111 / 135
第6章 灰の反逆
第111話 それぞれの日常へ
しおりを挟む
「ほぉーう......俺が黙ってたばっかりに大変な事になってたんだなぁ! ガッハッハッ!!」
「まじで笑い事じゃねぇよぉ......何回死にかけたか分かんねぇんだぞ!!」
俺達はガブリエーラさんとロージー、リインを報告の為ノヴァーリスへ送った後、何事も無かったかのように元通りになっているサラバンドへ帰ってきたのだった。
「本当に兄ちゃん達には申し訳ない事をしたと思ってるぞ? でもレオノラ殿が黙っとけって言うから仕方なくな?......」
「その点はもうレオノラから聞いた」
レオノラは処刑や騎士団長の職を降りる覚悟で王に面会したそうだが......
『しかし、そなた達の働きによって国民は無事。何も責めることはあるまい』
と、一切の責任を問われることは無く今まで通りの席に復帰したそうだ。あの二頭身マスコットみたいな王様は結構良い人みたいだ。
「でも俺、言ってくれたら協力したのになぁ......ねぇメツセイ?」
「よし! よぉしわかった! 詫びだ詫び! 今日は俺が奢ってやる!」
「その言葉を待ってたんだよ! 俺今金欠なんだよ!! まじ許す!」
「ゲンキンな奴め......イントリーグさん! 一番高価い酒とツマミ持ってきてぇ!」
「ハッ!!!! メツセイ殿! 我々も騙した事......忘れてないよな?」
「さすがパンナ様だぜ! キッチリと借りを返してもらおうと言う人情!」
「男...いや漢と呼ばせてくれパンナ様!!」
「「パンナ! あそれパッンッナ!」」
「三馬鹿は本当にいつもいつもタイミングが良いな......分かった、今日の所は俺が払っ――――」
「私達はちゃんと自分で払います!! あなた達はよく皆さんに迷惑かけてたのですから小さい事でネチネチ言わない方が男が上がると思いませんか?」
「ハッ!! それは本当なのかコリン!!」
「少なくとも私はそういう殿方が好きですわね」
「確かに! コリンの姉御の言う通りだぜ!」
「これ以上男が上がったらパンナ様どうなっちまうんだ!?」
「あそれパッンッナ! アッネッゴ!!」
「じゃぁ私達もこの店で一番高価い酒飲むわよォ!!」
「「「おーーーー!」」」
「......なんだ!? 三馬鹿の奴ら、また“女狩り”始めたのか!?」
空いた口の塞がらないメツセイがコソコソと俺に情報を求めてくる。
「いや、そういうんじゃ無いんだ......」
コリンはなぜか、本当になぜだか全く分からないのだがパンナ達のパーティに入る事になったのだった。
『この人はなんだか私が居ないとダメな気がして......』
とコリンは話していた。
まぁロージーは許可出してたし仲良くやれてそうだし俺の関知する所では無いのである。
ちなみにロックとはインキクセー湿原で別れたのだった。
『俺は一人で自分の足りない所を見つめ直す。今度あった時はもっと強くなってるから楽しみにしてろよ!』
そう言い残して俺たちとは反対の方向へと向かって行った。
「――それであんな美人なネーチャンが......こりゃパンナはもしかするかもな」
「もしかするって......アイツに限ってそんな――」
ふと三馬鹿プラスワンのテーブルを見てみると、とても仲が良さそうに、明るくそして暖かい笑顔で食事を楽しんでいた。
「もしか......するのか......?」
そうなったらその時考えよう! うん! それが一番いい!
「すみませんお待たせしましたメツセイさんにマツルさん! マツルさんにはこれ、お酒が飲めないと聞いたのでサービスです!」
イントリーグさんから渡されたのはガラス細工のような、色とりどりの飴の入ったドリンクだ。
カラフルな飴細工がドリンクに柔らかな甘みを混ぜ込みとても美味しい!
