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休み時間

敷島 光輝は血相を変えて、後ろのドアから教室に飛び込んできた。


「おい、大輔!」


「なんだよ?」

大輔は机の上に腰を下ろし、何人かと談笑していたが、敷島のその表情を見て、何故ここに来たのかをすぐに察した。

二人は教室を出て廊下に移動した。


「大輔!
友徳に行かないってのは本当か!」


「ああ。そうだよ」


「待てよ、一緒にセレクション受けるって言ってたじゃねえかよ」

「おいおい、高校野球のセレクションは禁止されてるぜ。
あくまでも練習見学だろ?」


「そんな事はどうでもいい!

お前、約束したじゃねえかよ
友徳に行って甲子園目指そうって!」


「気が変わったんだよ」


「気が変わった?

じゃあ、どこに?」


「丸和だよ」


「丸和?

何だよソレ、聞いた事ねえし。」


「他県の学校だからな。」


「何で他県なんだよ!

他県でもそこそこ強い学校は名前聞いたら何となくわかるけど、丸和なんて聞いた事もねえ。
なんでそんなとこに行くんだよ」


「水谷が丸和に入るからさ。」


「水谷?

水谷って、中央BCのか?」


「ああ。」


「…

たしかに試合で水谷の球を見た時、俺も驚いたけど

俺と比べてそこまで差があるとは思えねえし、いくら水谷とお前がいても、その丸和ってところじゃ予選を勝ち抜く事も出来ねえって。」


「いや、それでもかまわない。

俺は水谷とバッテリーを組みたい。
そう思っただけだ」





マウンドに上がる敷島を見つめながら、大輔は中学の時のやり取りを思い出していた。

結局、大輔は宣言通り丸和に入学し、優里とバッテリーを組んだが、紆余曲折があり、今はこの咲聖で再び優里の球を受けている。

一方の敷島は、祐徳に進まず、高島大附属に入学した。
お互いに地元を離れ、丸和と高島大附属ならば県が違うので予選で対戦する事はなかったが、咲聖に来たために奇跡的な再会を果たした。
それもこの決勝という舞台で。

(これも運命ってやつか)


と、俯いてニヤリと笑った。
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