異世界ハードモード!〜持ってるチートスキルが使えなくても強くなれる剣士として努力を続けようと思います!〜

ちょっと黒い筆箱

文字の大きさ
88 / 135
第6章 灰の反逆

第87話 5F〜ホノラの喧嘩〜sideホノラ①

しおりを挟む
 マツルは私に感謝の言葉を述べつつ上へと続く階段を登って行った。

「じゃあ始めるか女!......よく見たら女って見てくれでもねぇな......ガキじゃねえか」

 主に私の胸とお尻をまじまじと見つめながら小声で呟く目の前の男。

「どこ見て言ってんのよ!! ぶっ飛ばすわよ!?」

 なーんて口先では言っているけど、内心ちょっとブチギレているだけよ。ちょっとだけね。

 多分あのロック? とかいう私の相手は容姿に関して言われた事で怒りに身を任せて突撃していると思っているでしょうね! 
 でも私は冷静! グレン師匠から教わったエネルギーのコントロールを完璧にやる! 私が冷静に一撃を叩き込むのを悟られないように......悟っても回避出来ないように、一蹴りで懐へ潜り込む!

「はぁぁぁぁぁッ!!!!」

「あー......一時の激情に身を任せるとこうなるぜ? ROCK INロッキン......」

 私の拳は勢いを残したままロックの鳩尾数センチの所で完全に静止していた。

 私の瞬間最高速度に反応した上で対策も取れるなんてコイツ! どんな反射神経してるの!?
 すぐに距離を取らないと――

 私はここで身体に起こる異変に気が付いた。

「ッ!? 体が!?」

 体が微塵も動かないのだ。まるで空気に縛り付けられたかのような感覚で身動きが取れない......迂闊だった......これが恐らくロックの魔法ね。

「これがアンタの魔法? か弱い女の子を動けなくするなんていい趣味してるじゃない!」

「女の子にそういう睨むような目で見られるのに俺ァ弱いんだよなぁ......その通り、俺の魔法は【施錠魔法】つってな。物と物を施錠し、くっつけ、固める事ができるんだよ」

「相手の動きを制限できるのは便利ね......特に私みたいな近接特化なタイプはこれだけで何も出来なくなって勝負が決まる......」

「わかってるじゃねえか。それならとっとと降参しておけ。幾ら本気の戦いが好きだと言っても一方的に子供をいたぶる趣味はねぇんだよ。だから――」

「誰が降参なんて言ったの?......誰がこの状況になったら負けって言ったの? この状況が“施錠”によって起きた事象なら、鍵を壊せば良いじゃない!!!!」

 全身のエネルギーを高速で巡らせる!! もっと強く!! もっと速く!! 

「無駄だぜ......魔法はそう簡単に解けねえから強いんだ。幾らもがこうとしても解けることは無い!」

「うるさい真っ黒サングラス!! 無駄かどうかは私が決める! フングァァァァァァッ!!!!」

 次の瞬間、砕けるような音と共に自分の体が自由になるのが分かった。

「はぁっ!?」

 ビビり散らかした顔しちゃって、そんなに驚いたのかしらね?

「見たかムキムキサングラス!! これが私よ!! 分かったら大人しく戦いなさい!!」

「ああ......すまなかったホノラ! 俺と一緒に! 最高の時間を過ごそうや!!!!」

ROCK IN ARMロッキン・アーム

 ロックのただでさえ太く、剛力を備えていそうな腕が施錠魔法で更に太く、硬くなった。

筋肉パワーでのタイマンの方がホノラは良さそうな顔してるからな! コレで戦りあおうじゃねぇか!!」

「ありがとうロック。はぁぁぁぁぁ.......」

 集中......

 全身に巡るエネルギーを感じて...全てをロックを殴り倒す。その一点のみに注ぐイメージ......

「ハッ!!!!」

 出来た? かな? 全身に今までの比じゃないエネルギーが供給されるのを感じる......ようやく形を感じれた気がするわ!“闘気”!!

「おお......それがお前の本気か......先程とは桁違いの威圧感をその小さな体から出して......良い!! 凄く良い!!」

 どこか別の世界から聞こえたような爆発音が、私たち二人の戦闘開始の合図ゴングとなった。
 二箇所の床が同時に吹き飛び、拳と拳が激突する。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

異世界で魔法が使えない少女は怪力でゴリ押しします!

ninjin
ファンタジー
病弱だった少女は14歳の若さで命を失ってしまった・・・かに思えたが、実は異世界に転移していた。異世界に転移した少女は病弱だった頃になりたかった元気な体を手に入れた。しかし、異世界に転移して手いれた体は想像以上に頑丈で怪力だった。魔法が全ての異世界で、魔法が使えない少女は頑丈な体と超絶な怪力で無双する。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

過労死して転生したら『万能農具』を授かったので、辺境でスローライフを始めたら、聖獣やエルフ、王女様まで集まってきて国ごと救うことになりました

黒崎隼人
ファンタジー
過労の果てに命を落とした青年が転生したのは、痩せた土地が広がる辺境の村。彼に与えられたのは『万能農具』という一見地味なチート能力だった。しかしその力は寂れた村を豊かな楽園へと変え、心優しきエルフや商才に長けた獣人、そして国の未来を憂う王女といった、かけがえのない仲間たちとの絆を育んでいく。 これは一本のクワから始まる、食と笑い、もふもふに満ちた心温まる異世界農業ファンタジー。やがて一人の男のささやかな願いが、国さえも救う大きな奇跡を呼び起こす物語。

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

処理中です...