「美味しい!」
「ですよね~。これ、試作品なんですけど中の飴細工に秘密があって、最近卸し始めたんです。なんでも売りに来てくれる小さな兄妹の妹さんが魔法で作ってるらしくて、マツルさんに最初に食べて欲しいって目をこの飴みたいにキラキラさせて言うんです!」
「へぇ~。じゃあその子達に、とっても綺麗で、とっても美味しかったぜ! って伝えてください!」
「兄ちゃんだけずりぃなぁ~。俺も一口だけで良いから欲しいなぁ~」
「メツセイさんはちゃんとメニューに並んでから頂いて下さいよ? あの兄妹からもう一人先に食べて欲しいって言う方を聞いているんですから!」
「もう一人?」
「その方はホノラさんです! という事で出来立てを頂いて欲しいのでマツルさんから渡して頂けませんか?」
そうイントリーグさんから手渡された紙袋の中に入っていたのは飴細工の入ったクリームサンドであった。こちらもとても美味しそうである。
「ありがとうございます。渡しておきますね」
「――そういえば兄ちゃん、嬢ちゃんは今日一緒じゃねぇんだな」
「ああ、今日ホノラはお兄ちゃんと一緒に晩メシだ......つまり俺は空気を読んだって訳よ!」
こうなる前から俺はホノラとレオノラが一緒にいる所を見た事がなかった。きっと、これが良い機会になるだろう。
こうして夜はふけ、俺達は日常へと戻って行く。二度と元には戻らない大きなうねりに気が付くのは、もう少し後の話である。
「まじで笑い事じゃねぇよぉ......何回死にかけたか分かんねぇんだぞ!!」
俺達はガブリエーラさんとロージー、リインを報告の為ノヴァーリスへ送った後、何事も無かったかのように元通りになっているサラバンドへ帰ってきたのだった。
「本当に兄ちゃん達には申し訳ない事をしたと思ってるぞ? でもレオノラ殿が黙っとけって言うから仕方なくな?......」
「その点はもうレオノラから聞いた」
レオノラは処刑や騎士団長の職を降りる覚悟で王に面会したそうだが......
『しかし、そなた達の働きによって国民は無事。何も責めることはあるまい』
と、一切の責任を問われることは無く今まで通りの席に復帰したそうだ。あの二頭身マスコットみたいな王様は結構良い人みたいだ。
「でも俺、言ってくれたら協力したのになぁ......ねぇメツセイ?」
「よし! よぉしわかった! 詫びだ詫び! 今日は俺が奢ってやる!」
「その言葉を待ってたんだよ! 俺今金欠なんだよ!! まじ許す!」
「ゲンキンな奴め......イントリーグさん! 一番高価い酒とツマミ持ってきてぇ!」
「ハッ!!!! メツセイ殿! 我々も騙した事......忘れてないよな?」
「さすがパンナ様だぜ! キッチリと借りを返してもらおうと言う人情!」
「男...いや漢と呼ばせてくれパンナ様!!」
「「パンナ! あそれパッンッナ!」」
「三馬鹿は本当にいつもいつもタイミングが良いな......分かった、今日の所は俺が払っ――――」
「私達はちゃんと自分で払います!! あなた達はよく皆さんに迷惑かけてたのですから小さい事でネチネチ言わない方が男が上がると思いませんか?」
「ハッ!! それは本当なのかコリン!!」
「少なくとも私はそういう殿方が好きですわね」
「確かに! コリンの姉御の言う通りだぜ!」
「これ以上男が上がったらパンナ様どうなっちまうんだ!?」
「あそれパッンッナ! アッネッゴ!!」
「じゃぁ私達もこの店で一番高価い酒飲むわよォ!!」
「「「おーーーー!」」」
「......なんだ!? 三馬鹿の奴ら、また“女狩り”始めたのか!?」
空いた口の塞がらないメツセイがコソコソと俺に情報を求めてくる。
「いや、そういうんじゃ無いんだ......」
コリンはなぜか、本当になぜだか全く分からないのだがパンナ達のパーティに入る事になったのだった。
『この人はなんだか私が居ないとダメな気がして......』
とコリンは話していた。
まぁロージーは許可出してたし仲良くやれてそうだし俺の関知する所では無いのである。
ちなみにロックとはインキクセー湿原で別れたのだった。
『俺は一人で自分の足りない所を見つめ直す。今度あった時はもっと強くなってるから楽しみにしてろよ!』
そう言い残して俺たちとは反対の方向へと向かって行った。
「――それであんな美人なネーチャンが......こりゃパンナはもしかするかもな」
「もしかするって......アイツに限ってそんな――」
ふと三馬鹿プラスワンのテーブルを見てみると、とても仲が良さそうに、明るくそして暖かい笑顔で食事を楽しんでいた。
「もしか......するのか......?」
そうなったらその時考えよう! うん! それが一番いい!
