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Second Tales:生意気なドラゴンにどちらが上かわからせます
Tale18:ふわふわタイムでレベルアップです
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忙しそうなオージちゃんから、ミリナちゃんの勉強依頼をさっと受けて。
私とスラリアは手を繋ぎながら、のんびりと郊外の農場まで出向いていった。
『テイルズ・オンライン』ではレベルアップに経験値が必要だが、その稼ぎ方は魔物との戦闘だけに限らない。
これでレベルが上がるのかと一番驚いたのは、PvP闘技大会の賞金で家を購入したときだ。
いくつかの物件の下見をして、そのうちの一軒を購入。
いざ新生活だー、と家に足を踏み入れた瞬間にレベルが上がったのだ。
獲得した経験値が表示されるわけではないから憶測にすぎないけれど。
おそらく、なにかを“経験”したときに経験値をもらえるのだろう。
まったく同じことを繰り返しているとレベルが上がりにくくなるような感覚もあるので、この考えは間違っていないと思う。
まさに経験値とは、よく言ったものである。
「お姉ちゃーん、スラリアお姉ちゃーん」
街道の先で、こちらに気づいた可愛いミリナちゃんが可愛く手をぶんぶん振ってくれる。
ちなみに、この依頼『娘の勉強を見てください』は数十回受けているけれど、もらえる経験値が少なくなっているとは感じない。
当たり前のことだが、ミリナちゃんに教える範囲はどんどん先に進んで変わっていっている。
だから、同じことを行っているのではないという判定なのだろう。
いやぁ、可愛いなと思っているだけでレベルが上がるなんて、一石で二鳥も三鳥も落とせてぼろ儲けやでぇ。
そんな腹づもりを持ちながら、まだ小さく見えているミリナちゃんに向かって手をぶんぶんと振り返す。
「お姉様、締まりのない表情になっていますよ」
「おっと、いけないいけない、これからは先生だった」
スラリアにこっそり指摘してもらってなかったら、ミリナちゃんに威厳のない姿を見せるところだった。
じゃあスラリアと仲睦まじく手を繋いでいるのは威厳があるのか、というツッコミはしないでいただこう。
ちょっとした癒やしが必要だったのだ、オージちゃん恐かったし。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「この前久しぶりに神殿に行ったら、すっごい褒められたんだよ」
勉強が一通り終わって、そう教えてくれるミリナちゃん。
神殿はこの世界における学校のようなもので、通ってくる子どもたちに勉強を教える場所だ。
しかし、ミリナちゃんのように、農作業の手伝いなどで満足に通えない子どもも多く存在している。
ただ、それは時間的な制約によるもので、いまミリナちゃんが言ったように、空いている日に行くのは自由なのだそうだ。
「すごいね、ミリナちゃん。私も嬉しいな」
他の子どもたちがどのくらいまでの勉強をしているのかわからないが、すでにミリナちゃんは現実で言う中学範囲までの学習を終えていた。
もちろん古文や漢文、社会のようなこの世界に存在しない学問を抜かして、だけれど。
それにしても、10歳そこそこのミリナちゃんが修めるには行きすぎている範囲ではある。
だから褒められるのも当たり前かもしれないが、それもミリナちゃんの頑張りが存在するからこそだ。
「楽しかったなぁ……おっきいお兄ちゃんとかお姉ちゃんとかといっしょに勉強したんだけどね、みんな『また来てね』って言ってくれたの」
“おっきい”というのは、どのくらい年上のことだろう。
まあ、ミリナちゃんぐらいの年齢からすると、上の子はみんな“おっきい”部類に入るか。
「いっぱいお手伝いして、また神殿に行けるようにするんだ」
「ミリナちゃん、偉いっ! スラリア、よく撫でてあげるように」
「はいっ! 偉いねー、ミリナちゃん、よしよしー」
両の拳を握ってやる気満々のミリナちゃん。
そのふわふわな頭を、よしよしと撫でるスラリア。
そんな可愛い二人を腕組みしながら眺めて、私は師匠の雰囲気を醸し出す。
うむ、これでレベルが上がるのだ。
まさに“神ゲー”というもので、『テイルズ・オンライン』のさらなる再販が声高に叫ばれるのも頷ける話である。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【名前】リリア
【レベル】29
【ジョブ】テイマー
【使用武器】スライム:習熟度8
【名前】スラリア
【使用武器】ローゼン・ソード:習熟度5
【ステータス】
物理攻撃:105 物理防御:55
魔力:85 敏捷:40 幸運:50
【スキル】
スライム強化:使用武器スライムのステータスが、一時的に大程度だけ増加します。
なつき度強化:隠れステータス、魔物のなつき度の上昇値が大程度だけ増加します。
勇敢:恐怖の状態異常への耐性が、大程度だけ増加します。
知恵の泉:思考速度を零程度だけ増加します。
魅了:NPCに与える好感度を零程度だけ増加します。
同調:テイマー専用、習熟度5以上の魔物を一定時間、身体に宿すことができます。
不器用:物理防御のステータス値を、10%だけ増加します。
統率:範囲内の任意の対象のステータスを、小程度だけ増加します。
灯火:暗闇の状態異常への耐性が、小程度だけ増加します。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
レベルアップで付与された10ポイントのステータスは、魔力と敏捷に半分ずつ振ってみた。
さらに速くなると、身体の制御が難しくなってしまうのだけれど。
そもそもあのドラゴンの攻撃を一度でも避けられなければ、勝機すら掴むことができない。
