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リンゴはいかが?
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スローライフを満喫し、旦那様の国に戻ってきた私は行商を始めた。
「いらっしゃい、いらっしゃい、今日はリンゴのいいのが入ったよ!」
一度やってみたかったのよね、王族ってこういうこと絶対できないもの。
「いらっしゃい、いらっしゃい!」
「一つもらおうか」
「はい、一つ…」
リンゴを手に振り返ると、なかなか格好いい金髪の男性が立っていた。
「リオナージュ・パエデリアだね?」
「クロス・エルトニア様でしょうか?」
「ああ、ようやく見つけたリオナージュ!」
歓喜余ったように抱きつこうとした手をさらりと躱し、リンゴをその鼻先に突きつける。
「人を冷遇して殺しておいて、はい、ハグ。はい、ラブといく訳がないでしょう? 抱きつく前に言うことはないのかしら?」
「申し訳ありませんでした。反省しています。二度とあなたに酷いことはしないと誓います! 愛し愛される関係になれるよう努力します! ーーですから、戻ってきていただけませんか?」
縋るような目をして差し出された手に、私は仕方がないと手を乗せてエスコートを受け入れた。
「一つ貸しですわ。浮気したら許しませんわよ?」
「しない!」
「あの離宮は嫌ですし、閉じ込めるなんて持っての他ですわ」
「あの女官はもういないから安心して」
「私だけを愛すると誓いますか?」
「誓う!」
手を引かれ、抱き寄せられる。
なんだなんだと様子を窺っていた周りから一斉に拍手が上がり、口々に囃され、私と旦那サマは照れ臭くなって笑い合った。
ーー旦那様、あれからずっと私のこと探してくれていたのね。
やりたいことをやり尽くした元気で健康的な私とすっかりやつれてクマが酷い旦那様。
先に酷いことをしたのは向こうだけれど、なんだか罪悪感がひしひしと…。
まさか見つけるのに6年もかかるなんて思わなかったんですもの…。
……。
………。
ちゃんと反省してるみたいだし、少しだけ優しくしようかしら…? なんて絆されてしまう私も、運命には弱いということかしら…。
まっ、今度やったら許しませんけど!
「いらっしゃい、いらっしゃい、今日はリンゴのいいのが入ったよ!」
一度やってみたかったのよね、王族ってこういうこと絶対できないもの。
「いらっしゃい、いらっしゃい!」
「一つもらおうか」
「はい、一つ…」
リンゴを手に振り返ると、なかなか格好いい金髪の男性が立っていた。
「リオナージュ・パエデリアだね?」
「クロス・エルトニア様でしょうか?」
「ああ、ようやく見つけたリオナージュ!」
歓喜余ったように抱きつこうとした手をさらりと躱し、リンゴをその鼻先に突きつける。
「人を冷遇して殺しておいて、はい、ハグ。はい、ラブといく訳がないでしょう? 抱きつく前に言うことはないのかしら?」
「申し訳ありませんでした。反省しています。二度とあなたに酷いことはしないと誓います! 愛し愛される関係になれるよう努力します! ーーですから、戻ってきていただけませんか?」
縋るような目をして差し出された手に、私は仕方がないと手を乗せてエスコートを受け入れた。
「一つ貸しですわ。浮気したら許しませんわよ?」
「しない!」
「あの離宮は嫌ですし、閉じ込めるなんて持っての他ですわ」
「あの女官はもういないから安心して」
「私だけを愛すると誓いますか?」
「誓う!」
手を引かれ、抱き寄せられる。
なんだなんだと様子を窺っていた周りから一斉に拍手が上がり、口々に囃され、私と旦那サマは照れ臭くなって笑い合った。
ーー旦那様、あれからずっと私のこと探してくれていたのね。
やりたいことをやり尽くした元気で健康的な私とすっかりやつれてクマが酷い旦那様。
先に酷いことをしたのは向こうだけれど、なんだか罪悪感がひしひしと…。
まさか見つけるのに6年もかかるなんて思わなかったんですもの…。
……。
………。
ちゃんと反省してるみたいだし、少しだけ優しくしようかしら…? なんて絆されてしまう私も、運命には弱いということかしら…。
まっ、今度やったら許しませんけど!
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