14 / 20
二章
球技大会
しおりを挟む
金曜日、球技大会当日。体育館で並ぶ二年C組の列には、すっかり元気になった千歳の姿がある。開会式が終わると、千歳はサッカーを選択したクラスメイトの元へと駆けていく。
「後で応援に行くな」
「サンキュ! 絶対勝つから任せろ」
「期待してる」
「あ、三上ー。無理すんなよ」
「うん、ありがとう。そうする」
尊が自宅まで送り届けた翌日も、千歳は学校を休んだ。朝電話をかけてみれば、案の定登校しようとしていたので、当日出られなくなるよりいいだろと尊が止めたのだ。夕方には見舞いにプリンを買っていって、そして登校した水曜日。クラスメイトたちにも無理はしないでと言われ、やっとこうして心配の言葉を素直に受け取れるようになったようだ。
「ちー」
「あ、花村」
「バスケ頑張りますか」
「うん。優勝したいな」
「俺も本気出すわ」
「頼りにしてます」
尊が肩をぶつけると、千歳からも同じように返ってくる。ふたりして零れる笑みと共に、仲まで深まった心地がする。
「花村くーん、三上ー、試合始まるよー」
「呼ばれてんな」
「……ん、そうだね」
「ちー? どうかしたか?」
「ううん! 行こっか!」
「……おう」
第一試合目が始まるようで、真野が遠くから呼んでいる。そちらに向かって軽く手を上げ、ふと隣を見た時。たった今笑っていたのに、どこか影のある千歳の顔が尊の目に映った。だがすぐに笑顔に戻った千歳は、尊の背をポンと叩いて走り出してしまった。
最近よく見るあの顔を、どうにか晴らしてやりたいのに。未だに術は見つからない。自分を歯がゆく思いながら、整列を始めたクラスメイトの元へと尊も向かう。
「マジで惜しかったな」
「ね。でも学年では優勝だし」
「まあなー」
球技大会を終えた放課後。尊と千歳はふたり並んで歩きながら、悔しさを共有している最中だ。後片付けに千歳が参加してからの下校で、周りには同じ高校の生徒たちはほぼいない。
二年C組のバスケチームは学年で優勝。その後行われた、それぞれの学年の優勝クラス同士のスペシャルマッチでは、三年生に負け準優勝となった。クラス全体で喜んで、惜しかったねと慰め合って。いい一日だったと尊は思う。心に満ちる達成感は、久しく感じていなかったものだ。
「オレさ、実はリーダーやりたくなかったんだよね」
帰りつくのが何だか勿体なくて、歩くスピードを少し落とした時だった。千歳が意を決したようにそう言った。どうしようもないよな、と苦しそうに笑っていて、だが尊はちっともそんな風には思わない。
「知ってた」
「……え?」
「リーダー決めの時、乗り気じゃない顔してたもんな」
「えー、うそ……いや、マジ? なんでそんな……」
「あは、すげー驚くじゃん」
千歳が立ち止まったので、一歩前で尊も振り返る。驚くのも無理はないのかもしれない、あの日の千歳はその本音を上手に隠せたつもりだっただろうから。
「リーダー決めた日って、ちーとのゲームが始まったばっかの頃でさ。名前に“ち”が付くヤツを観察してて。まあ、ちーのことは真っ先に絶対違うって外してたんだけど。あのホームルームの時、推薦されたちーを見たら嫌そうだなって。なのに笑ってるし、周りのヤツらは全然気づかないで盛り上がってるし。なんだあれ、って思ってた」
「うわー、情けないところ見られてたんだな、恥ず……」
たった二ヶ月ほど前の話だ。懐かしさは愛しさになって尊は緩む顔を抑えられない。だが、千歳にとってはそうではないようだ。苦々しく自分を恥じて、俯いてしまった。
そんな顔をさせたかったわけじゃない。千歳の目の前へ一歩踏み出す。
「俺は別に、情けなくねーと思うけど」
「そう、かな……」
「嫌なら言えばいいのにって確かに思ったけどな。それでも責任持ってリーダーやって、みんな盛り上がってたじゃん。全体を見れるちーだから出来たんだろ。すげーと思う、俺には無理。ちーがリーダーじゃなかったら俺絶対サボってるわ。やったら楽しかったし、ちーのおかげ。ありがとな」
「っ、花村~、泣かそうとしてんだろ」
「あは、バレた?」
つむじを覗かせる頭を両手で包みかき混ぜると、困ったように顔を上げ千歳は笑った。ぐすんと鳴った鼻とその言葉通り、潤んだ瞳がこちらを見ている。笑い返せばふにゃりと緩んで、ああ好きだな、と思う。だからもっと、差し出したくなった。
「今思えばさ」
「……ん?」