あとは、スキル統率のグレードアップは済ませておきたいかな。
物理攻撃、物理防御が高いに越したことはないからね。
私とスラリアは手を繋ぎながら、のんびりと郊外の農場まで出向いていった。
『テイルズ・オンライン』ではレベルアップに経験値が必要だが、その稼ぎ方は魔物との戦闘だけに限らない。
これでレベルが上がるのかと一番驚いたのは、PvP闘技大会の賞金で家を購入したときだ。
いくつかの物件の下見をして、そのうちの一軒を購入。
いざ新生活だー、と家に足を踏み入れた瞬間にレベルが上がったのだ。
獲得した経験値が表示されるわけではないから憶測にすぎないけれど。
おそらく、なにかを“経験”したときに経験値をもらえるのだろう。
まったく同じことを繰り返しているとレベルが上がりにくくなるような感覚もあるので、この考えは間違っていないと思う。
まさに経験値とは、よく言ったものである。
「お姉ちゃーん、スラリアお姉ちゃーん」
街道の先で、こちらに気づいた可愛いミリナちゃんが可愛く手をぶんぶん振ってくれる。
ちなみに、この依頼『娘の勉強を見てください』は数十回受けているけれど、もらえる経験値が少なくなっているとは感じない。
当たり前のことだが、ミリナちゃんに教える範囲はどんどん先に進んで変わっていっている。
だから、同じことを行っているのではないという判定なのだろう。
いやぁ、可愛いなと思っているだけでレベルが上がるなんて、一石で二鳥も三鳥も落とせてぼろ儲けやでぇ。
そんな腹づもりを持ちながら、まだ小さく見えているミリナちゃんに向かって手をぶんぶんと振り返す。
「お姉様、締まりのない表情になっていますよ」
「おっと、いけないいけない、これからは先生だった」
スラリアにこっそり指摘してもらってなかったら、ミリナちゃんに威厳のない姿を見せるところだった。
じゃあスラリアと仲睦まじく手を繋いでいるのは威厳があるのか、というツッコミはしないでいただこう。
ちょっとした癒やしが必要だったのだ、オージちゃん恐かったし。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「この前久しぶりに神殿に行ったら、すっごい褒められたんだよ」
勉強が一通り終わって、そう教えてくれるミリナちゃん。
神殿はこの世界における学校のようなもので、通ってくる子どもたちに勉強を教える場所だ。
しかし、ミリナちゃんのように、農作業の手伝いなどで満足に通えない子どもも多く存在している。
ただ、それは時間的な制約によるもので、いまミリナちゃんが言ったように、空いている日に行くのは自由なのだそうだ。
「すごいね、ミリナちゃん。私も嬉しいな」
他の子どもたちがどのくらいまでの勉強をしているのかわからないが、すでにミリナちゃんは現実で言う中学範囲までの学習を終えていた。
もちろん古文や漢文、社会のようなこの世界に存在しない学問を抜かして、だけれど。
それにしても、10歳そこそこのミリナちゃんが修めるには行きすぎている範囲ではある。
だから褒められるのも当たり前かもしれないが、それもミリナちゃんの頑張りが存在するからこそだ。
「楽しかったなぁ……おっきいお兄ちゃんとかお姉ちゃんとかといっしょに勉強したんだけどね、みんな『また来てね』って言ってくれたの」
“おっきい”というのは、どのくらい年上のことだろう。
まあ、ミリナちゃんぐらいの年齢からすると、上の子はみんな“おっきい”部類に入るか。
「いっぱいお手伝いして、また神殿に行けるようにするんだ」
「ミリナちゃん、偉いっ! スラリア、よく撫でてあげるように」
「はいっ! 偉いねー、ミリナちゃん、よしよしー」
両の拳を握ってやる気満々のミリナちゃん。
そのふわふわな頭を、よしよしと撫でるスラリア。
そんな可愛い二人を腕組みしながら眺めて、私は師匠の雰囲気を醸し出す。
うむ、これでレベルが上がるのだ。
まさに“神ゲー”というもので、『テイルズ・オンライン』のさらなる再販が声高に叫ばれるのも頷ける話である。
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【名前】リリア
【レベル】29
【ジョブ】テイマー
【使用武器】スライム:習熟度8
【名前】スラリア
【使用武器】ローゼン・ソード:習熟度5
【ステータス】
物理攻撃:105 物理防御:55
魔力:85 敏捷:40 幸運:50
【スキル】
スライム強化:使用武器スライムのステータスが、一時的に大程度だけ増加します。
なつき度強化:隠れステータス、魔物のなつき度の上昇値が大程度だけ増加します。
勇敢:恐怖の状態異常への耐性が、大程度だけ増加します。
知恵の泉:思考速度を零程度だけ増加します。
魅了:NPCに与える好感度を零程度だけ増加します。
同調:テイマー専用、習熟度5以上の魔物を一定時間、身体に宿すことができます。
不器用:物理防御のステータス値を、10%だけ増加します。
統率:範囲内の任意の対象のステータスを、小程度だけ増加します。
灯火:暗闇の状態異常への耐性が、小程度だけ増加します。
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レベルアップで付与された10ポイントのステータスは、魔力と敏捷に半分ずつ振ってみた。
さらに速くなると、身体の制御が難しくなってしまうのだけれど。
そもそもあのドラゴンの攻撃を一度でも避けられなければ、勝機すら掴むことができない。
あとは、スキル統率のグレードアップは済ませておきたいかな。
物理攻撃、物理防御が高いに越したことはないからね。
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