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第108話 錬金術が守る遺跡
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アメミヤから遺跡のあるクロウワ岬までは、馬車で十日ほどかかるらしい。
以前行ったスエルニャ洞穴。それと同じくらいの距離だ。
仕事を依頼した者の責任だから、とジュードさんは僕の分の食事まで用意してくれていた。
僕も一応携帯食は用意してきてたけど、彼の好意は有難く受け取ることにした。
馬車に乗りながら、彼とは色々な話をした。
彼が各地のダンジョンに腕試しのために単独で潜っていることや、最近拠点にしているガラム地方の街は魚料理が美味い、ということなど。
僕からも話を持ちかけてみた。
何となくブランたちのことを思い出し、海賊王について何か知ってることはないか、と問うと、彼は少し考え込んだ後にこんな話をしてくれた。
曰く、海賊王は錬金術に長けた人物で、財宝は複雑な錬金術の封印を施して隠していたらしい、ということや、信用の置ける側近には自ら作った錬金術の武器を持たせていたということなど。
海賊なのに錬金術に長けていたとは……世の中には色々な人間がいるものだね。僕みたいに。
そうして親睦を深めながら馬車生活を続けること、十日。僕たちは遺跡のあるクロウワ岬に到着した。
岬の入口には村があったので、そこで一泊して馬車旅の疲れを癒すことになった。
風呂に入りながら自分の体を見て、ちょっと引き締まってきたなぁ、などと思う。
ここのところあちこちに引っ張り出されてばかりだったから、それが運動になって筋肉が付いてきたのだろう。
多少は昔の体に近付いたのかな、と過去の自分を思い出しながら、僕は宿での時間をゆったりと過ごした。
ゆっくりと体を休めて、翌日。
僕たちは、遺跡を目指して村を出発した。
クロウワ遺跡は、外観は二階のない城のような形をした建物だった。
入口は大きく、左右には翼を広げた鳥の姿を象った彫像が置かれている。
建物は、煉瓦造りだ。風雨による多少の劣化は見られるが、派手に欠けている様子もなく、遺跡にしては綺麗なように見えた。
「罠は潰してあるから中は安全だ。最深部まで一気に行くぞ」
掌に魔光を点して、ジュードさんは先陣を切って遺跡の中に入っていった。
ジュードさんは多少魔術が使えるらしい。わざわざ鎧でなく魔術師のローブを着ているのも、魔力を強化するためなのだということを教えてくれた。
僕は彼から離れないように、彼のすぐ後ろを付いていった。
遺跡の内部は、綺麗だった外観が嘘のように目茶苦茶に壊れていた。
壁は砕け、天井は崩落しかけており、床は煉瓦が浮き上がってでこぼこになっている。
何でもこれらは、仕掛けられていた錬金術の罠を無理矢理無力化させたからこうなってしまったらしい。
一体何をやったのかは知らないが、随分無茶なことをやったらしいということは分かる。
派手に崩れた部屋を幾つも通り抜け、長い複雑な通路をジュードさんの案内で迷うことなく進んでいき。
遂に僕たちは、ジュードさんが言っていた最奥の部屋──封印された扉がある場所に到着した。
扉には、一面に大きく見覚えのある形の模様が彫られている。
扉の左右に、小さな台座がふたつある。台座には扉にあるものと同じ模様が刻まれており、台座の中心は微妙に丸く凹んでいた。
これは……例の石に刻まれていた鳥を象った模様だ。
僕は肩に下げていた鞄から、石を取り出した。
同じく腰の袋から石を取り出しながら、ジュードさんは言った。
「此処にこの石を置くんだ。そうすれば、此処の扉が開くようになっている」
「成程……それじゃあ、置くよ」
僕は右側の台座に、石を静かに置いた。
やや遅れて左の台座に石を置くジュードさん。
ふたつの石が台座に乗った瞬間──扉に彫られている鳥の模様が、青い光を放った。
ず……と重たいものがずれ動く音。
僕たちの目の前で、閉ざされていた扉が、左右に引かれるように開いていった。
扉の先にあるものは、闇。
随分広い部屋であるということは分かるが、何があるのかは此処からでは全く見えなかった。
「ライティング」
