アメミヤのよろず屋

高柳神羅

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第59話 ア・ロア遺跡、再び

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 ア・ロア遺跡。
 かつて一度だけ見たことのある遺跡は、前と全く同じ姿をして高原の中心に佇んでいた。
「此処が目的の遺跡か」
 馬車を降りて、アラグが遺跡を見上げる。
「思っていたよりもでかいな」
「如何にも何かが眠っていそうな場所ねぇ」
 シャオレンがうきうきと肩を弾ませながら遺跡に近付く。
 それを僕は嗜めた。
「おい、勝手に入るなよ。団体行動の輪を乱すな」
「シルカ、いつも思うけどお母さんみたいだよね。あんた」
 フラウが肩を竦めて僕を横目で見る。
 僕はそれに憮然と返した。
「どういう意味だよ、それ」
「心配性ってこと」
「悪いのか、此処は何の危険が潜んでるか分からない遺跡なんだぞ」
「はいはい」
 ぱんぱん、と手を叩いてマテリアさんが皆の顔を見回した。
「お喋りはここまで。時間が惜しいからさっさと始めるわよ」
 彼女の言葉に、それまで観光気分だった皆の表情が引き締まった。
「今回の目的は遺跡最深部の探索。行く途中にある仕掛けを動かして、今まで入れなかった区域に入るわ」
 台座の仕掛けを動かして、例の大広間にある閉ざされていた扉を開き、その奥を探索する。
 文字にすると楽そうに思えるが、此処は古代の錬金術師が作った遺跡だ。何が出てきても不思議ではない。
 そして、ユジンの司祭──
 彼らが此処に現れないとは限らない。探索はダンジョンに入る時以上に慎重に行わねば。
「最奥に眠る『神』の正体を、私たちの手で明らかにしましょう。──それじゃあ、行くわよ!」
『おう!』
 顔を合わせて気合を入れて、僕たちは遺跡に突入した。
 隊列は、先頭がアラグ、その次がシャオレン、僕、マテリアさん、フラウの順番だ。
 火の入ったランタンを僕が持ち、目的の場所以外はなるべく寄り道しないようにして通路をどんどん進んでいった。
 通路の途中にある部屋に安置されている石像を見て、アラグとシャオレンは古代人の作るものって大仰だよな、などと感想を述べていた。
 確かに彼らの言う通り、遺跡にある石像とかって無駄に手が込んでるものが多いよなって思う。
 そうして、半ば観光のような雰囲気で多くの部屋を通り過ぎていき、僕たちは例の台座がある部屋へと到着した。
 台座に近付きながら、アラグは腰の袋から精霊の剣を取り出した。
「これが、お前たちが言ってた仕掛けか?」
「ええ」
 マテリアさんが頷きながらアラグの隣に立つ。
 台座に空いている菱形の穴を指差して、
「此処に書いてある文章には『森羅万象の四柱が立つ時』ってあるわ。おそらく此処にその剣を立てるんだと思うの」
「成程」
 アラグは四本ある精霊の剣を見比べて、言った。
「……どれでもいいのか?」
「分からないわ。でも剣については何も記されていないし……どれでもいいんじゃないかとは、思う」
「分かった。それじゃあ、やるぞ」
 彼は赤い刃の剣を選んで、台座の穴にそれをゆっくりと差し込んだ。
 台座の穴は剣の刃を綺麗に飲み込んで──
 かちり、と何かを押したような音が鳴って、剣を差し込んだ穴が眩い赤色の光を発し始めた。
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