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第62話 水晶の監獄
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扉を抜けた先は、闇に包まれていた。
此処から先は調査の手が入っていないエリアだ。今までの通路には設置されていた燭台が、此処には存在していないのだ。
ランタンが照らす壁や天井の様子を見ている限りでは、此処の構造も今までの通路とそれほど変わらないようには思えるが。
わざわざ大掛かりな仕掛けで封印されていた場所なのだ。安全な通路であると決まったわけではない。
迂闊に壁に触れないようにしながら、僕たちは通路を進んでいく。
と、曲がり角の先から、明かりが漏れてきているのを発見した。
「……光だね」
「多分何かある。気を付けろよ」
フラウの呟きに応える僕。
誰かがこくりと喉を鳴らした。
光のある方を目指して進んでいき──
僕たちは、広い部屋に出た。
広さは、先の大広間の半分くらいだ。何もない部屋で、壁に設置された燭台の炎が先に続く通路から流れてくる風に吹かれてゆらゆらと揺れている。
そして、部屋の出口には。
大広間の扉と共に瓦礫に埋もれていたはずの石像が、二体並んで通り道を塞ぐように立っていた。
あの石像が……こんな場所に移動してるなんて。
石像が自力で此処まで移動してきたであろうことを考えると、僕たちが近付くと動き出すのだろうということは容易に想像が付く。
あれらが先に進むための障害であることは疑いようもなかった。
「何だ、石像?」
「この遺跡はほんと石像が多いわね」
あの石像が元々大広間にあったものであることを知らないアラグとシャオレンが、石像に近付いていく。
僕は慌ててそれを制止した。
「馬鹿! 近付くな!」
「え?」
立ち止まる二人。
石像が──反応を示した。
顔に刻まれた模様を、左の石像は青、右の石像は緑に光らせた。
模様から、ぶしゅうと模様と同じ色の霧が噴き出して辺りに広がる。
それは意思を持つ小さな虫の群れのように、シャオレン、フラウ、マテリアさんに襲いかかった!
「な、何……」
「ごほっ! 何これ、苦し……」
「きゃ……」
霧が渦を巻き、収束していく。
そして、三人を封じ込めた巨大な水晶と化した。
「!?」
僕は目を見開いて三人を見た。
水晶は、鈍く光を発しながらその場に浮かんでいる。
中に封じ込められた三人は表情を歪めて身を強張らせた体勢のまま凍りついている。
試しに水晶を叩いてみるが、水晶はその程度ではびくともしなかった。
「何だ、こいつら!」
石像がゆっくりと動き出す。それを見て、アラグは剣を抜いた。
石像を睨みながら、彼は叫んだ。
「シルカ! こいつらの相手は俺が引き受ける、その間にお前は閉じ込められた三人を何とかして助け出せ!」
「何とかって言われても……!」
僕は水晶を観察した。
水晶には、青い水晶と緑の水晶がある。シャオレンとマテリアさんを封じているのが青い水晶で、フラウを封じているのが緑の水晶だ。
色が違うということは、この水晶は違うものであることに間違いはなさそうなのだが……
色、で真っ先に浮かぶのは属性だ。
属性が絡んだ罠や仕掛けは、相反する属性や同じ属性の魔術をぶつけると解除できるものが多い。
この水晶が属性の力を宿したものなのだとしたら、色が示す属性の魔術をぶつければ砕くことができる可能性がある。
しかし、それを実行できる人間がこの場にはいない。
アラグは魔術を使えないし、錬金術には元々属性の力などというものは存在しない。
魔術を使える人間は、水晶の中だ。
どうすればいいんだ、一体!
僕は歯噛みして髪をぐしゃりと握り潰した。
此処から先は調査の手が入っていないエリアだ。今までの通路には設置されていた燭台が、此処には存在していないのだ。
ランタンが照らす壁や天井の様子を見ている限りでは、此処の構造も今までの通路とそれほど変わらないようには思えるが。
わざわざ大掛かりな仕掛けで封印されていた場所なのだ。安全な通路であると決まったわけではない。
迂闊に壁に触れないようにしながら、僕たちは通路を進んでいく。
と、曲がり角の先から、明かりが漏れてきているのを発見した。
「……光だね」
「多分何かある。気を付けろよ」
フラウの呟きに応える僕。
誰かがこくりと喉を鳴らした。
光のある方を目指して進んでいき──
僕たちは、広い部屋に出た。
広さは、先の大広間の半分くらいだ。何もない部屋で、壁に設置された燭台の炎が先に続く通路から流れてくる風に吹かれてゆらゆらと揺れている。
そして、部屋の出口には。
大広間の扉と共に瓦礫に埋もれていたはずの石像が、二体並んで通り道を塞ぐように立っていた。
あの石像が……こんな場所に移動してるなんて。
石像が自力で此処まで移動してきたであろうことを考えると、僕たちが近付くと動き出すのだろうということは容易に想像が付く。
あれらが先に進むための障害であることは疑いようもなかった。
「何だ、石像?」
「この遺跡はほんと石像が多いわね」
あの石像が元々大広間にあったものであることを知らないアラグとシャオレンが、石像に近付いていく。
僕は慌ててそれを制止した。
「馬鹿! 近付くな!」
「え?」
立ち止まる二人。
石像が──反応を示した。
顔に刻まれた模様を、左の石像は青、右の石像は緑に光らせた。
模様から、ぶしゅうと模様と同じ色の霧が噴き出して辺りに広がる。
それは意思を持つ小さな虫の群れのように、シャオレン、フラウ、マテリアさんに襲いかかった!
「な、何……」
「ごほっ! 何これ、苦し……」
「きゃ……」
霧が渦を巻き、収束していく。
そして、三人を封じ込めた巨大な水晶と化した。
「!?」
僕は目を見開いて三人を見た。
水晶は、鈍く光を発しながらその場に浮かんでいる。
中に封じ込められた三人は表情を歪めて身を強張らせた体勢のまま凍りついている。
試しに水晶を叩いてみるが、水晶はその程度ではびくともしなかった。
「何だ、こいつら!」
石像がゆっくりと動き出す。それを見て、アラグは剣を抜いた。
石像を睨みながら、彼は叫んだ。
「シルカ! こいつらの相手は俺が引き受ける、その間にお前は閉じ込められた三人を何とかして助け出せ!」
「何とかって言われても……!」
僕は水晶を観察した。
水晶には、青い水晶と緑の水晶がある。シャオレンとマテリアさんを封じているのが青い水晶で、フラウを封じているのが緑の水晶だ。
色が違うということは、この水晶は違うものであることに間違いはなさそうなのだが……
色、で真っ先に浮かぶのは属性だ。
属性が絡んだ罠や仕掛けは、相反する属性や同じ属性の魔術をぶつけると解除できるものが多い。
この水晶が属性の力を宿したものなのだとしたら、色が示す属性の魔術をぶつければ砕くことができる可能性がある。
しかし、それを実行できる人間がこの場にはいない。
アラグは魔術を使えないし、錬金術には元々属性の力などというものは存在しない。
魔術を使える人間は、水晶の中だ。
どうすればいいんだ、一体!
僕は歯噛みして髪をぐしゃりと握り潰した。
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