亡国の近衛騎士 ~追放された王家直属の最強護衛、幼なじみの旅商人と共に世界を回ることにする~

アイスクリーム仕立て

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第31話 懺悔の為の戦い

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「キシャァアアッ!!」

 知能を失い、得体の知れない巨大な化け物へと変貌をとげたソフォス。
 そして、ギロリとこちらを睨みつけているのだった。
 いつの間にか四足歩行になっており、一本一本の足が巨木のように太い。

「大きすぎる……! 一体何倍になったの!?」
「さあ…… それより、刃が通るかどうか分からないな」

 そうだ。どうやって切り込むか、だな。

「死ネェ、死ネェッッ!!」
「っ! 来るぞ!」

 ――ブォォォンッッ!!
 ソフォスは足を使って攻撃してくる!
 レアは後ろに、俺とアリアは上に飛んでそれぞれ避けた。

「ヌぅ! チョこまカとぉ……!」
「レア! 一緒に足を止めるぞ! そして切るんだ!」
「分かった!」

「グォォッ!!」
 来た! 二撃目だ!

 ――ブォォォンッッ!!
 今度は勢いよく足を振り下ろしてきた!
 だが、誰にも当たらない。

「ナぜダッ! 当タラない!」
「フッ、化け物になって頭が悪くなったか。大司教?」
「アリアァァッ!!」

 アリアの安い挑発にまんまと乗っかったソフォスは、狙いを彼女に定め、攻撃を仕掛ける!
 ありがとう、アリア。これで攻撃場所が予測できた。

 ――魔法陣展開 生成 棘!

「グワァッ!!」
 ソフォスの足は思いっきり地面から生えた巨大な棘に刺さった!

「今だっ、レア!」
「逃さない! 凍てつけッ、大地よ!!」

 ――ピシッ、ピシピシッ!!
 棘に刺さった足は、さらに凍り始める!

「ウぐッ…… 動かナい!」

 よし、準備は整った。こいつの足を、切る!!

「うおぉぉっっ!!」
 俺は勢いよく飛び上がり、左前の足に切りかかった!

「シュベルト! 危ないっ!」
「っ、別の足かっ!」
「食らエッッ!!」

 ――魔法陣展開 発動 魔法障壁

 ――ドォォォンッッ!!
 ソフォスの右前の方の足が、シュベルトが張った魔法障壁と激突する。
 くっ、さすがに持たないか……

 ――ピシッ、ピシッ、バリィィンッ!

「グアッ!」
 魔法障壁がついに破られ、俺は弾き飛ばされた!
 視界が回転する。受け身をっ……

「シュベルト! 大丈夫!? 立てる!?」
「……っ、ああ。何とかな」

 うぅ…… クッ、ズキズキ痛むな。
 俺は治癒魔法を使えない、こういうのは勘弁してほしいが……

「フフ、フフフッ! 当タッタ! 当タッタゾ!」
「……そんなよそ見をしている場合か? 食らえッ、煉獄剣を!」

 ――ズシャッ!
 
「うっ、やはり固いか…… でもっ! はぁぁぁっ!!」

 燃え盛る炎と共に、ソフォスの足に段々と食い込んでいく!
 
「グァァァッッ!!」
 ついに、ソフォスの足の一本を焼き切ることに成功した。
 ソフォスは痛みで悶え、無我夢中で暴れまわっている。

「壊ス……壊スッ!! 全テ……滅ボスッ!!」

 ――ズドォォォォォン!!
 四足のうち、残った三本で地を叩き、バネのような動きで跳び上がるソフォス。
 まるで山が跳ねたような衝撃。着地の瞬間、周囲の地面が爆ぜた。

「クッ、さすがに近づけん……」
 アリアは後ろに下がりざるを得なかった。

「俺が行くっ!」
「……シュベルト! 行けるのか!?」
 俺は再びソフォスに目掛け飛び上がった!

「ウォォォォッ!!」
 案の定攻撃してきたか。
 だが、それはもう予想済み。

 ――魔法陣展開 発動 転移!

