? どういう事?』

〈元の世界で俺の親父は俺に剣術を教えてくれた事があったんだ。最も親父と俺とじゃ動きの次元が違いすぎてその時はすぐに諦めたんだけど、今は剣士として冒険者になるって目標がある......だから取り敢えず見様見真似で頑張って鍛錬したんだよ、そしたら――〉

『そしたら?』

「まあ見てろって――」

「なっ!? お前いつの間に俺達の足元に!?」

「魔法使いだもんなぁ! 接近戦は弱いよなぁ!?」

 俺はちょっと本気で走って下っ端の懐に潜り込んだ。そんな経験は初めてだったようで、二人はすぐに反応する事が出来ない。

「速すぎ――!」

双連そうれんダーマ

「ガッ.......!」

 二人は捉える事すらできなかったであろう高速の2連撃がその首を刈り取り、下っ端ABはその場に崩れ落ちた。

「峰打ちだから、多分死んではいないだろ......」

「うぉぉぉぉ! すげぇぜ兄ちゃん!」

「今のが魔法無し!? ホントか!?」

「いや、インチキに決まってる!」

 疑念や羨望、様々な思いの乗った歓声が降り注ぐ。

 めっっっっちゃいい気分!

――さて、ホノラ達の方は......

「な......ヤリナとモクナがこんな男にやられるとは......」

「アンタも似たような目にあわせてあげるわ!」

 なんとビックリまだ始まってすらいなかった! いやまぁコッチが数秒で終わったから当然といえば当然なのだが。

「おーいホノラー! とっとと終わらせて、飯でも食べて帰ろうぜー!」

「良いわよ! ギルドの中の酒場、ご飯美味しいらしいから、そこで食べま――――」

「ハッ! この俺の前で余所見とはいい度胸だなぁ! 服でも燃やして辱めを受けさせてやる! 喰らえ!!!! 【上位溶岩魔法・死で別つ恋路デッドエンド・ラヴァー】!!!!」

 地面から吹き上がる三本の溶岩の柱がホノラに襲いかかる。しかも上位魔法とは...よく知らないが、その名前と目の前の惨状から察するにこのパンナも相当な実力者のようだ。って感心してる場合じゃねぇ! これホノラ相当やばいん
じゃ――――

「あっついわね!」

 ボゴン!

 ホノラは襲いかかる溶岩柱を拳圧で吹き飛ばした。え、なんで?

「そんなバカな――!」

 いやほんとにそんなバカなだよ! 上位魔法とか言う聞くだけで凄そうな魔法を殴ってかき消すとかそんなバカな話あってたまるかってんだ!

 ホノラはもう二本の柱も同じように吹き飛ばし、ズンズンとパンナの真正面まで近付いた。

「じゃあマツルは耐えられた267発、耐えられるか試してみましょ?」

「ま、待――!」

「いーち!」

「ぅおごうぬっ!」

 綺麗なボディーブローがパンナの腹に命中する。パンナは一瞬宙に浮き上がった後、その場にうずくまってしまった。

「ま......待ってくれホノラちゃん! 俺もう降参だ――」

「駄目。にーい!」

「ぅべいっ!!!!」

 今度は脇腹に蹴りが入る。一撃目ではギリギリ意識を保っていたパンナもこれで完璧に気を失ってしまった。

 えぐい......俺が喰らってたのもうちょっと優しかったよな......愛ってやつだな。きっと。

「マツル、そっちに転がってる下っ端ABもちょうだい」

「ん? おう......」

 ホノラは一体何を始める気なんだ?
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

異世界で魔法が使えない少女は怪力でゴリ押しします!

ninjin
ファンタジー
病弱だった少女は14歳の若さで命を失ってしまった・・・かに思えたが、実は異世界に転移していた。異世界に転移した少女は病弱だった頃になりたかった元気な体を手に入れた。しかし、異世界に転移して手いれた体は想像以上に頑丈で怪力だった。魔法が全ての異世界で、魔法が使えない少女は頑丈な体と超絶な怪力で無双する。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

過労死して転生したら『万能農具』を授かったので、辺境でスローライフを始めたら、聖獣やエルフ、王女様まで集まってきて国ごと救うことになりました

黒崎隼人
ファンタジー
過労の果てに命を落とした青年が転生したのは、痩せた土地が広がる辺境の村。彼に与えられたのは『万能農具』という一見地味なチート能力だった。しかしその力は寂れた村を豊かな楽園へと変え、心優しきエルフや商才に長けた獣人、そして国の未来を憂う王女といった、かけがえのない仲間たちとの絆を育んでいく。 これは一本のクワから始まる、食と笑い、もふもふに満ちた心温まる異世界農業ファンタジー。やがて一人の男のささやかな願いが、国さえも救う大きな奇跡を呼び起こす物語。

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

処理中です...