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第70話 錬金術師の決断
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女神像は、高原をゆっくりと歩いていた。
時折顔から例の光線を放ち、地面を派手に吹き飛ばしながら進んでいく。
その様子は、まるで災厄そのものであった。
「……追いかけるのはいいが、どうするんだ。止めるにしても俺の剣じゃ歯が立たんぞ」
「……僕に考えがある」
渋い顔をするアラグに、僕は言った。
皆の視線が僕に集中する。
「僕の錬金術で、あいつを解体する。動いてるといっても本質は石だからな。効果はあるはずだ」
錬金術は、物質の状態を変化させて物を作り出す創造の力だ。
基本さえ理解していれば、物質を分解することも容易い。
その力で女神像をばらばらにしてしまえば、無力化すると思うのだ。
魔術で女神像を砕くよりも、そちらの方が効果はあると思う。
だが、これをやるに当たって問題点がひとつある。
僕自身が、女神像に直接触れなければ意味がないのだ。
それも、意識を集中することができる環境下で行う必要がある。
そのためには──
「みんなは何とかして、あいつの足止めをしてほしい。動きさえ止まれば、その隙に錬金術が掛けられる。頼む」
「止めるって言っても……あの大きさだよ? 足一本砕くのも一筋縄じゃいかないよ?」
女神像を見て眉を顰めるフラウ。
女神像はローブのような裾の長い衣裳を身に着けた格好をしている。足は、足首が僅かに服の裾から覗いているだけだ。
あれでは、ありったけの魔術を叩き込んだとしても足首を砕くのがやっとだろう。それでは、歩みを止めることなど到底できないような気もする。
それでも、やらなければならない。それしか方法はないのだから。
「……分かったわ。他ならぬシルカの頼みですもの」
自らの掌をぱしんと拳で叩いて応えるシャオレン。
彼はにっと笑って、女神像に目を向けた。
「アタシは貴方を信じるわ。魔力を全部使い果たしても、止めてみせる。だから貴方も必ずあれを止めて頂戴。頼んだわよ」
「おう」
シャオレンは女神像に向かって駆け出した。
それを見ていたマテリアさんも、頷いた。
「……自信があるのね。それなら私も貴方に賭けるわ。錬金術師としての意地と根性、見させてもらうわよ」
「無茶苦茶だよ。あんな大きなのを足止めしろだなんて。シルバーウルフを百匹相手にしてた方が何倍も楽だよ」
ふう、と溜め息をついて、フラウはゆるりと首を左右に振った。
その表情が──笑顔に、変わる。
「……ま、あんたが不可能な作戦は立てないってことくらいは分かってる。できる自信があるから言ってるんでしょ? だったら、その思いには応えなきゃ冒険者が廃るってものだよね」
彼女は杖を握り直した。
「いいよ。やってやろうじゃない。無事にやり遂げられたら讃えなさいよ」
ウインクをひとつして、彼女はマテリアさんと共に女神像を追って走っていった。
アラグは腕を組んで僕の横に佇んでいる。
その表情はいつになく真剣だ。
「……俺は、多分足止めの役には立たない。ただの剣じゃ、あれには通用しないだろうからな」
それは、僕にだって分かる。
「だから、俺はお前の援護に回る。お前が無事にあれを解体できるように力を貸してやる」
「……分かった」
僕とアラグはぱしんと手を叩き合った。
さあ、伸るか反るか。最後の一勝負、やってやろうじゃないか。
僕たちは女神像を目指して駆け出した。
猶予は、女神像が街に到着するまでだ。
それまでに、必ず、決着を着ける!
時折顔から例の光線を放ち、地面を派手に吹き飛ばしながら進んでいく。
その様子は、まるで災厄そのものであった。
「……追いかけるのはいいが、どうするんだ。止めるにしても俺の剣じゃ歯が立たんぞ」
「……僕に考えがある」
渋い顔をするアラグに、僕は言った。
皆の視線が僕に集中する。
「僕の錬金術で、あいつを解体する。動いてるといっても本質は石だからな。効果はあるはずだ」
錬金術は、物質の状態を変化させて物を作り出す創造の力だ。
基本さえ理解していれば、物質を分解することも容易い。
その力で女神像をばらばらにしてしまえば、無力化すると思うのだ。
魔術で女神像を砕くよりも、そちらの方が効果はあると思う。
だが、これをやるに当たって問題点がひとつある。
僕自身が、女神像に直接触れなければ意味がないのだ。
それも、意識を集中することができる環境下で行う必要がある。
そのためには──
「みんなは何とかして、あいつの足止めをしてほしい。動きさえ止まれば、その隙に錬金術が掛けられる。頼む」
「止めるって言っても……あの大きさだよ? 足一本砕くのも一筋縄じゃいかないよ?」
女神像を見て眉を顰めるフラウ。
女神像はローブのような裾の長い衣裳を身に着けた格好をしている。足は、足首が僅かに服の裾から覗いているだけだ。
あれでは、ありったけの魔術を叩き込んだとしても足首を砕くのがやっとだろう。それでは、歩みを止めることなど到底できないような気もする。
それでも、やらなければならない。それしか方法はないのだから。
「……分かったわ。他ならぬシルカの頼みですもの」
自らの掌をぱしんと拳で叩いて応えるシャオレン。
彼はにっと笑って、女神像に目を向けた。
「アタシは貴方を信じるわ。魔力を全部使い果たしても、止めてみせる。だから貴方も必ずあれを止めて頂戴。頼んだわよ」
「おう」
シャオレンは女神像に向かって駆け出した。
それを見ていたマテリアさんも、頷いた。
「……自信があるのね。それなら私も貴方に賭けるわ。錬金術師としての意地と根性、見させてもらうわよ」
「無茶苦茶だよ。あんな大きなのを足止めしろだなんて。シルバーウルフを百匹相手にしてた方が何倍も楽だよ」
ふう、と溜め息をついて、フラウはゆるりと首を左右に振った。
その表情が──笑顔に、変わる。
「……ま、あんたが不可能な作戦は立てないってことくらいは分かってる。できる自信があるから言ってるんでしょ? だったら、その思いには応えなきゃ冒険者が廃るってものだよね」
彼女は杖を握り直した。
「いいよ。やってやろうじゃない。無事にやり遂げられたら讃えなさいよ」
ウインクをひとつして、彼女はマテリアさんと共に女神像を追って走っていった。
アラグは腕を組んで僕の横に佇んでいる。
その表情はいつになく真剣だ。
「……俺は、多分足止めの役には立たない。ただの剣じゃ、あれには通用しないだろうからな」
それは、僕にだって分かる。
「だから、俺はお前の援護に回る。お前が無事にあれを解体できるように力を貸してやる」
「……分かった」
僕とアラグはぱしんと手を叩き合った。
さあ、伸るか反るか。最後の一勝負、やってやろうじゃないか。
僕たちは女神像を目指して駆け出した。
猶予は、女神像が街に到着するまでだ。
それまでに、必ず、決着を着ける!
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