噂の補佐君

さっすん

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side副会長



翌朝、私はその転校生を迎えに校門に向かっています。


にしても、昨日の晴には肝が冷えました。


自ら転校生を迎えに行く、と言うんですから、転校生に気があるのかと思いましたよ。



晴は、この学園では珍しい存在です。


まず、途中でこの坂坂さかざか学園に入学して来た事。


途中、というのは、中学は一般の公立で、高校からこの学園に来た、と言う意味。


つまり外部生です。


中学から高校までエスカレーター式のパターンがほとんどのこの学園では、外部生は大変珍しい事です。


しかも首席らしく、入学式の際に入学者代表挨拶をしていました。


また、この学園は男子校で、更に都心から随分離れた所にある全寮制ですから、同性愛者がほとんどです。


まぁ、その様子を見て妄想をする、という方もいますが、晴はどちらにも当てはまりません。


晴は、別にその事に関して、偏見などは無いようですが、自分が同性と付き合う、というのは考えていない様子です。



晴は可愛いらしい容姿で、性格も優しく、成績優秀な上に学園の中でもエリートと務める生徒会補佐という、まさに完璧。


ノンケをおとしてやる、と燃える輩も多いらしいです。


かくいう私もそうなのですが。


晴はどうやら体中が敏感なようですから、きっといい声で啼いてくれるでしょう。



ふふっ、楽しみですね……。



おっと、そんな事を考えていたら、もう門の前まで来てしまいました。


すると、突然



「危ねぇ!!」



頭上から声がしたかと思ったら、ものすごい衝撃を受け、私は地面に倒れました。



「痛い……」


「だ、大丈夫か!?」



慌てて私の安否を確認する男。


きっと彼が転校生なのでしょう……。


改めて姿を見ると、まぁひどい。


ボサボサの黒髪に、瓶底眼鏡。


逆に見えているのか心配になります。


色々文句を言いたいのは山々ですが、ここは抑えましょうか。


私はすっと立ち上がって、制服についた砂を払い、既に立っていた転校生に話し掛けました。



「貴方が、前川まえかわしょうさんですね。


私はこの学園の副会長を務めています、高月樹です。


よろしくお願いします」



にこっ、といつもの作り笑いを浮かべる。


すると転校生は



「お前、その笑顔似合ってねぇぞ!


俺の前ではそんな作り笑いしなくていいからな!!」



と笑いました。


せっかく、笑顔を作ってあげたのに、その言い振りはイラッとしますね。


しかも上から目線ですし。


こんな生徒を晴に迎えに行かせなくて良かったです。


私は、分かりました、とだけ言う。


転校生はそれに対し、おう!と元気よく返事をした。



「それでは、理事長室に行きましょうか」











無事、転校生を理事長室に送り届け、私はもう既に授業が始まっているであろう自分教室に向かいます。


にしても、作り笑い、ですか……。


晴はいつか言っていましたね。



「作り笑いする副会長も、本当に心から笑っている副会長も、俺は好きです。


だってどれも副会長の表情ですから」



そう言って全てを受け止めるような事を言っていましたね……。


作り笑いは別に悪い事ではない、と言っているようでした。



その時からでしょうか。


晴が気になりだしたのは。



初めは本当に優秀な生徒くらいにしか思わなかったのですが、だんだん気になっていって、今はこんなにも好きが溢れています。


つくづく不思議な人ですね、晴は。
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