「ナッ! 消エタ!」
「覚えておけ、俺に同じ攻撃は通用しない。そして、食らえ……」

 
 ――重複魔法陣・展開 発動…… 大雷撃・改!

 
 ――ボォォォン……
 至るところに魔法陣が現れ、そして青白く輝き始める。

「ナンダ! 何ガ起コッテイル!」
「……やれ」

 ――バリバリバリッッ!!
 シュベルトの合図と共に、すべての魔法陣から閃光のごとく雷がソフォスに襲い掛かった!

「ァ……ガ……!」
「まだこれで終わりじゃないぞ! 脳天に直接味わいさせてやる!」
 俺はソフォスの頭上に着地すると同時に、剣を突き刺す。

 ――バリッッ、バリバリィィッッ!!

「ヌァァァァ……」
「終わりだ」

 黒焦げになったソフォスは、そのまま地面に倒れ伏した。
 そして俺は剣をしまう。

 後ろを見るとレア、そしてアリアが駆け寄ってきていた。

「シュベルト! 凄いや、一体何の魔法? あのソフォスを一瞬で!」
「大魔法を使ったんだ。そこまでしないと奴は倒れなさそうだったからな……」

 流石に中まで焼き尽くしたんだ。回復は……しないだろう。

「なぁ、レア」
 ふと、アリアがそう言った。

「何? どうしたの?」
「その、ありがとう。あの時、助けてくれて」
「違うよ、あれを助けたのは私のお父さん。確かに私の前に現れたの」

「お父さん…… そうか、そうか…… そう、だったんだな……」

 アリアの目から涙があふれた。
 それを見て、レアは彼女のそばに寄る。
 
 しばらくの間俺は横で、静かに見守っていたのだった……

「……後は帰ってからにしよう。アリア、どうする?」
「……そうだな。だが、リウをこんな状態にしてしまったんだ。どの面を下げて行けばいいのか……」

「大丈夫。私が説得するから。ハンス爺も、分かってくれるって」

 ――ムクッ

「俺も、できることなら……」

 ――ムクムクムクッ……

「あぁ。許されないだろうが、誠心誠意謝って…… むっ?」
「ハハハハハッッ!! すーきーだーらーけぇぇぇぇぇっ!!」
「……え?」

 人型に戻ったソフォスは、短剣を持ってレアに襲い掛かかる!

 ――グサッ

「……っ、え? アリア……?」
「大丈夫か? レ、アぁ……」

 アリアはそのまま、地面に倒れた。

「あぁぁぁぁっ!! アリアっ!」
「ソフォス! お前ぇっ!」

「フフフフ、ハハ。やっぱり僕は不死身なんだ! 無敵なんだっ!」
 ソフォスはけたたましく笑い、そして顔を歪ませる。

 クッ…… こんな理不尽な力、許されるはずが!

「絶望したか? 貴方たちがいくら努力しても勝てるはずなど…… ん?」

 アリアは力なくとも、ソフォスの腹に煉獄剣を突き刺した。

「……」
「分かっているでしょう? 無駄だって。ハハハ……」
「いいや……間違ってる、ぞ? ソフォス……」

 煉獄剣の赤い魔石が段々と、光を増していく。

「フフフ、何ができると?」
「不死身ならば、死なないならば、もう復活できないようにすればいいんだ。何もかも、灰に返せばいい……」

 さらに、魔石の光が増していく。

「……! やめて、アリア!」
「……まさか、アリアっ! 魔力暴走を使って!」

「さようなら。すまなかった、みんな。そして、ありがとう」

 ――ピシッ……
 アリアの一粒の涙が落ちた。
 そして、それと同時に赤い魔石が割れた。

「逃げるぞ! レア!」
「いやぁぁぁぁぁっ! アリアっっ! あなたまでっっ!!」

 ――ゴォォォォッッ!!!
 教会の跡地は業火に包まれる。

 
 火は、次の日になるまで消えなかったという。
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