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第43話 アンデッドの恐怖
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扉の奥に続く坑道は、今までよりも狭く複雑に曲がりくねっていた。
途中幾つにも枝分かれしており、その度にどっちに進むかで僕たちは頭を悩ませた。
壁を食べて穴を広げているロックワームを倒しながら、歩を進めていくと。
道の途中で、奇妙なものに遭遇した。
それは、天井から逆さに生えた人間の男だった。
その体は半分透けており、頭は不自然に陥没している。
男はくるりと音もなくこちらに振り向いてくると、血にまみれた顔をにたりと歪めてこちらにすーっと音もなく近付いてきた。
「わぁぁ!?」
「アミィ、頼む!」
悲鳴を上げる僕を庇うように前に立ちながら、アミィさんを呼ぶアデルさん。
アミィさんは杖を取り出すと、水晶が填まっている杖の先を男へと向けた。
「ホーリーライト」
ぱあっ、と柔らかな光が男を包み込む。
男は苦悶の表情を浮かべると、ひぃぃと甲高い悲鳴を上げながら宙に霧散して消えていった。
僕はぺたんとその場に尻餅をついた。
「レイスがいるなんて聞いてない!」
「まさかアンデッドがいるダンジョンとはね……こっちの剣を使った方が良さそうだな」
アデルさんは短く息を吐くと、抜いていた剣を背に納めて腰に差していた細身の剣を抜いた。
あれは、純銀製の剣だ。
純銀製の武器は柔らかく強度がそれほどでもないので普通の武器として使うには向かないが、アンデッドに対しては強い効果を発揮するのだ。
アデルさんが剣を持ち替えたのを見て、サーファさんも腰の後ろに差していたナイフを抜いた。
どうやら彼らは、それなりにアンデッドと戦ってきた経験があるようである。
アデルさんは僕に手を差し伸べた。
「大丈夫ですよ。アミィの魔術もありますし、アンデッドなどに後れは取りませんから」
「……うぅ」
僕はアデルさんの手を借りて立ち上がった。
アンデッドは嫌いなのだ。何処から出てくるか分からないし、何より見た目が宜しくないから。
この様子だと、このダンジョンに潜んでいるアンデッドはレイスだけではないだろう。
もう帰りたい。胸中で頭を抱える僕だった。
「では、行きましょう。アミィ、いつでも魔術を放てるように準備だけはしておいてくれ」
アミィさんに一声掛けて、アデルさんは剣を片手に坑道を進んでいく。
置いて行かれては堪らない。僕は早足で彼の後を追いかけた。
案の定──
奥に進めば進むほど、僕たちの前に現れるアンデッドの数は増えていった。
壁をすり抜けて襲いかかってくるレイスを筆頭に、人間の骨格標本がそのまま動いているような姿をしたスケルトン、人間の腐乱死体が歩いているような姿のゾンビなど。
僕たちは、それを倒しながら前へと進んでいった。
特に、アミィさんが放つ光魔術の効果は絶大だった。
彼女の魔術の前に、アンデッドたちは抵抗もできずに消滅していった。
僕はアミィさんの傍にぴったりと寄り添って、ランタンを懸命に翳すことに尽力したよ。
錬金術にはアンデッドを何とかするような力はないからね。
そうして襲いかかってくるアンデッドたちを蹴散らし、遂に僕たちは、ダンジョンの中心部と思われる部屋へと到着した。
そこは坑道らしかった今までの様子からは一変して、綺麗に壁が整えられた洞窟のような形をしていた。
部屋の広さは十メートル四方ほど。部屋の中心には、何かの魔術なのか、複雑な形状をした紋様を描いた円形の台座が誂えられている。
紋様は、血のような真っ赤な液体で描かれているようだった。これが血と決まったわけではないが、見ていて気味が悪い。
「これは……」
アデルさんは台座に近付いた。
彼が、台座に描かれている紋様に指先を触れた、その時。
「ほう。客人か……これは珍しい」
僕たちが歩いてきた通路の方から、歌うような声が聞こえてきた。
途中幾つにも枝分かれしており、その度にどっちに進むかで僕たちは頭を悩ませた。
壁を食べて穴を広げているロックワームを倒しながら、歩を進めていくと。
道の途中で、奇妙なものに遭遇した。
それは、天井から逆さに生えた人間の男だった。
その体は半分透けており、頭は不自然に陥没している。
男はくるりと音もなくこちらに振り向いてくると、血にまみれた顔をにたりと歪めてこちらにすーっと音もなく近付いてきた。
「わぁぁ!?」
「アミィ、頼む!」
悲鳴を上げる僕を庇うように前に立ちながら、アミィさんを呼ぶアデルさん。
アミィさんは杖を取り出すと、水晶が填まっている杖の先を男へと向けた。
「ホーリーライト」
ぱあっ、と柔らかな光が男を包み込む。
男は苦悶の表情を浮かべると、ひぃぃと甲高い悲鳴を上げながら宙に霧散して消えていった。
僕はぺたんとその場に尻餅をついた。
「レイスがいるなんて聞いてない!」
「まさかアンデッドがいるダンジョンとはね……こっちの剣を使った方が良さそうだな」
アデルさんは短く息を吐くと、抜いていた剣を背に納めて腰に差していた細身の剣を抜いた。
あれは、純銀製の剣だ。
純銀製の武器は柔らかく強度がそれほどでもないので普通の武器として使うには向かないが、アンデッドに対しては強い効果を発揮するのだ。
アデルさんが剣を持ち替えたのを見て、サーファさんも腰の後ろに差していたナイフを抜いた。
どうやら彼らは、それなりにアンデッドと戦ってきた経験があるようである。
アデルさんは僕に手を差し伸べた。
「大丈夫ですよ。アミィの魔術もありますし、アンデッドなどに後れは取りませんから」
「……うぅ」
僕はアデルさんの手を借りて立ち上がった。
アンデッドは嫌いなのだ。何処から出てくるか分からないし、何より見た目が宜しくないから。
この様子だと、このダンジョンに潜んでいるアンデッドはレイスだけではないだろう。
もう帰りたい。胸中で頭を抱える僕だった。
「では、行きましょう。アミィ、いつでも魔術を放てるように準備だけはしておいてくれ」
アミィさんに一声掛けて、アデルさんは剣を片手に坑道を進んでいく。
置いて行かれては堪らない。僕は早足で彼の後を追いかけた。
案の定──
奥に進めば進むほど、僕たちの前に現れるアンデッドの数は増えていった。
壁をすり抜けて襲いかかってくるレイスを筆頭に、人間の骨格標本がそのまま動いているような姿をしたスケルトン、人間の腐乱死体が歩いているような姿のゾンビなど。
僕たちは、それを倒しながら前へと進んでいった。
特に、アミィさんが放つ光魔術の効果は絶大だった。
彼女の魔術の前に、アンデッドたちは抵抗もできずに消滅していった。
僕はアミィさんの傍にぴったりと寄り添って、ランタンを懸命に翳すことに尽力したよ。
錬金術にはアンデッドを何とかするような力はないからね。
そうして襲いかかってくるアンデッドたちを蹴散らし、遂に僕たちは、ダンジョンの中心部と思われる部屋へと到着した。
そこは坑道らしかった今までの様子からは一変して、綺麗に壁が整えられた洞窟のような形をしていた。
部屋の広さは十メートル四方ほど。部屋の中心には、何かの魔術なのか、複雑な形状をした紋様を描いた円形の台座が誂えられている。
紋様は、血のような真っ赤な液体で描かれているようだった。これが血と決まったわけではないが、見ていて気味が悪い。
「これは……」
アデルさんは台座に近付いた。
彼が、台座に描かれている紋様に指先を触れた、その時。
「ほう。客人か……これは珍しい」
僕たちが歩いてきた通路の方から、歌うような声が聞こえてきた。
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