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【第一鐘〜夜の少年と真白き少女〜】
26 夜明けの色
しおりを挟む考えるトゥリアの耳に、突然パシャっと水が撥ねる音が飛び込んで来た。
「フィン?」
反射的に名前を呼びながら、音がした方へと振り返る。
畑と森の木々との境目。イルミンスールの木を背にした時、畑の左手側にあたる場所にあった大小の石を組み合わせた水場にフィンの姿はあった。
森の何処からか引いているらしい水は澄んでいて、大きなすり鉢状の石に流れ込んだ後、その作られた水溜めから溢れて、小さな石の詰められた洗い場のような場所へと落ち、そこから更に畑へと引かれていく。
その水でフィンは顔を洗っているようだった。
手の平で掬った水を顔へと、そうして煌めきの飛沫を散らす。トゥリアがそんなフィンの様子を見るともなしに眺めていると、フィンは突然、水汲み用の桶に溜めた水を頭から被った。
「フィン!!?」
何事なのかと、焦ててフィンを呼ぶトゥリア。
駆け寄るトゥリアを、白金の髪から水を滴らせたフィンが迎える。
そして、髪と同じ色合いの長い睫毛が繊細な光を弾き、その光の瞬きに縁取られながら、すぅっと開かれたその双眸の色合いにトゥリアは息を呑んだ。
フィンの行動に対する驚きすらも忘れて、トゥリアは見詰め、見入る。
「・・・夜明けの色なんだ」
足を止め、見詰めた瞳にゆっくりと吐き出す吐息に言葉を乗せる。そうして、フィンの双方が宿すその光に、言葉は自然とトゥリアの口から零れ出ていた。
「・・・夜明けの色?」
「えっと、ああ、そうだね」
そこにあるのは、悠遠の時、変わる事のない光をその瞳の深奥に宿した薄い藍色の瞳。
濡れた髪から滴る雫が、フィンの髪色を映し白金色の光を宿す糸であるかのように、その瞳の色を彩っている。
トゥリアを見て、徐に問うフィンの言葉から、先程自分自身が言った言葉を思い出し、トゥリアは頷く。
「蒼天の青よりも深い色があって、でも昇り始めた日の白い光がどこまでも限りない透明感を見せるんだ。そこにあるのは、フィンの目と同じ色だ」
見上げる空には、青でも紫でもない、澄んだ光を宿した藍色の色彩。夜の闇を越えて、朝とも言えない狭間の時間を映す、時の移り変わる一瞬の色合いが残っていた。
「きれいな色だよ」
眺める空へトゥリアは呟く。
「空が白み始めると、夜明けはすぐだからかな、夜を抜けて、朝でもある色なんだ」
「・・・・・・」
トゥリアが綺麗だと言った言葉にはフィンは全くの無反応だった。
付け加えた言葉、その言葉が間接的にフィンの目が綺麗だと言っている事をトゥリアは自覚していた。
その事に反応されても赤面する結果となる事は確実だが、気にされないなら、それはそれで落ち込むものらしい。
「・・の果ての色」
「え?」
何の果てとフィンは言ったのか。聞き返そうとするが、その後のフィンの躊躇いない行動にトゥリアはまたも声を上げる事になった。
「って、ああっ!フィン!?」
ぱしゃんと言う水音にはっとし止めに動くトゥリア。
瞳の色がどうだとか、綺麗と言ったトゥリアの言葉に全くの無反応でちょっとばかりショックだったとか、そもそもがそれどころではなかったのだ。
「フィン・・・?」
見詰めるトゥリアの驚き等お構いなしに、フィンは再び被った水で濡れそぼった髪を表情なく見遣り、桶を持つ右手とは逆の手で垂れ下がって来る髪を持ち上げようとしていた。
「ん」
どこか煩わしげに、小さく呻くように吐き出される息。
「えっと、水浴びしたかったってことかな?」
何となくだが思い至ったフィンの行動の意味に、自然とトゥリアの表情には苦笑か生じる。
「でもタオルとか、それに服のままって」
色々とどうしたものかと考えながらもトゥリアは一先ず、フィンがもて余している桶を受け取るべく手を伸ばした。
