30 / 87
第29話 ロールキャベツ
しおりを挟む
今回俺が作ろうと思っているのはロールキャベツだ。
キャベツが主役の料理ではあるが、肉を多めに使えば食べごたえのある料理になるだろう。
それじゃあ、作っていこう。
まずはキャベツの葉をばらして塩茹でにし、芯まで柔らかくなったら取り出す。
次にキャベツの中に入れる具作り。玉葱をみじん切りにして、挽き肉、牛乳に浸したパン粉、塩、胡椒、ナツメグを混ぜ合わせて粘りが出るまでしっかりと捏ねる。
捏ねたら適当な大きさに分けて、キャベツの葉で包んでいく。この時小さい葉から包んでいき、一回り大きい葉で包んでいくようにすると綺麗に包めるぞ。
次に、ソース作り。フライパンに油をしいて、薄切りにした玉葱とエリンギを入れて、炒める。
野菜がしんなりとしたら水、湯剥きして潰したトマト、コンソメ、砂糖、ケチャップを加えて塩と胡椒で味を調える。
そこに作ったロールキャベツを並べて、煮込む。大体三十分から四十分ほどで完成だ。
今回はトマト味に仕立てたが、ポトフの具として入れても美味しいと思う。色々アレンジが利くのがこのレシピの優秀なところだな。
どうせまたシーグレットが味見するんだろうから、最初の一個は皿に盛り付けて出してやった。
「できたぞ。ロールキャベツだ」
「肉をキャベツで包んだのか。斬新な発想だな」
シーグレットは戸棚からナイフとフォークを取り出して、ロールキャベツを半分に割った。
うん、中にもよく火が通ってるみたいだな。
彼は一口サイズにロールキャベツを切り分けて、トマトソースによく絡めて頬張った。
しばし無言で口を動かしていたが、ふーっと鼻から長い息を吐いて、開口する。
「キャベツの甘みとトマトの酸味がいい具合に肉の味を引き立ててやがる。そしてこの食べごたえ。フリカデレに劣らねぇ肉の存在感だ」
美味い、と彼は言った。
料理人たちが喉を鳴らしながらシーグレットの食べかけのロールキャベツに注目する。
本当に、すぐに食いたがるなこいつらは。
俺は鍋に新しいキャベツを入れながら、言った。
「皆の分も作るから料理を手伝ってくれよ。ノルマには全然足りてないんだからさ」
「マオの言う通りだ。オレらが食うのは後でもできる、今は兵たちの食事を作る方が先だ」
シーグレットは料理人たちに調理を始めるよう言いつけた。
腹減った、と言いながら料理人たちが野菜やフライパンを持って各々の作業場に散っていく。
何百、という数のロールキャベツを作らなければならないので厨房はフル回転だったが、三時間ほどでノルマを達成することができた。
もちろん、俺たちが食べる分のロールキャベツもちゃんと作ったぞ。
兵士たちの分のロールキャベツは大鍋に入れて、配膳担当の料理人が急ぎ足で大食堂に運んでいった。
「ああ、お腹ぺこぺこだよ。いい匂いがしてると我慢できなくなるから困っちゃうね」
棚から皿を取り出しながら苦笑するリベロ。
彼はフライパンに残っているロールキャベツを一個ずつ丁寧に盛りつけ始めた。
「僕たちも食べよう?」
「おっしゃ夕飯だ! やっと食えるぞ!」
わっとロールキャベツに群がる料理人たち。
そんなに慌てて取らなくたってちゃんと人数分あるんだから食いっぱぐれることはないっての。
「お前ら砂糖に群がる蟻じゃねぇんだからちゃんと並べ!」
流石にこれには呆れたらしい。シーグレットが怒鳴っている。
俺も腹減ったな。夕飯食べよう。
腹を撫でながら、俺も食事を貰うべく列の最後尾に並んだのだった。
キャベツが主役の料理ではあるが、肉を多めに使えば食べごたえのある料理になるだろう。
それじゃあ、作っていこう。
まずはキャベツの葉をばらして塩茹でにし、芯まで柔らかくなったら取り出す。
次にキャベツの中に入れる具作り。玉葱をみじん切りにして、挽き肉、牛乳に浸したパン粉、塩、胡椒、ナツメグを混ぜ合わせて粘りが出るまでしっかりと捏ねる。
捏ねたら適当な大きさに分けて、キャベツの葉で包んでいく。この時小さい葉から包んでいき、一回り大きい葉で包んでいくようにすると綺麗に包めるぞ。
次に、ソース作り。フライパンに油をしいて、薄切りにした玉葱とエリンギを入れて、炒める。
野菜がしんなりとしたら水、湯剥きして潰したトマト、コンソメ、砂糖、ケチャップを加えて塩と胡椒で味を調える。
そこに作ったロールキャベツを並べて、煮込む。大体三十分から四十分ほどで完成だ。
今回はトマト味に仕立てたが、ポトフの具として入れても美味しいと思う。色々アレンジが利くのがこのレシピの優秀なところだな。
どうせまたシーグレットが味見するんだろうから、最初の一個は皿に盛り付けて出してやった。
「できたぞ。ロールキャベツだ」
「肉をキャベツで包んだのか。斬新な発想だな」
シーグレットは戸棚からナイフとフォークを取り出して、ロールキャベツを半分に割った。
うん、中にもよく火が通ってるみたいだな。
