異世界ハードモード!〜持ってるチートスキルが使えなくても強くなれる剣士として努力を続けようと思います!〜

ちょっと黒い筆箱

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第6章 灰の反逆

第86話 4F〜ロージーの計画〜sideロージー②

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「何をするつもりだ......オレは負けた......さっさと殺せばいい」

 回復され、最低限の生命維持機能が戻ったとはいえ、ダメージの残るクープは掠れた声で呟く。

「ところがそうもいかないんだよね~......ほら、僕って目立ちたがり屋でしょ? だからこういう影で暗躍! みたいな事滅多にしないから今の内にやれる事やっておきたいんだよね~」

 何をされるかは分からないが、楽に死ねない事は確かだ。クープは恐怖で心が埋め尽くされてしまった。
 無様な姿を晒してでもここから逃げなければならない。動きの悪い体を芋虫のように動かしロージーから距離を取ろうとする。
 しかし逃げられる筈もなかったのだった。

「ダメだよクープ君......逃げようとしちゃあ......でも準備は出来たね! 始めようか」

――――

「クープ君は、元気な身体に回復魔法をかけ続けるとどうなるか知ってるかな?」

 身体を完全に固定され、猿轡をされたクープは首を横に振る。

「じゃあ折角だし君の身体で試してみようか!【上位回復魔法 過剰回復反応オーバーヒール】」

 クープの身体はみるみるうちに回復し、部位の欠損すらも完全に修復された。

「ムグゥ!?!?」

 身体の損傷が完全に回復して少しすると、クープはビクリと跳ねた。
 体温の急激な上昇、それに伴う発汗、瞳孔は極限まで開いて、全身の器官が脳に危険の信号を送る。

「回復魔法ってね、かけ続けると体が崩壊するんだよ? 体の至る所がボロボロと崩れて.....すごく良い音が鳴るんだ! 今回は特別に! 死にゆく君にも僕の聴覚を【共有】して君の体が崩れる音を聞いてみようね!」

 クープの感覚に、自分の体が崩れる音が響き続ける。これが自分の意識が無くなるまで聞こえると思うと発狂しなければ正気を保てそうになかった。だが口も封じられている今、それも満足に出来ない。

 パキパキ、パリパリ、ポロポロという音が聞こえなくなった時、クープはようやく終わったのだと心の底から安堵した。

 クープだった物は、魔人であるにも関わらず世界に残り続けた。

――――

「ふぅ、勝った勝った! 後は......ちょうど良くクープ君だった物が残ってるから、折角だし使わせて貰おうか」

 ロージーはクープだった物の周りに自身の血で魔法陣を描き、ポケットに入れてあった本を取り出した。

「久しぶりだからこれで合ってたっけ......【冥界の住人よ、依代の元、我の契約に参上したまえ悪魔召喚サモナイズ・デーモン】」

 すると魔法陣は黒い光を放ち、クープだった物は新たな住人が住まう為の肉体として再構築された。

 そこに跪いたのは、一人の男型の悪魔だった。

召喚主様マスター、この度は召喚して頂き誠にありがとうございます。して、契約というのは如何致しましょう」

 その悪魔は全身が黒で統一されていたが、瞳のみが深海のような蒼色をしていた。

「あ、細かいこと考えてなってった.....えっと! 僕の下で自分が悪魔だと言う事を隠して働く事! あと召喚主様マスターじゃなくて、”ギルドマスター“とか、“ロージーさん”とかって呼んで! それで対価は――」

「いいえロージーさん。対価などこの肉体で十分でございます......」

 早速呼び方が変わり、真面目だなぁとロージーは感心した。

「あ、そうなの? じゃあそういう感じで! 確か悪魔同士は同族が分かるって話だから、他の同族とも仲良くね! 後固すぎる敬語もナシ!」

「了解しました」

 ここでロージーは話を終わらせマツルやニシュラブの所へ行こうとしたのだがここで重大な問題が発覚してしまった。

「......名前、どうしようか」

「私は......名が貰えるなら正直なんでも嬉しいです......」

「何でもがいちばん困る~! えーっと......――――」


――魔王城4階 
    ロージーVSクープ

         ロージーの勝利――
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