face/face ―彼の名はまだ、希望か絶望かも知らない―

モノ

文字の大きさ
6 / 7

わたしは、いらないこ。

しおりを挟む
 わたしは暗い暗いところにうずくまってる。お腹すいた、くるしい、くさい、きたない。いらいらして頭をかいたけど指がべっとり汚れた。こんなにこんなに汚くて弱いわたしだけどあの子がいるから頑張れる。こんなところにいてもきれいで大切なあの子。でもあの子って誰だっけ?

 ザザッと壊れかけの機械のような音が聞こえる。うるさい、うるさい、うるさい、うるさい、うるさい。こんなにも大事なことなのに邪魔をするな。

 あの子が歌をせがむ、悪魔たちに聞こえないように小さい小さい声で歌うと泣きそうだった顔が笑う。夜でもわかる綺麗な黒髪が揺れる。安心してわたしと一緒に眠ろう。大切なあの子、もういないあの子。どうして?あの子はもういないの?

 せんべつと悪魔は言う。かみさまにえらばれたんだって。わたしが悪い子だからかみさまはわたしとあの子をべつべつにするの。そう聞くと悪魔は「そうだよ」と笑いながら答えた。悪い子はいらない、この楽園からは消えなきゃいけない。それが神さまの選別。でも悪魔の神さまならそれは悪い神さま?

 悪魔がご飯を持ってこなくなった。あの子がご飯を分けてくれたけど、悪魔が怒ってあの子をどこかにやっちゃった。いなくなっちゃった。私なんかがいるせいで誰よりも生きるべきあの子がいなくなっちゃった。

 そうだ、お前のせいであの子は神様のところにもここにもいられなくなっちゃった。不快な声で悪魔は笑う。響き渡る声がうるさい。悪魔は睨む私を鬱陶しそうに蹴った。私に力があればこんなやつを倒せたのに。神様は何をしているの?どうして救ってくれないの?そうだ、こいつらの言う神様も違う神様もいない。いるのは悪魔だけなんだ。そう気づいてしまった時熱い涙が流れる。悔しい、悲しい。悪魔の言うことを信じた私は救いようもない悪い子だ。涙を流す私を見て悪魔は嬉しそうに笑う。鼻息が聞こえる笑い方が汚くて気持ち悪い。上機嫌に笑う悪魔はいきなり消えた。それをぼうっと見ていると沢山の悪魔が子供たちを攫っていく。もう、あの子がいないならいいや、このままお腹が減ればあの子のところに行けるかな。そう思って目を閉じる。

「君、大丈夫?しっかりして!」

ああ、終わらせたかったのに目の前には違う悪魔が立っていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

もう、愛はいりませんから

さくたろう
恋愛
 ローザリア王国公爵令嬢ルクレティア・フォルセティに、ある日突然、未来の記憶が蘇った。  王子リーヴァイの愛する人を殺害しようとした罪により投獄され、兄に差し出された毒を煽り死んだ記憶だ。それが未来の出来事だと確信したルクレティアは、そんな未来に怯えるが、その記憶のおかしさに気がつき、謎を探ることにする。そうしてやがて、ある人のひたむきな愛を知ることになる。

【完】貴方達が出ていかないと言うのなら、私が出て行きます!その後の事は知りませんからね

さこの
恋愛
私には婚約者がいる。 婚約者は伯爵家の次男、ジェラール様。 私の家は侯爵家で男児がいないから家を継ぐのは私です。お婿さんに来てもらい、侯爵家を未来へ繋いでいく、そう思っていました。 全17話です。 執筆済みなので完結保証( ̇ᵕ​ ̇ ) ホットランキングに入りました。ありがとうございますペコリ(⋆ᵕᴗᵕ⋆).+* 2021/10/04

側妃契約は満了しました。

夢草 蝶
恋愛
 婚約者である王太子から、別の女性を正妃にするから、側妃となって自分達の仕事をしろ。  そのような申し出を受け入れてから、五年の時が経ちました。

虐げられた私、ずっと一緒にいた精霊たちの王に愛される〜私が愛し子だなんて知りませんでした〜

ボタニカルseven
恋愛
「今までお世話になりました」 あぁ、これでやっとこの人たちから解放されるんだ。 「セレス様、行きましょう」 「ありがとう、リリ」 私はセレス・バートレイ。四歳の頃に母親がなくなり父がしばらく家を留守にしたかと思えば愛人とその子供を連れてきた。私はそれから今までその愛人と子供に虐げられてきた。心が折れそうになった時だってあったが、いつも隣で見守ってきてくれた精霊たちが支えてくれた。 ある日精霊たちはいった。 「あの方が迎えに来る」 カクヨム/なろう様でも連載させていただいております

冷遇された聖女の結末

菜花
恋愛
異世界を救う聖女だと冷遇された毛利ラナ。けれど魔力慣らしの旅に出た途端に豹変する同行者達。彼らは同行者の一人のセレスティアを称えラナを貶める。知り合いもいない世界で心がすり減っていくラナ。彼女の迎える結末は――。 本編にプラスしていくつかのifルートがある長編。 カクヨムにも同じ作品を投稿しています。

この度娘が結婚する事になりました。女手一つ、なんとか親としての務めを果たし終えたと思っていたら騎士上がりの年下侯爵様に見初められました。

毒島かすみ
恋愛
真実の愛を見つけたと、夫に離婚を突きつけられた主人公エミリアは娘と共に貧しい生活を強いられながらも、自分達の幸せの為に道を切り開き、幸せを掴んでいく物語です。

愛しの第一王子殿下

みつまめ つぼみ
恋愛
 公爵令嬢アリシアは15歳。三年前に魔王討伐に出かけたゴルテンファル王国の第一王子クラウス一行の帰りを待ちわびていた。  そして帰ってきたクラウス王子は、仲間の訃報を口にし、それと同時に同行していた聖女との婚姻を告げる。  クラウスとの婚約を破棄されたアリシアは、言い寄ってくる第二王子マティアスの手から逃れようと、国外脱出を図るのだった。  そんなアリシアを手助けするフードを目深に被った旅の戦士エドガー。彼とアリシアの逃避行が、今始まる。

年下の婚約者から年上の婚約者に変わりました

チカフジ ユキ
恋愛
ヴィクトリアには年下の婚約者がいる。すでにお互い成人しているのにも関わらず、結婚する気配もなくずるずると曖昧な関係が引き延ばされていた。 そんなある日、婚約者と出かける約束をしていたヴィクトリアは、待ち合わせの場所に向かう。しかし、相手は来ておらず、当日に約束を反故されてしまった。 そんなヴィクトリアを見ていたのは、ひとりの男性。 彼もまた、婚約者に約束を当日に反故されていたのだ。 ヴィクトリアはなんとなく親近感がわき、彼とともにカフェでお茶をすることになった。 それがまさかの事態になるとは思いもよらずに。

処理中です...