彼は一口サイズにロールキャベツを切り分けて、トマトソースによく絡めて頬張った。
しばし無言で口を動かしていたが、ふーっと鼻から長い息を吐いて、開口する。
「キャベツの甘みとトマトの酸味がいい具合に肉の味を引き立ててやがる。そしてこの食べごたえ。フリカデレに劣らねぇ肉の存在感だ」
美味い、と彼は言った。
料理人たちが喉を鳴らしながらシーグレットの食べかけのロールキャベツに注目する。
本当に、すぐに食いたがるなこいつらは。
俺は鍋に新しいキャベツを入れながら、言った。
「皆の分も作るから料理を手伝ってくれよ。ノルマには全然足りてないんだからさ」
「マオの言う通りだ。オレらが食うのは後でもできる、今は兵たちの食事を作る方が先だ」
シーグレットは料理人たちに調理を始めるよう言いつけた。
腹減った、と言いながら料理人たちが野菜やフライパンを持って各々の作業場に散っていく。
何百、という数のロールキャベツを作らなければならないので厨房はフル回転だったが、三時間ほどでノルマを達成することができた。
もちろん、俺たちが食べる分のロールキャベツもちゃんと作ったぞ。
兵士たちの分のロールキャベツは大鍋に入れて、配膳担当の料理人が急ぎ足で大食堂に運んでいった。
「ああ、お腹ぺこぺこだよ。いい匂いがしてると我慢できなくなるから困っちゃうね」
棚から皿を取り出しながら苦笑するリベロ。
彼はフライパンに残っているロールキャベツを一個ずつ丁寧に盛りつけ始めた。
「僕たちも食べよう?」
「おっしゃ夕飯だ! やっと食えるぞ!」
わっとロールキャベツに群がる料理人たち。
そんなに慌てて取らなくたってちゃんと人数分あるんだから食いっぱぐれることはないっての。
「お前ら砂糖に群がる蟻じゃねぇんだからちゃんと並べ!」
流石にこれには呆れたらしい。シーグレットが怒鳴っている。
俺も腹減ったな。夕飯食べよう。
腹を撫でながら、俺も食事を貰うべく列の最後尾に並んだのだった。
0
あなたにおすすめの小説
異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件
さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ!
食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。
侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。
「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」
気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。
いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。
料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!
酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ
天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。
ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。
そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。
よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。
そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。
こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~
鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。
そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。
そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。
「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」
オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く!
ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。
いざ……はじまり、はじまり……。
※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる