異世界ハードモード!〜持ってるチートスキルが使えなくても強くなれる剣士として努力を続けようと思います!〜

ちょっと黒い筆箱

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第6章 灰の反逆

第111話 それぞれの日常へ

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「ほぉーう......俺が黙ってたばっかりに大変な事になってたんだなぁ! ガッハッハッ!!」

「まじで笑い事じゃねぇよぉ......何回死にかけたか分かんねぇんだぞ!!」

 俺達はガブリエーラさんとロージー、リインを報告の為ノヴァーリスへ送った後、何事も無かったかのように元通りになっているサラバンドへ帰ってきたのだった。

「本当に兄ちゃん達には申し訳ない事をしたと思ってるぞ? でもレオノラ殿が黙っとけって言うから仕方なくな?......」

「その点はもうレオノラから聞いた」

 レオノラは処刑や騎士団長の職を降りる覚悟で王に面会したそうだが......

『しかし、そなた達の働きによって国民は無事。何も責めることはあるまい』

 と、一切の責任を問われることは無く今まで通りの席に復帰したそうだ。あの二頭身マスコットみたいな王様は結構良い人みたいだ。

「でも俺、言ってくれたら協力したのになぁ......ねぇメツセイ?」

「よし! よぉしわかった! 詫びだ詫び! 今日は俺が奢ってやる!」

「その言葉を待ってたんだよ! 俺今金欠なんだよ!! まじ許す!」

「ゲンキンな奴め......イントリーグさん! 一番高価い酒とツマミ持ってきてぇ!」

「ハッ!!!! メツセイ殿! 我々も騙した事......忘れてないよな?」

「さすがパンナ様だぜ! キッチリと借りを返してもらおうと言う人情!」

「男...いや漢と呼ばせてくれパンナ様!!」

「「パンナ! あそれパッンッナ!」」

「三馬鹿は本当にいつもいつもタイミングが良いな......分かった、今日の所は俺が払っ――――」

「私達はちゃんと自分で払います!! あなた達はよく皆さんに迷惑かけてたのですから小さい事でネチネチ言わない方が男が上がると思いませんか?」

「ハッ!! それは本当なのかコリン!!」

「少なくとも私はそういう殿方が好きですわね」

「確かに! コリンの姉御の言う通りだぜ!」

「これ以上男が上がったらパンナ様どうなっちまうんだ!?」

「あそれパッンッナ! アッネッゴ!!」

「じゃぁ私達もこの店で一番高価い酒飲むわよォ!!」

「「「おーーーー!」」」

「......なんだ!? 三馬鹿の奴ら、また“女狩り”始めたのか!?」

 空いた口の塞がらないメツセイがコソコソと俺に情報を求めてくる。

「いや、そういうんじゃ無いんだ......」

 コリンはなぜか、本当になぜだか全く分からないのだがパンナ達のパーティに入る事になったのだった。

『この人はなんだか私が居ないとダメな気がして......』

 とコリンは話していた。
 
 まぁロージーは許可出してたし仲良くやれてそうだし俺の関知する所では無いのである。

 ちなみにロックとはインキクセー湿原で別れたのだった。

『俺は一人で自分の足りない所を見つめ直す。今度あった時はもっと強くなってるから楽しみにしてろよ!』

 そう言い残して俺たちとは反対の方向へと向かって行った。

「――それであんな美人なネーチャンが......こりゃパンナはもしかするかもな」

「もしかするって......アイツに限ってそんな――」

 ふと三馬鹿プラスワンのテーブルを見てみると、とても仲が良さそうに、明るくそして暖かい笑顔で食事を楽しんでいた。

「もしか......するのか......?」

 そうなったらその時考えよう! うん! それが一番いい!

「すみませんお待たせしましたメツセイさんにマツルさん! マツルさんにはこれ、お酒が飲めないと聞いたのでサービスです!」

 イントリーグさんから渡されたのはガラス細工のような、色とりどりの飴の入ったドリンクだ。

 カラフルな飴細工がドリンクに柔らかな甘みを混ぜ込みとても美味しい!

「美味しい!」

「ですよね~。これ、試作品なんですけど中の飴細工に秘密があって、最近卸し始めたんです。なんでも売りに来てくれる小さな兄妹の妹さんが魔法で作ってるらしくて、マツルさんに最初に食べて欲しいって目をこの飴みたいにキラキラさせて言うんです!」

「へぇ~。じゃあその子達に、とっても綺麗で、とっても美味しかったぜ! って伝えてください!」

「兄ちゃんだけずりぃなぁ~。俺も一口だけで良いから欲しいなぁ~」

「メツセイさんはちゃんとメニューに並んでから頂いて下さいよ? あの兄妹からもう一人先に食べて欲しいって言う方を聞いているんですから!」

「もう一人?」

「その方はホノラさんです! という事で出来立てを頂いて欲しいのでマツルさんから渡して頂けませんか?」

 そうイントリーグさんから手渡された紙袋の中に入っていたのは飴細工の入ったクリームサンドであった。こちらもとても美味しそうである。

「ありがとうございます。渡しておきますね」

「――そういえば兄ちゃん、嬢ちゃんは今日一緒じゃねぇんだな」

「ああ、今日ホノラはお兄ちゃんと一緒に晩メシだ......つまり俺は空気を読んだって訳よ!」

 こうなる前から俺はホノラとレオノラが一緒にいる所を見た事がなかった。きっと、これが良い機会になるだろう。

 こうして夜はふけ、俺達は日常へと戻って行く。二度と元には戻らない大きなうねりに気が付くのは、もう少し後の話である。
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