「・・・ありがと」
「うん」
逡巡のような間は、差し出された手の意味を考える時間だろうか。
桶の方へと差し出されたトゥリアの手に、フィンの微かな声がお礼を告げる。
頷きながらも、フィンの手から桶を受け取ろうとして、その瞬間トゥリアは驚きに目を見開いた。
「っ!!」
受け取ろうして触れてしまったフィンの手の、あまりの冷たさにトゥリアは思わず息を呑んでいた。
「もしかして」
僅かに触れてしまっただけのフィンの手。受け取った桶を水場の縁に置きながらもトゥリアは固い声で呟いた。
手を伸ばし、見詰める澄んだ水面へと、トゥリアは恐る恐る自分の手を差し入れる。
「っ!!?」
冷たいという感覚より鋭い痛みが指先へと走った。
反射的に水中から引き抜いた手が、外気に触れる事でようやく冷たいと言う感覚を思い出たかのように、じんじんと鈍く疼くような痛みを訴え初める。
「凄く、冷たいんだね」
どうにかフィンへ告げるそれだけの言葉。
「ここの水は冷たい?もともとはあの湖から来ている水で石灰分を多く含んでて、小さな生き物がいないから、だから綺麗で、何もいない。いられない」
フィンが伸ばした人差し指を向けるのはログハウスの方。正しくは、その向こうにあたるあの湖だろう。
その坦々とした説明の言葉に、トゥリアはもう一度澄んだ水の流れの先、森の中へと消えて行く、その辿る事が出来る限りの先を見詰める。
静謐の流れ。
それは不意にトゥリアの脳裏へと浮かんだ言葉だった。
ただ静かなだけではなく、流れの底に沈み、朽ちる事なく在り続ける、どこからかこの場所へと流れ着いた木の枝。
水底に沈澱する白い色は、フィンが言うように土壌が含む石灰成分の色なのだろう。その石灰質の成分が、生き物が住めない程、多量に溶け出している冷たい水。
それがこの場所に流れて来ている水なのだろう。
「ちょっと冷た過ぎる気もするけれど、きっと飲めば美味しいと思う。でも、そう。きれい過ぎる水に生き物は住めないんだ」
生き物を育む事のない水。潤いを得るだけたなら問題はないが、魚達等そこで生きて行こうとするもの達にとっては、餌となる植物や小さな生き物すらも生きる事の出来ない水では駄目なのだ。
「じゃなくて、フィン、タオルだよ!毛布?あ、それとも火とかおこした方が?!え?って、ええ!?」
濡れて水を滴らせる白金の髪。
トゥリアの混乱と焦りの声を気にも止めてくれる事なく、垂れ下がって顔に張り付く前髪の状態に、突如としてフィンはその頭を振り始めた。
唖然と動きを止めたトゥリアの目の前で、それはもう、ぶんぶんと、そんな擬音を立て表現したい激しさで振り続けられる頭。
それは、雨に濡れそぼった後の動物が身体を振るわせ、濡れた毛皮から水滴を飛ばすかのようなそんな仕種を想起させる光景だった。
「ちょ、フィン?フィンってば」
飛んで来る雫から顔を両腕でガードしてトゥリアは呼ぶが、フィンは濡れた頭が余程気になるのか、執拗なまでに首を振り続けている。
そして、ようやくその動きが止まったと思った矢先、今度は不自然な動きで、左右から前後からと、足もとすらも覚束なく、フィンの身体はふらふらと揺れていた。
「大丈夫?」
「・・・ら・・・くら、くらくら」
「それは、うん。まぁ」
呂律までも怪しく、そもそも直ぐには言葉にもならなかったのか、たどたどしい調子でフィンは自分の状態をそう訴えた。
その言葉を当然だろうとトゥリアは思うが、そこは口にはせず曖昧な微笑みの中にごまかしてしまう。
フィンの髪はまだ湿っているものの、毛先から滴る雫は既に殆どない。それはそれだけ激しく頭を振り続けていたという事で、ふらつくだけで目眩に倒れない方がおかしいと思うぐらいなのだ。
「ん、ん・・・」
無造作に手で梳いて抑えようとしているらしい乱れた髪の状態。