部屋の中に魔光を放って、ジュードさんが扉をくぐる。
光が白く照らす部屋の中に、僕も足を踏み入れた。
以前行ったスエルニャ洞穴。それと同じくらいの距離だ。
仕事を依頼した者の責任だから、とジュードさんは僕の分の食事まで用意してくれていた。
僕も一応携帯食は用意してきてたけど、彼の好意は有難く受け取ることにした。
馬車に乗りながら、彼とは色々な話をした。
彼が各地のダンジョンに腕試しのために単独で潜っていることや、最近拠点にしているガラム地方の街は魚料理が美味い、ということなど。
僕からも話を持ちかけてみた。
何となくブランたちのことを思い出し、海賊王について何か知ってることはないか、と問うと、彼は少し考え込んだ後にこんな話をしてくれた。
曰く、海賊王は錬金術に長けた人物で、財宝は複雑な錬金術の封印を施して隠していたらしい、ということや、信用の置ける側近には自ら作った錬金術の武器を持たせていたということなど。
海賊なのに錬金術に長けていたとは……世の中には色々な人間がいるものだね。僕みたいに。
そうして親睦を深めながら馬車生活を続けること、十日。僕たちは遺跡のあるクロウワ岬に到着した。
岬の入口には村があったので、そこで一泊して馬車旅の疲れを癒すことになった。
風呂に入りながら自分の体を見て、ちょっと引き締まってきたなぁ、などと思う。
ここのところあちこちに引っ張り出されてばかりだったから、それが運動になって筋肉が付いてきたのだろう。
多少は昔の体に近付いたのかな、と過去の自分を思い出しながら、僕は宿での時間をゆったりと過ごした。
ゆっくりと体を休めて、翌日。
僕たちは、遺跡を目指して村を出発した。
クロウワ遺跡は、外観は二階のない城のような形をした建物だった。
入口は大きく、左右には翼を広げた鳥の姿を象った彫像が置かれている。
建物は、煉瓦造りだ。風雨による多少の劣化は見られるが、派手に欠けている様子もなく、遺跡にしては綺麗なように見えた。
「罠は潰してあるから中は安全だ。最深部まで一気に行くぞ」
掌に魔光を点して、ジュードさんは先陣を切って遺跡の中に入っていった。
ジュードさんは多少魔術が使えるらしい。わざわざ鎧でなく魔術師のローブを着ているのも、魔力を強化するためなのだということを教えてくれた。
僕は彼から離れないように、彼のすぐ後ろを付いていった。
遺跡の内部は、綺麗だった外観が嘘のように目茶苦茶に壊れていた。
壁は砕け、天井は崩落しかけており、床は煉瓦が浮き上がってでこぼこになっている。
何でもこれらは、仕掛けられていた錬金術の罠を無理矢理無力化させたからこうなってしまったらしい。
一体何をやったのかは知らないが、随分無茶なことをやったらしいということは分かる。
派手に崩れた部屋を幾つも通り抜け、長い複雑な通路をジュードさんの案内で迷うことなく進んでいき。
遂に僕たちは、ジュードさんが言っていた最奥の部屋──封印された扉がある場所に到着した。
扉には、一面に大きく見覚えのある形の模様が彫られている。
扉の左右に、小さな台座がふたつある。台座には扉にあるものと同じ模様が刻まれており、台座の中心は微妙に丸く凹んでいた。
これは……例の石に刻まれていた鳥を象った模様だ。
僕は肩に下げていた鞄から、石を取り出した。
同じく腰の袋から石を取り出しながら、ジュードさんは言った。
「此処にこの石を置くんだ。そうすれば、此処の扉が開くようになっている」
「成程……それじゃあ、置くよ」
僕は右側の台座に、石を静かに置いた。
やや遅れて左の台座に石を置くジュードさん。
ふたつの石が台座に乗った瞬間──扉に彫られている鳥の模様が、青い光を放った。
ず……と重たいものがずれ動く音。
僕たちの目の前で、閉ざされていた扉が、左右に引かれるように開いていった。
扉の先にあるものは、闇。
随分広い部屋であるということは分かるが、何があるのかは此処からでは全く見えなかった。
「ライティング」
部屋の中に魔光を放って、ジュードさんが扉をくぐる。
光が白く照らす部屋の中に、僕も足を踏み入れた。
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