Two seam

フロイライン

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衆目

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「第一試合で朝8時半
咲聖浅丘というノーシード校同士の一回戦

なのに‥」


「超満員じゃねーか!」


重松と久本はスタンドに詰めかけた観衆の数に驚愕し、大きな声を上げた。

「そりゃあれだけテレビで煽れば、客は集まりますって。

まあ、水谷さんは可愛いからな。」

重松はベンチ前で投球練習をする優里を見ながら呟いた。

バックネット裏にはファンに混じってマスコミ関係者もちらほら来ており、その注目度の高さを表していた。


「あっ、中里さん」


「今津さんじゃないですかー」


かつて丸和で優里と大輔が鮮烈なデビューを飾ったときもスタンドで観戦していた記者の二人が、ここでも顔を合わせた。


「そりゃ来ますよ。
だってあの水谷優里選手が投げるんだから。」

「いやあ、あれからまだ二年しか経ってないのに隔世の感がありますね、

今の水谷選手の容姿を見ていると‥」


「そうですね。すっかり女子の体になりましたもんね。

性転換した体でどれだけ投げられるか‥」


「外国なんかでよくあるじゃないですか、性転換した元男性の選手が女子の大会で無双するやつ、水泳とか陸上で。

水谷さんの場合逆なんだよな。
女子の体で男子の大会に出てんだから、相当なハンデがありますよ、きっと。」

「中里さん、僕も調べてみたんですけどね
水谷さんの話題が出てから、その性転換の事を。

こちらが思ってる以上に体への負担が大きいみたいです。

外科手術で精巣を取り除き、陰嚢や亀頭などを使って女性器を作るわけなんですが、耳に開けたピアスの穴と一緒で、そのまま放置すると女性器の穴が癒着するというか塞がってくるんですって。
それを防ぐためにダイレーションっていって棒みたいなのを突っ込んでおくんですが、それが入ってると歩きにくいわ、座りにくいわで、日常生活もかなり困難になるそうです。」


「うわー痛そう」


「それと、定期的に投与する女性ホルモン剤ってのがさらに厄介で、それを体に入れると女性らしい肉体に近づくんですが、副作用がけっこうあって、鬱症状になったり、頭痛、倦怠感、内臓疾患など様々な負の要因が出るそうです。まあ、個人差はあるようですが。

でも、一番の問題は、筋力が落ちてしまうって事なんです。
女性的な丸みを帯びた体つきになるんですけど、それは筋肉が落ちて皮下脂肪が付くって意味で、こうして野球を続ける水谷さんにとってはマイナスでしかない。

だから一年の時よりも球速が出ないんですよ」

「なるほど

単純に男から女になったという感じではなく
男の肉体を手術と薬で無理やり女にしたから、その弊害がガッと出ちゃってるって感じなんですね。」


「そういう事です。

ですが、水谷選手は私がこれまで見てきた中でも屈指の超高校級の投手です。
今日の試合を見れば、今後に期待が持てるのかどうかがわかりますよ。」


「富田君もいますしね

楽しみです。

さあ、始まりますよ」


審判のプレーボールのコールが響き、優里の第一球が投じられる。


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