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フロイライン

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決勝

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「すげえな
スタンドは超満員だし、テレビ局に新聞社も沢山来てる。」

今津は、埋め尽くされたスタンドを見ながら呟いた。


「まあ、我々もそのマスコミ関係の一部なんですがね。

その大部分のお目当ては水谷さんですね。」


宮里もスタンドの後方に目をやり、言った。


「水谷さん、野球の実力も相当スゴイけど、なんて言ってもルックスが良いからなあ。

可愛いよね。」


「ええ。彼女の人生はドラマ性もありますし、そりゃ人気も出ますよ。

そして、彼女を支え続けるキャッチャーの富田君は超高校級のスラッガーときたもんだから、話題に事欠きません。」


「これで甲子園にでも出るとなったら、映画化されるんじゃないか」


「いや、それ、ありますよ
わりとマジで」







スタンドの熱狂とは裏腹に、優里は冷静な面持ちで試合前の練習を行い、ベンチに戻ってきた。

「優里、調子はどう?」

大輔は優里の背中にそっと手を置き、優しげな口調で聞いた。


「うん。調子良いよ。

疲れもないし、張りも痛みもないよ。」


「そうか…
高島大附属にどこまで通用するかわかんねえけど、今日は投球の組み立てを変えていくからな。」


「うん、わかった。」


大輔は優里の調子が良いと見て、初球からストレート中心でストライクゾーンで勝負することを決めた。


(球に力があるうちにストライクゾーンで勝負して早打ちを誘い、打たせて取る。)

大輔も村上も同じ考えだった。



両チームが勢いよくベンチから飛び出し、ホームベースを挟んで整列した。


主将の田宮は高島大附属のメンバーの顔つきを見て、やはりこれまでの相手とは違うと感じた。

皆が一様に自信に満ち溢れた表情をしていた。

特にエースの敷島は笑みさえ浮かべながら優里の方を見て、そして大輔に視線を送ってきた。


両チームは一礼してそれぞれのベンチに戻ったが、田宮は

「富田、向こうのピッチャー、お前と水谷の方見て笑ってたぞ。」

と、大輔に聞いた。


「ああ。

アイツ、中学のとき一緒のチームでバッテリー組んでたからな」


と、答えた。

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