「すみませんお待たせしましたメツセイさんにマツルさん! マツルさんにはこれ、お酒が飲めないと聞いたのでサービスです!」
イントリーグさんから渡されたのはガラス細工のような、色とりどりの飴の入ったドリンクだ。
カラフルな飴細工がドリンクに柔らかな甘みを混ぜ込みとても美味しい!
「美味しい!」
「ですよね~。これ、試作品なんですけど中の飴細工に秘密があって、最近卸し始めたんです。なんでも売りに来てくれる小さな兄妹の妹さんが魔法で作ってるらしくて、マツルさんに最初に食べて欲しいって目をこの飴みたいにキラキラさせて言うんです!」
「へぇ~。じゃあその子達に、とっても綺麗で、とっても美味しかったぜ! って伝えてください!」
「兄ちゃんだけずりぃなぁ~。俺も一口だけで良いから欲しいなぁ~」
「メツセイさんはちゃんとメニューに並んでから頂いて下さいよ? あの兄妹からもう一人先に食べて欲しいって言う方を聞いているんですから!」
「もう一人?」
「その方はホノラさんです! という事で出来立てを頂いて欲しいのでマツルさんから渡して頂けませんか?」
そうイントリーグさんから手渡された紙袋の中に入っていたのは飴細工の入ったクリームサンドであった。こちらもとても美味しそうである。
「ありがとうございます。渡しておきますね」
「――そういえば兄ちゃん、嬢ちゃんは今日一緒じゃねぇんだな」
「ああ、今日ホノラはお兄ちゃんと一緒に晩メシだ......つまり俺は空気を読んだって訳よ!」
こうなる前から俺はホノラとレオノラが一緒にいる所を見た事がなかった。きっと、これが良い機会になるだろう。
こうして夜はふけ、俺達は日常へと戻って行く。二度と元には戻らない大きなうねりに気が付くのは、もう少し後の話である。
0
あなたにおすすめの小説
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
異世界で魔法が使えない少女は怪力でゴリ押しします!
ninjin
ファンタジー
病弱だった少女は14歳の若さで命を失ってしまった・・・かに思えたが、実は異世界に転移していた。異世界に転移した少女は病弱だった頃になりたかった元気な体を手に入れた。しかし、異世界に転移して手いれた体は想像以上に頑丈で怪力だった。魔法が全ての異世界で、魔法が使えない少女は頑丈な体と超絶な怪力で無双する。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
過労死して転生したら『万能農具』を授かったので、辺境でスローライフを始めたら、聖獣やエルフ、王女様まで集まってきて国ごと救うことになりました
黒崎隼人
ファンタジー
過労の果てに命を落とした青年が転生したのは、痩せた土地が広がる辺境の村。彼に与えられたのは『万能農具』という一見地味なチート能力だった。しかしその力は寂れた村を豊かな楽園へと変え、心優しきエルフや商才に長けた獣人、そして国の未来を憂う王女といった、かけがえのない仲間たちとの絆を育んでいく。
これは一本のクワから始まる、食と笑い、もふもふに満ちた心温まる異世界農業ファンタジー。やがて一人の男のささやかな願いが、国さえも救う大きな奇跡を呼び起こす物語。
異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件
さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ!
食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。
侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。
「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」
気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。
いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。
料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる