亡国の近衛騎士 ~追放された王家直属の最強護衛、幼なじみの旅商人と共に世界を回ることにする~

アイスクリーム仕立て

文字の大きさ
34 / 53

第32話 新たな旅路へ

しおりを挟む
 ソフォスの死により、ついにリウの教会は壊滅した。
 ダイフォスも降伏し、リウの壁は無くなり、東西統一を果たしたのだった……

 ――数日後……

「いやぁ、バルフォード! 1人であの聖騎士を止めたんだ。お前も聖騎士になっちゃえよ!」
「ハハハッッ! 俺だったら行けるかもな! その時はガルフを直属の部下にしてやる」

 リウの酒場は、いつになく賑わっていた。
 バルフォードや、ガルフ、そして自警団の皆でどんちゃん騒ぎである。
 それを俺は、近くからレアと一緒に見ていたのだった。

「おーい! シュベルト! お前も入れよ!」
「いや、俺は……」
「シュベルト? 飲むって約束だったよね?」
「えぇ?」

 俺はみんなに連れ去られるように、酒場の席に座らされた。

「みなさーん! 本日の主役のご登場だ!」
「「うおぉぉぉぉ!!」」

 バルフォード、顔真っ赤だぞ? 飲みすぎじゃないのか?
 とても不服だ、酒臭い……

「ほら、飲めよ! 俺のおごりだ!」
「……はぁ。仕方ない」

 ――ゴクッ、ゴクッ……
 苦っ、うぅ…… 頭が……

「……」
「大丈夫? シュベルト」
「……ぜーんぜん、大丈夫だぁ! ぁ……」
 あー頭がまわる……
 
 ――バタン

「シュ、シュベルトォォォォッ!!」
「シュベルトってこんなに、お酒に弱いの……?」
 
 シュベルトが一瞬で酒にやられたことにより、酒場はもっと盛り上がり始めた。

 実はレア、酒に強かったことはまた別のお話。


 ~~


「うんしょっと。ふぅ、荷物が多すぎるわ」
 その頃のメルサは、馬車に荷物を運びこみ出立の準備をしていた。

「……メルサ、あの宴には行かんのか?」
「うん? 私は大丈夫。それに……」

(これからシュベルトと2人きり…… 宴はそれからよ!)
 メルサは満面の笑みで、軽快に歩く。

「よく分からんが、なんだか嬉しそうなのは分かったわい」
「それに、荷物も多いしね。早く詰めておかなくちゃ」

「メルサ、この荷物こっちに入れとくね~」
「あっ、ありがとうフィア!」
「お構いなく~!」
 
 馬車にはずいぶんと荷物で埋まってきた。
 これも全て、シュベルトの功績に対するお礼だ。

(これはかなりの収穫よ、一体いくらになるのかしら……)

「ふふふ、さあ準備準備!」
「嬉しそうじゃな……」


「うぅ…… だから酒は嫌いなんだ」
「シュベルト、本当に弱かったね。もう一瞬でぽっくりと」

 レア…… お前も酒に弱いと思っていたが、まさか違うとは。
 同志だと思ったのに……
 なんとか解毒魔法であの場を乗り切ることができた。
 もう十分だろ。

「あ、シュベルト。宴の方はどうしたの?」
「メルサ、ここに居たのか。宴は抜け出してきたぞ」
「そうなの?」

 メルサは背伸びをしながら、一番高いところに最後の荷物を詰め終わった。
 どうやら、出発の準備はできたようだな。

「すまないな、俺も手伝うべきだったが」
「別にいいわよ、英雄さんにはしっかり労ってもらわないと」
「お主ら、もう出発する気か?」
「ええ。ここから王国を抜けて、レサリアを通って行くわ」

 爺さんは、何とも渋い顔で悩み始める。

「レサリア…… くれぐれも注意してくれ」
「どうせ王国でも追われてる身だ。大して変わらん」

「ちょっと待って! まだ時間はあるよ!? そんなに急がなくても……」
 レア? なぜそんなに必死なんだ?
 彼女の顔には、焦りのような表情が垣間見えている。

「まだ太陽が昇っているうちに出ておきたいの、ひどい目にあったから」
「そう、なんだ……」

 残念だが、もうお別れの時間だ。
 俺は一応、鍛冶屋のおっちゃんとかにも別れの挨拶は済ませてきた。
 また、会えるといいが。

「ねえ、シュベルト。言いたいことがあるんだけど……」
「ん? なんだ?」

「……私も、ついて行きたい!」
「え?」
 
「「え?」」
 ついていきたい?
 なるほど。修行の旅でもしたいのか?

「なんでだ?」
「私、ずっとレサリアの先にある、学園都市に行きたかったの。途中まででいいから!」
「無茶を言うのを止めるんじゃ。そもそも、レアがあの国へ行くのは……」

 レアはうつむいてしまった。
 そこからの旅路は、確かにレアにとって苦しいものとなるだろう。

「レア」
「……何?」
「お前がもっと強くなったら、いつかまた機会は訪れる」

「そう言うことじゃないの…… 別れたくないの!」
 レアの隠していた涙が、ついに頬を流れた。
 そういうことか。気持ちは分かる。

「心配するな、また出会えるぞ。絶対だ」
「……なんで? なんでそんなことが言えるの?」
「俺とメルサがそうだからだ。偶然再会したんだ」
 メルサもうなずく。
 
 レアは驚いた。
 そして、しばらくは考え込んだ末…… 杖を強く握りしめ、そして俺の方を再び向く。
  
「……私、もっと強くなって、そして、いつかシュベルトみたいになる」
 レアはそう、強く答えるのだった。
 
「フッ。その時はまた、相手をしてやるぞ?」
「次は勝つよ!」
 俺はレアの肩に手を置いた。
 レアの目は、まだかすかに赤くなっている。

「ありがとう、シュベルト。またいつでも待ってるぞい」
「爺さんも、次に会うまで生きてくれよ?」
「無論じゃ」
 爺さんは初めて、俺に満面の笑みを見せるのだった。

「ほら、シュベルト、もう行くよ!」
「うん? 分かった!」
 そして俺は馬車に飛び乗った。

「おーい! シュベルト! もう行くのかよ!」
「この街を救ってくれてありがとうな!」
 周りからリウの人々が駆け寄ってきた。
 バルフォードや、ガルフ、フィアもいるな。

「もう行くの!? ……まぁ、そりゃそうか。シュベルト、また会おうぜ?」
「もちろんだ、バルフォード。しっかり仕事してくれよ?」
「……頑張る。ヒック」

 はは、酔っていてまともに走れていないじゃないか。
 これもバルフォードらしいっていうか。

 馬車のスピードは段々と早くなっていく。

「シュベルト! じゃあね!」
 最後までレアは追いかけてくれていた。
 
 いつぶりだろうか、こんなにも人に感謝されたことは。
 王宮を追い出され、今俺は幼なじみの護衛をしている。

 だが、この生活も悪くないな。

 俺は、レア、そしてみんなに手を振るのだった……


 第一章 完
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す

名無し
ファンタジー
 パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。

幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕だけ別な場所に飛ばされた先は異世界の不思議な無人島だった。

アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚… スマホのネット小説や漫画が好きな少年、洲河 愽(すが だん)。 いつもの様に幼馴染達と学校帰りの公園でくっちゃべっていると地面に突然魔法陣が現れて… 気付くと愽は1人だけ見渡す限り草原の中に突っ立っていた。 愽は幼馴染達を探す為に周囲を捜索してみたが、一緒に飛ばされていた筈の幼馴染達は居なかった。 生きていればいつかは幼馴染達とまた会える! 愽は希望を持って、この不思議な無人島でサバイバル生活を始めるのだった。 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つものなのかな?」 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達よりも強いジョブを手に入れて無双する!」 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は魔王から力を授かり人類に対して牙を剥く‼︎」 幼馴染達と一緒に異世界召喚の第四弾。 愽は幼馴染達と離れた場所でサバイバル生活を送るというパラレルストーリー。 はたして愽は、無事に幼馴染達と再会を果たせるのだろうか?

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

勇者の隣に住んでいただけの村人の話。

カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。 だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。 その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。 だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…? 才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。

処理中です...