顔にかかるのがやはり鬱陶しいのだろう。フィンは前に落ちて来る部分だけでも掻き分けて、整えようと手を動かす。
白くしなやかな五指が、白金の髪を梳き流して行く様子。
だが、トゥリアの見ている限り、その作業はあまり上手くいってはいない。それどころか、細い髪が徐々に指へと絡みついていってしまっているように見える。
フィンの仕種に、見取れている場合ではないらしい状況。
そうして、薄い藍色の瞳が、自身の顔の右横で、銀糸に捕われている様を無頓着に見詰めた。
トゥリアがその眼差しに、良くないものを感じた時、フィンには、現状が既にどうにもならなくなってしまってるようで、遂には無表情で強く握り混んだ指に力を、
「って、ちょっと待って!だめだって!」
はっとトゥリアは叫んでいた。
明らかに、力任せに引き千切ろうとしている気配を感じ取り、トゥリアは慌てて制止の声を上げると同時に、凶行に及ぼうとしていたフィンの腕を掴んだ。
「あぶなかった、僕がやってみるから、ちょっと待って、髪に触るよ?」
一応の断りをいれてから、トゥリアは手を髪に絡ませたフィンを目の前に立たせると、その頭を手櫛で撫でるようにして少しずつ丁寧に梳いて行った。
そして、直ぐに困難を思い知る。
トゥリアに経験はなかったが、長さのある髪は一度絡んでしまうと、糸や紐等よりも余程厄介らしい。
別段慣れている訳ではないので、トゥリアもまた四苦八苦しながらも慎重に、細く繊細な髪の一本ずつを解いていく。
数分どころでは済まなかっただろう。十数分、もしくは数十分の時間をかけて、まず自由にするのは、髪の絡んでいたフィンの指。その間中、嫌がる素振りもないフィンは、トゥリアにされるがままとなっていてくれた。
「それにしても、大丈夫じゃないよね?水、かなり冷たかったでしょ?」
「うん?水、大丈夫」
「そうなの?」
作業を続けながらも気遣い窺うフィンの体調。その相槌に、トゥリアは慣れだろうかと考える。
先程トゥリアが水に触れた指先には、未だに麻痺した時のような鈍い感覚が残っていた。
あの切りつけられたと錯覚するかのような冷たさは、慣れる事が出来るような感覚の限度を超えているように思われたのだ。
「あれ?服が、濡れてない?」
一本の髪も犠牲にする事なく、だいたいを梳かし終わり仕上げに手のひらで撫で付けるように、そうして一仕事終えた安堵の息を吐いた時、トゥリアは気が付いた。
そもそも、フィンが自分の髪の毛を引き千切ろうとするのを見た衝撃で考えが及ばなくなっていたが、トゥリアはまずフィンの濡れた状態をなんとかしなければいけなかった筈なのだ。
冷た過ぎる水をフィンは先程、全身に浴び、その髪にも未だ水気が残り湿っていた。
そんな状態なら当然服はびしょ濡れで、身体に張り付いているのが普通な筈だろう。だがトゥリアが見る限り、フィンの来ているチュニックは濡れるどころか水気を含んだ様子もないのだ。
瞬きするフィンの繊細な睫毛にも、飛沫の雫が微かに煌めいているのにだ。
着込んだ服の生地にも、濡れて肌が透けてしまうと言う事はなく、無論、薄い青色の布地が肌に張り付いて、身体のラインが丸分かりという展開もない訳で・・・
「って、わわ、わ。ない!そんなこと全然思ってない!考えてないから!!」
瞬間的に上げてしまう否定の声はとにかく全力だった。
トゥリアも一応男だという悲しき性か、理性の手綱を引き摺り回して脳内を爆走する想像力まではどうしようもないのだ。
だがそこはトゥリアという人間の生真面目さ、或いは根性のなさで殆ど妄想する事すら出来ず、赤面した顔を左右に激しく振る事で、浮かびかけた全てを意識の根底から根こそぎ払拭せんと努力してしまう。
「うん?」
「う、うん、そう、僕も顔ぐらい洗わないとね」
空笑いの不審さを悟られはしなかっただろうか。
先程のフィンではないが、振り過ぎて目眩を感じ始めた頭にトゥリアも水を一掬いすると顔を洗う。