「あの時から俺、優越感があったんだと思う。ちーのほんとの気持ち、俺だけが気づいてんだなって」
「優越感……それって嬉しいってこと?」
「うん」
「…………」
「ふは、なに口むにゅむにゅしてんの」
「だ、って、そんなん言われたら、また花村のこと……好きになっちゃうじゃん」
「ちー……」
久しぶりに千歳の口から好きだと聞けた。たった二文字が体中に沁み渡って、千歳への想いで支配される。もう言ってしまおうか。俺も好きだと。早く、もっとちゃんと、千歳の特別なのだと実感したいから――そう思ったのに。尊が口を開くより、千歳のほうが早かった。両手が伸びてきて、口を塞がれてしまう。
「っ、今の待って、なし! なしって言うか、ほんとのことだけど、その、返事しないでほしい……」
「ちー、俺……」
「駄目、ほんとに。やめて」
「…………」
これから押しまくると千歳は言った。絶対に諦めたくないとも。なのに何故、何故これほど頑ななのか。いつもそばにいるのに、もしかしたら、と少しの期待もしてくれないのか。千歳のそんなところまで大事にしたくても、無性に腹が立った。こんなに好きなのに、伝えることすら許されない。
未だ口を塞いでくる両手を掴み、引き剥がす。解放された口から出てくるのは大きなため息だ。千歳が怯えて肩を震わせる。違う、そんな顔をさせたいんじゃない。違うのに。
これ以上何を言っても、何も言わなくても。今は上手くいかない気がする。尊はガシガシと頭を掻き、眇めた瞳で千歳を見つめた。
「ちー」
「なに……、っ、え」
こちらを見たのを確認してから、その頬にくちびるを押し当てる。キスなんて甘い言葉では到底呼べない、当てつけのようなものだ。本当はもう、恋人になるまでしないつもりだった。でもそんな日は果たして来るのだろうか。こんなに頭の中は千歳だらけで、かき乱されていても、一歩も動けないのに。
「じゃあな、ちー」
「へ……」
「バイバイ」
「……花村?」
狼狽える千歳の声を背に、その場を立ち去る。いつも別れる場所はもっと先だから、悲しませてしまうかもしれない。それでも、今日はもうこれ以上一緒にいる気にはなれなかった。きっと傷つけてしまうから。腹が立っても、当てつけをしても、そんなことを望んでいるわけじゃなかった。
「後で応援に行くな」
「サンキュ! 絶対勝つから任せろ」
「期待してる」
「あ、三上ー。無理すんなよ」
「うん、ありがとう。そうする」
尊が自宅まで送り届けた翌日も、千歳は学校を休んだ。朝電話をかけてみれば、案の定登校しようとしていたので、当日出られなくなるよりいいだろと尊が止めたのだ。夕方には見舞いにプリンを買っていって、そして登校した水曜日。クラスメイトたちにも無理はしないでと言われ、やっとこうして心配の言葉を素直に受け取れるようになったようだ。
「ちー」
「あ、花村」
「バスケ頑張りますか」
「うん。優勝したいな」
「俺も本気出すわ」
「頼りにしてます」
尊が肩をぶつけると、千歳からも同じように返ってくる。ふたりして零れる笑みと共に、仲まで深まった心地がする。
「花村くーん、三上ー、試合始まるよー」
「呼ばれてんな」
「……ん、そうだね」
「ちー? どうかしたか?」
「ううん! 行こっか!」
「……おう」
第一試合目が始まるようで、真野が遠くから呼んでいる。そちらに向かって軽く手を上げ、ふと隣を見た時。たった今笑っていたのに、どこか影のある千歳の顔が尊の目に映った。だがすぐに笑顔に戻った千歳は、尊の背をポンと叩いて走り出してしまった。
最近よく見るあの顔を、どうにか晴らしてやりたいのに。未だに術は見つからない。自分を歯がゆく思いながら、整列を始めたクラスメイトの元へと尊も向かう。
「マジで惜しかったな」
「ね。でも学年では優勝だし」
「まあなー」
球技大会を終えた放課後。尊と千歳はふたり並んで歩きながら、悔しさを共有している最中だ。後片付けに千歳が参加してからの下校で、周りには同じ高校の生徒たちはほぼいない。
二年C組のバスケチームは学年で優勝。その後行われた、それぞれの学年の優勝クラス同士のスペシャルマッチでは、三年生に負け準優勝となった。クラス全体で喜んで、惜しかったねと慰め合って。いい一日だったと尊は思う。心に満ちる達成感は、久しく感じていなかったものだ。
「オレさ、実はリーダーやりたくなかったんだよね」
帰りつくのが何だか勿体なくて、歩くスピードを少し落とした時だった。千歳が意を決したようにそう言った。どうしようもないよな、と苦しそうに笑っていて、だが尊はちっともそんな風には思わない。
「知ってた」
「……え?」
「リーダー決めの時、乗り気じゃない顔してたもんな」
「えー、うそ……いや、マジ? なんでそんな……」
「あは、すげー驚くじゃん」
千歳が立ち止まったので、一歩前で尊も振り返る。驚くのも無理はないのかもしれない、あの日の千歳はその本音を上手に隠せたつもりだっただろうから。
「リーダー決めた日って、ちーとのゲームが始まったばっかの頃でさ。名前に“ち”が付くヤツを観察してて。まあ、ちーのことは真っ先に絶対違うって外してたんだけど。あのホームルームの時、推薦されたちーを見たら嫌そうだなって。なのに笑ってるし、周りのヤツらは全然気づかないで盛り上がってるし。なんだあれ、って思ってた」
「うわー、情けないところ見られてたんだな、恥ず……」
たった二ヶ月ほど前の話だ。懐かしさは愛しさになって尊は緩む顔を抑えられない。だが、千歳にとってはそうではないようだ。苦々しく自分を恥じて、俯いてしまった。
そんな顔をさせたかったわけじゃない。千歳の目の前へ一歩踏み出す。
「俺は別に、情けなくねーと思うけど」
「そう、かな……」
「嫌なら言えばいいのにって確かに思ったけどな。それでも責任持ってリーダーやって、みんな盛り上がってたじゃん。全体を見れるちーだから出来たんだろ。すげーと思う、俺には無理。ちーがリーダーじゃなかったら俺絶対サボってるわ。やったら楽しかったし、ちーのおかげ。ありがとな」
「っ、花村~、泣かそうとしてんだろ」
「あは、バレた?」
つむじを覗かせる頭を両手で包みかき混ぜると、困ったように顔を上げ千歳は笑った。ぐすんと鳴った鼻とその言葉通り、潤んだ瞳がこちらを見ている。笑い返せばふにゃりと緩んで、ああ好きだな、と思う。だからもっと、差し出したくなった。
「今思えばさ」
「……ん?」
「あの時から俺、優越感があったんだと思う。ちーのほんとの気持ち、俺だけが気づいてんだなって」
「優越感……それって嬉しいってこと?」
「うん」
「…………」
「ふは、なに口むにゅむにゅしてんの」
「だ、って、そんなん言われたら、また花村のこと……好きになっちゃうじゃん」
「ちー……」
久しぶりに千歳の口から好きだと聞けた。たった二文字が体中に沁み渡って、千歳への想いで支配される。もう言ってしまおうか。俺も好きだと。早く、もっとちゃんと、千歳の特別なのだと実感したいから――そう思ったのに。尊が口を開くより、千歳のほうが早かった。両手が伸びてきて、口を塞がれてしまう。
「っ、今の待って、なし! なしって言うか、ほんとのことだけど、その、返事しないでほしい……」
「ちー、俺……」
「駄目、ほんとに。やめて」
「…………」
これから押しまくると千歳は言った。絶対に諦めたくないとも。なのに何故、何故これほど頑ななのか。いつもそばにいるのに、もしかしたら、と少しの期待もしてくれないのか。千歳のそんなところまで大事にしたくても、無性に腹が立った。こんなに好きなのに、伝えることすら許されない。
未だ口を塞いでくる両手を掴み、引き剥がす。解放された口から出てくるのは大きなため息だ。千歳が怯えて肩を震わせる。違う、そんな顔をさせたいんじゃない。違うのに。
これ以上何を言っても、何も言わなくても。今は上手くいかない気がする。尊はガシガシと頭を掻き、眇めた瞳で千歳を見つめた。
「ちー」
「なに……、っ、え」
こちらを見たのを確認してから、その頬にくちびるを押し当てる。キスなんて甘い言葉では到底呼べない、当てつけのようなものだ。本当はもう、恋人になるまでしないつもりだった。でもそんな日は果たして来るのだろうか。こんなに頭の中は千歳だらけで、かき乱されていても、一歩も動けないのに。
「じゃあな、ちー」
「へ……」
「バイバイ」
「……花村?」
狼狽える千歳の声を背に、その場を立ち去る。いつも別れる場所はもっと先だから、悲しませてしまうかもしれない。それでも、今日はもうこれ以上一緒にいる気にはなれなかった。きっと傷つけてしまうから。腹が立っても、当てつけをしても、そんなことを望んでいるわけじゃなかった。
10
あなたにおすすめの小説
経理部の美人チーフは、イケメン新人営業に口説かれています――「凛さん、俺だけに甘くないですか?」年下の猛攻にツンデレ先輩が陥落寸前!
