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第71話 小さき者たちの意地
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「バーストフレア!」
女神像の足首を狙ってシャオレンは魔術を撃つ。
茜色の光は女神像の足首に着弾し、弾けた。その衝撃で表面に薄く罅が入るが、砕くまでには至っていない。
「メテオレイン!」
マテリアさんが頭上に隕石の群れを召喚する。
岩の雨が女神像に降り注ぐ。頭に、肩に、足に燃え盛る岩が当たって砕け散り、地面に無数の岩の欠片が飛び散った。
女神像の顔が、マテリアさんの方に向いた。
目のない顔でどうやってものを見ているのかは分からないが、確かに女神像は彼女のことを見ていた。
顔が、閃光を生む。
咄嗟にその場を駆け出すマテリアさん。閃光は彼女が今し方立っていた場所を吹き飛ばし、大量の草と土を巻き上げた。
後一歩彼女が動くのが遅かったら、光は彼女をばらばらにしていただろう。
「ピットフォール!」
女神像の進行方向に向けて魔術を撃つフラウ。
女神像が歩む先の地面に、巨大な穴が空いた。
ピットフォールは落とし穴を掘る魔術で、普通はせいぜい一メートルくらいの穴しかできないものなのだが、かなり魔力を込めたのだろう。今フラウが掘った穴は、十メートル近くある女神像の全身が入るほどの大きさがあった。
女神像が、穴に踏み込む。
段差につまづいて、女神像が体勢を崩す。両手を地面についた格好になり、女神像の動きが止まった。
チャンスだ、が──穴は僕たちからしたらちょっとした崖のようなものなので、女神像に飛び移るには無理がある。距離が開きすぎているのだ。
アラグが叫んだ。
「シルカ! 来い!」
彼は駆け寄った僕を抱き抱えると、そのまま穴の縁まで走った。
「投げるぞ! 飛び移れ!」
「ええ!?」
びっくりしてアラグを見る僕。
彼は全身に勢いを付けて、僕を女神像めがけて投げつけた!
「うわぁぁ!?」
僕は女神像の腰に激突し、表面を滑るように転がり落ちた。
何とか手が引っ掛かる場所を見つけて、指を差し込んで力を込める。
僕は女神像の尻の辺りに抱き付く形で、女神像にくっついた。
女神像に接触することはできたが……落ちないように踏ん張ることで精一杯で、これでは錬金術を発動させることができない。
何とか、落ち着いて精神集中ができる箇所──肩辺りまで移動しなければ。
「シルカ! 大丈夫!?」
眼下から僕に呼びかけてくるフラウ。
僕は奥歯を噛み締めて、少しずつ女神像の表面を登っていった。
女神像が、穴から這い出る。
全身が揺れて、僕は思わず手を離しそうになった。
「くっ……!」
指先が痛い。腕が震える。手の甲が攣りそうだ。
何度も滑り落ちそうになりながら、僕は懸命に女神像の体を這い登った。
今の僕は、きっと滑稽な格好をしているのだろう。窓にへばりつく虫のように。
笑いたければ笑えばいいさ。僕にとってはそんなことなんて些細なことだ。
腰を、背を超えて、遂に僕は女神像の肩に到達した。
此処なら、足が付けられる。錬金術を使うことができる。
僕はふーっと息を吐いて精神を集中させ、両手を女神像の肩にしっかりと付けた。
そこに、女神像の右手が迫ってきた。
錬金術を使うことに気を取られていた僕は、迫り来る手の存在に気付くことに遅れ、
そのまま正面から攫うように、女神像の右手に掴まれてしまった。
女神像の足首を狙ってシャオレンは魔術を撃つ。
茜色の光は女神像の足首に着弾し、弾けた。その衝撃で表面に薄く罅が入るが、砕くまでには至っていない。
「メテオレイン!」
マテリアさんが頭上に隕石の群れを召喚する。
岩の雨が女神像に降り注ぐ。頭に、肩に、足に燃え盛る岩が当たって砕け散り、地面に無数の岩の欠片が飛び散った。
女神像の顔が、マテリアさんの方に向いた。
目のない顔でどうやってものを見ているのかは分からないが、確かに女神像は彼女のことを見ていた。
顔が、閃光を生む。
咄嗟にその場を駆け出すマテリアさん。閃光は彼女が今し方立っていた場所を吹き飛ばし、大量の草と土を巻き上げた。
後一歩彼女が動くのが遅かったら、光は彼女をばらばらにしていただろう。
「ピットフォール!」
女神像の進行方向に向けて魔術を撃つフラウ。
女神像が歩む先の地面に、巨大な穴が空いた。
ピットフォールは落とし穴を掘る魔術で、普通はせいぜい一メートルくらいの穴しかできないものなのだが、かなり魔力を込めたのだろう。今フラウが掘った穴は、十メートル近くある女神像の全身が入るほどの大きさがあった。
女神像が、穴に踏み込む。
段差につまづいて、女神像が体勢を崩す。両手を地面についた格好になり、女神像の動きが止まった。
チャンスだ、が──穴は僕たちからしたらちょっとした崖のようなものなので、女神像に飛び移るには無理がある。距離が開きすぎているのだ。
アラグが叫んだ。
「シルカ! 来い!」
彼は駆け寄った僕を抱き抱えると、そのまま穴の縁まで走った。
「投げるぞ! 飛び移れ!」
「ええ!?」
びっくりしてアラグを見る僕。
彼は全身に勢いを付けて、僕を女神像めがけて投げつけた!
「うわぁぁ!?」
僕は女神像の腰に激突し、表面を滑るように転がり落ちた。
何とか手が引っ掛かる場所を見つけて、指を差し込んで力を込める。
僕は女神像の尻の辺りに抱き付く形で、女神像にくっついた。
女神像に接触することはできたが……落ちないように踏ん張ることで精一杯で、これでは錬金術を発動させることができない。
何とか、落ち着いて精神集中ができる箇所──肩辺りまで移動しなければ。
「シルカ! 大丈夫!?」
眼下から僕に呼びかけてくるフラウ。
僕は奥歯を噛み締めて、少しずつ女神像の表面を登っていった。
女神像が、穴から這い出る。
全身が揺れて、僕は思わず手を離しそうになった。
「くっ……!」
指先が痛い。腕が震える。手の甲が攣りそうだ。
何度も滑り落ちそうになりながら、僕は懸命に女神像の体を這い登った。
今の僕は、きっと滑稽な格好をしているのだろう。窓にへばりつく虫のように。
笑いたければ笑えばいいさ。僕にとってはそんなことなんて些細なことだ。
腰を、背を超えて、遂に僕は女神像の肩に到達した。
此処なら、足が付けられる。錬金術を使うことができる。
僕はふーっと息を吐いて精神を集中させ、両手を女神像の肩にしっかりと付けた。
そこに、女神像の右手が迫ってきた。
錬金術を使うことに気を取られていた僕は、迫り来る手の存在に気付くことに遅れ、
そのまま正面から攫うように、女神像の右手に掴まれてしまった。
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