アメミヤのよろず屋

高柳神羅

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第60話 台座の仕掛けを解け

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 赤色の光は僕たちが見守る中縦に収束して、天井にまで届く一本の光の柱となった。
 どうやら、仕掛けは何事もなく作動したようだ。
「多分、此処と同じ造りの部屋があと三つあるはずだ」
 僕は皆に言った。
「それを探して、仕掛けを動かそう。全部動かした時、奥の部屋の扉が開くはずだ」
「よし、それじゃあ手分けして部屋を探すぞ」
 アラグは持っていた残りの精霊の剣を、一本はシャオレンに、一本はフラウにそれぞれ渡した。
 剣を受け取った二人は、台座のある部屋を探して遺跡の中に散っていった。
 僕とマテリアさんはアラグに付いていくことになった。
 彼を先頭に通れる通路をくまなく探索して、ややあって、先の部屋と全く同じ構造をした台座の部屋を発見する。
 此処の台座にも錬金文字で文章が記されていたが、内容は全く同じものだった。
 アラグが台座に剣をセットすると、台座から青色の光が発生して、それは光の柱となった。
 部屋を出た僕たちは、他の仲間と合流するために遺跡中心部の大部屋を目指した。
 その途中で、遺跡全体が揺れ動いたのを感じ取った。
 足を止めて、アラグは辺りを見回した。
「……他の仕掛けも無事に動かせたようだな」
「これであの部屋の扉が開くわけね」
 マテリアさんは嬉しそうに言った。
「さあ、あの向こうには何が眠っているのかしら」

 大部屋の入口で、シャオレンとフラウが待っていた。
 無事に合流を果たした僕たちは、大部屋に足を踏み入れた。
 大部屋は、以前来た時と全く同じ様子だった。
 部屋の中央にあるトワルの守護騎士を象った像が、相変わらずのポーズで前方を静かに見据えている。
 僕は部屋の奥に目を向けた。
 崩れて瓦礫に埋もれた像と、扉がある場所──
 それを目にした僕は、目を見開いた。
 閉ざされていた扉は、開いていた。台座の仕掛けを動かしたからだろう。それはいい。
 その横にあったはずの、奇妙な形の頭をした二体の石像が、なくなっていたのだ。
 あれだけ瓦礫に埋もれていたものが、跡形もなくなっているなんて。
 どうやら、フラウとマテリアさんも異変に気付いたらしい。僕と同じようにそちらに目を向けて、怪訝そうに言った。
「……あの変な石像がなくなってるね」
「何処にいったのかしら」
「…………」
 辺りを見回し始めるシャオレン。
 そして、彼はある一点を見て声を上げた。
「見て! あれ!」
 彼が指差す先には、トワルの守護騎士の像がある。
 前方を見据えていたはずの、像の首が──
 不自然な形に捻れ、僕たちの方を見つめていた。
「!?」
 ぎょっとする僕たちの目の前で、像が背の翼を大きくはためかせる。
 石でできているはずの像の体が、宙高く浮かび上がった。
 その姿は、まるで戦乙女ヴァルキリーのようであった。
「な、何だありゃ!」
「多分、台座の仕掛けを動かしたから──」
 僕は言った。
 しかしその言葉の後半は、口にすることができなかった。
 像が、剣と盾を構えてこちらに向かって突っ込んできたのだ。
 僕たちは散り散りになってその場を離れた。
 像が剣を一閃させる。ひゅおっと風を裂く音がした。
 間違いない。像は、僕たちを侵入者とみなして始末するつもりなのだ。
「くそ! やるぞ!」
 像を睨み据えてアラグが剣を抜く。
 構えを取るシャオレンとマテリアさん。
 杖を翳すフラウ。
 僕はなるべく像の目につかない位置に身を置いた。
 像は、敵対心を向けられたことが分かるのか、翼を大きく広げて剣を構えた。
 遺跡を守るトワルの守護騎士と冒険者の戦いが、今ここに始まりを告げたのであった。
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