Two seam

フロイライン

文字の大きさ
61 / 147

しおりを挟む
「ストライッ!」

優里の第一投は、ストレートが内角いっぱいに決まった。

浅丘の一番バッター加納大地は、フーッと深呼吸をしボックスを外したが、すぐに戻り、構え直した。


「速い

今津さん、今の球速かったですよね?」


「ええ。150は出てると思います。

それにキレもいい。
一年時のピッチングには及ばないが、かなり戻ってきてますよ。」


「期待できますね、これは」



今津や中里が感じたように、優里本人も自身の球がかなり走っているという実感があった。

大輔も同様で、いけるところまでストレートを続けようと決めた。


優里は二球目もストレートを投じ空振り、三球目もまたストレートを投げて空振りを取り、一番の加納をあっさりと退けた。

二番関根翔は加納への投球を見て、バットを短く持って右打席に入った。

大輔は構わず、ストレートのサインを出して、一球目を空振り
二球目は若干甘めに来たが、前に飛ばず擦ったようなファール
三球目は、まさか三球ともストレートが来るとは踏んでなかった関根の読みが大外れし、内角にズバッと決まって見逃しの三振となった。

三番バッターは右の大田真志

大輔は大田がもつ雰囲気を感じ取り、サインを変更。
カーブを要求した。

優里は頷き、全く同じフォームから投げ込んだ。
ストレートのタイミングで待っていた大田は、ピクリとも動けずに見逃してストライク。
二球目はストレートを強振したが空振り
三球目はフォークボールに対応出来ず、空振りの三振を喫した。


三者連続三振を取った優里の快投に超満員の観衆は大盛り上がりとなった。

勿論、咲聖のベンチも皆が雄叫びを上げて、優里を出迎えた。


「水谷、やっぱ、ストレートだけでいいわ」

大輔は浅丘打線の底がもう見えたのか、ベンチ奥で顔の汗を拭う優里にそう指示を出した。

「監督、いいっすか?」

一応村上にも許可を取り、二回以降は変化球を封印する事を話し合った。

「点差次第だが、水谷は五回まで。
六回から岸で行く。」

村上は部長の光岡にそう伝えたが

「ですが、水谷さんのピッチングが素晴らしいだけに、流れが変わってしまうとイヤですね。」

光岡はやや不安に思っているようだ。


「一応、水谷は外野を守らせて、いつでも再登板出来るようにはしておくつもりだが‥

勝ち進めば、全てがこういう戦い方の連続になる

岸に踏ん張ってもらわんとな。」


「そう願いたいものです。」


「まあ、今日の試合に限ればそこまで心配する必要はないかもな。」

一、二番の連続ヒットで、ノーアウト1.2塁のチャンスに打席に入る優里を見つめながら、村上は呟くように言った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜

遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった! 木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。 「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」 そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

秘密のキス

廣瀬純七
青春
キスで体が入れ替わる高校生の男女の話

処理中です...