冷た過ぎる水は、熱くなったトゥリアの頭をクールダウンさせる為には寧ろ最適だった。
濡れて、水滴を滴らせながら顔に張り付く黒い前髪。タオル等もない為、顔を拭く事は出来ず、けれど頭も意識もはっきりした。
そしてトゥリアは、顔を洗った時に飛び散った水の飛沫が、自分の服を濡らしている事を確認する。
「フィンの服、火繊石の紡ぎ糸を使ってるってことなのかな?」
フィンの着るチュニックとその上から着込まれたポンチョのような上着。
光の加減でようやくわかる程度だったが、その生地の繊維には起毛の滑らかさと、所々絹糸光沢を放つ糸が混じっているのが見て取れた。
「えっと、南方域でも北西に位置する街の特産で 火繊石って鉱物があるんだけど、あの鉱物は火の念波を帯びている石で、加工もしやすいからよく冒険者の装備品の加工材料に使われたりするんだ」
「火のパルスで加工材料・・・」
「うん。パルスの相殺や相乗効果の話はちょっと省くけれど、火のパルスを保持する物質は火のパルスと水や氷のパルスに作用する」
「・・・?」
トゥリアの言おうとしている事が分からないのだろう、フィンの傾げる首が、首だけでは済んでいない、身体ごと傾げ過ぎなぐらいの体勢になって行く。
「いやいやいや、そんなに深く考えこまないで良いから、ただフィンの来ている服が、火繊石の加工品なら、水のパルスからなる湖の水に浸かっても弾いてしまって、それでフィンが濡れてないのかなって、そう言う感じなんだけどね」
「濡れてない、のはおかしい?」
倒れ兼ねない傾き具合から、トゥリアは慌てて言葉を続け、フィンの疑問行動を止めた。
「う~ん、特殊な素材ならそう言うこともあるかな。後は焔輝晶とか、火鼠や氷晶魔の加工品なんかが、水に影響力を持つ素材かな」
自分でそう説明するが、トゥリア自身がいまいち納得出来ない何かを感じているかのように首を傾げた。
「焔輝晶の加工ができるぐらい高純度のものや、氷晶魔の存在はそれ自体が凄く稀少で、僕も見たことぐらいしかないから」
「でも?」
曖昧なトゥリアの反応をフィンが短い言葉で促す。
「うん、僕も詳しくないからはっきりしたところはなんとも、なんだけどね」
間近に眺める服の布地は、作りからしても何処か見慣れないもので、その素材を判断しようとしても、いまいち分かり難いのだ。
「特徴のあるものだったら、フィンのゆかりの場所なんかがわかるかなって思ったんだ」
「どこから?」
遠回しにフィンの素性を確かめようとしてみたが、呟くフィンの様子がその意図を捉えていない、もしくは、答え自体を持っていない事を伝える。
ーピュイッー
それ以上の会話を遮る高い鳴き声が、早朝の澄んだ空気の彼方にまで響き渡った。
ばさりと、重く空気を叩いて飛び立つ鋭い羽音は一瞬。
瞬時に辿り着く中天に、森の彼方へと上った日の光の中をセフィが伸ばした翼で悠々と羽ばたいて行く眺め。
月の光とは異なる陽の光を受け、セフィの羽は散乱させる七色の光を纏っているかのように輝いていた。
「すごい」
感嘆の思いが強過ぎて、トゥリアは何の飾り気もない、それだけの思いを言葉にするのがやっとだった。
「・・・あの子が“外”を知っているから」
「外?」
促すフィンの言葉を聞き、セフィの姿にただ見入っていたトゥリアは頷く。
あの姿に導かれれば、望む場所へと辿り着く事が出来る。そんな予感があった。
反射的に走り出そうとして、けれど、踏み出しかけた足は結局のところ、何処かに向かおうとするでもなく、その場に縫い付けられでもしているかのように、トゥリアはただ地上からセフィの姿を仰ぎ見ていた。
そして、トゥリアはフィンを見る。
「ごめんフィン」
「うん?」
「“外”の前に、連れていって欲しい場所があるんだ」
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