中岡 始
BL
社内一の“整いすぎた男”、阿波座凛(あわざりん)は経理部のチーフ。
無表情・無駄のない所作・隙のない資料――
完璧主義で知られる凛に、誰もが一歩距離を置いている。
けれど、新卒営業の谷町光だけは違った。
イケメン・人懐こい・書類はギリギリ不備、でも笑顔は無敵。
毎日のように経費精算の修正を理由に現れる彼は、
凛にだけ距離感がおかしい――そしてやたら甘い。
「また会えて嬉しいです。…書類ミスった甲斐ありました」
戸惑う凛をよそに、光の“攻略”は着実に進行中。
けれど凛は、自分だけに見せる光の視線に、
どこか“計算”を感じ始めていて……?
狙って懐くイケメン新人営業×こじらせツンデレ美人経理チーフ
業務上のやりとりから始まる、じわじわ甘くてときどき切ない“再計算不能”なオフィスラブ!
イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした
天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです!
元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。
持ち主は、顔面国宝の一年生。
なんで俺の写真? なんでロック画?
問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。
頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ!
☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【完結】アイドルは親友への片思いを卒業し、イケメン俳優に溺愛され本当の笑顔になる <TOMARIGIシリーズ>
はなたろう
BL
TOMARIGIシリーズ②
人気アイドル、片倉理久は、同じグループの伊勢に片思いしている。高校生の頃に事務所に入所してからずっと、2人で切磋琢磨し念願のデビュー。苦楽を共にしたが、いつしか友情以上になっていった。
そんな伊勢は、マネージャーの湊とラブラブで、幸せを喜んであげたいが複雑で苦しい毎日。
そんなとき、俳優の桐生が現れる。飄々とした桐生の存在に戸惑いながらも、片倉は次第に彼の魅力に引き寄せられていく。
友情と恋心の狭間で揺れる心――片倉は新しい関係に踏み出せるのか。
人気アイドル<TOMARIGI>シリーズ新章、開幕!
地味メガネだと思ってた同僚が、眼鏡を外したら国宝級でした~無愛想な美人と、チャラ営業のすれ違い恋愛
中岡 始
BL
誰にも気づかれたくない。
誰の心にも触れたくない。
無表情と無関心を盾に、オフィスの隅で静かに生きる天王寺悠(てんのうじ・ゆう)。
その存在に、誰も興味を持たなかった――彼を除いて。
明るく人懐こい営業マン・梅田隼人(うめだ・はやと)は、
偶然見た「眼鏡を外した天王寺」の姿に、衝撃を受ける。
無機質な顔の奥に隠れていたのは、
誰よりも美しく、誰よりも脆い、ひとりの青年だった。
気づいてしまったから、もう目を逸らせない。
知りたくなったから、もう引き返せない。
すれ違いと無関心、
優しさと孤独、
微かな笑顔と、隠された心。
これは、
触れれば壊れそうな彼に、
それでも手を伸ばしてしまった、
不器用な男たちの恋のはなし。
殿下に婚約終了と言われたので城を出ようとしたら、何かおかしいんですが!?
krm
BL
「俺達の婚約は今日で終わりにする」
突然の婚約終了宣言。心がぐしゃぐしゃになった僕は、荷物を抱えて城を出る決意をした。
なのに、何故か殿下が追いかけてきて――いやいやいや、どういうこと!?
全力すれ違いラブコメファンタジーBL!
支部の企画投稿用に書いたショートショートです。前後編二話完結です。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる