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ユウ×翔太編
愛の交歓
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「美味しいっ!
翔太、アンタ、料理の天才?」
ユウは、翔太の手料理を一口食べると、その出来の良さに感激して声を上げた。
「ずっと一人暮らししてたから。」
「そっか。
翔太も苦労してたもんね…」
「いや、自分ではそんなにしんどいとか、辛いとかは思たことないねん、ホンマに。」
「へえ、強いねんなあ。」
「一回だけやな、辛かった事といえば。」
「えっ、何があったん?」
「お前が福山に引っ越してった時やんか。
あの時はマジ辛かったわ。」
「翔太…
ごめんね。
でも、ワタシもホンマに辛かったんよ。
好きな人と離れ離れにならなあかんようになってんもん。」
「ユウ…
俺、もう二度とあんな思いするんはイヤやねん。」
「それは、ワタシも…」
「俺、今の仕事をもっと頑張って稼げるようになるから…
結婚して欲しい…」
同棲初日のこのタイミングで、翔太はプロポーズをした。
「翔太…
ワタシ、女ちゃうし…
結婚なんて出来へんやん。」
「それは、戸籍とかの話やろ?
でも、二人で式挙げて、一生夫婦として仲良く暮らす事は可能やんか。
俺が言うてる結婚て、そういう事やから。」
ユウにとって、翔太のその言葉は、喉から手が出るほど、心から欲していた言葉だった。
しかし、素直に受け取る事はできなかった。
ニューハーフという生き方を選択してから、事ある毎に、自分が女性ではないという大きな壁にぶつかってきたユウだった。
結婚は、その最たるもので、とてもじゃないが乗り越えられるような低い壁ではなかった。
「翔太
そんな簡単に決めたらあかんて。
だって、女じゃないワタシと結婚するってことは、今後の翔太の人生にもいっぱい迷惑をかけることになるし。
それに…」
「それに、何なん?」
「ワタシは子供も産まれへんし…
それが一番申し訳ないこと…」
「ユウ
俺、子供は欲しくないねん。」
「ウソ。
ワタシの前やからって、無理せんでええって。
正直な気持ちを聞かせてよ。」
「ううん。
本心や。
子供の時から、色々あったやん。
俺の家って。
自分でそういう事を経験してきたからかもしれへんねんけど、万が一、子供が出来て、俺が不幸にしてしまったらって…
そんな事考えてたら、子供を作るってことが怖くなってしもて…」
ユウもわかっていた。
目の前にいるこの青年が、幼少期からどれだけ不幸で、どれだけ辛い目に遭ってきたかを。
ユウは、ご飯を食べる手を止め、翔太を見つめて、ポロポロと涙をこぼしてしまった。
翔太、アンタ、料理の天才?」
ユウは、翔太の手料理を一口食べると、その出来の良さに感激して声を上げた。
「ずっと一人暮らししてたから。」
「そっか。
翔太も苦労してたもんね…」
「いや、自分ではそんなにしんどいとか、辛いとかは思たことないねん、ホンマに。」
「へえ、強いねんなあ。」
「一回だけやな、辛かった事といえば。」
「えっ、何があったん?」
「お前が福山に引っ越してった時やんか。
あの時はマジ辛かったわ。」
「翔太…
ごめんね。
でも、ワタシもホンマに辛かったんよ。
好きな人と離れ離れにならなあかんようになってんもん。」
「ユウ…
俺、もう二度とあんな思いするんはイヤやねん。」
「それは、ワタシも…」
「俺、今の仕事をもっと頑張って稼げるようになるから…
結婚して欲しい…」
同棲初日のこのタイミングで、翔太はプロポーズをした。
「翔太…
ワタシ、女ちゃうし…
結婚なんて出来へんやん。」
「それは、戸籍とかの話やろ?
でも、二人で式挙げて、一生夫婦として仲良く暮らす事は可能やんか。
俺が言うてる結婚て、そういう事やから。」
ユウにとって、翔太のその言葉は、喉から手が出るほど、心から欲していた言葉だった。
しかし、素直に受け取る事はできなかった。
ニューハーフという生き方を選択してから、事ある毎に、自分が女性ではないという大きな壁にぶつかってきたユウだった。
結婚は、その最たるもので、とてもじゃないが乗り越えられるような低い壁ではなかった。
「翔太
そんな簡単に決めたらあかんて。
だって、女じゃないワタシと結婚するってことは、今後の翔太の人生にもいっぱい迷惑をかけることになるし。
それに…」
「それに、何なん?」
「ワタシは子供も産まれへんし…
それが一番申し訳ないこと…」
「ユウ
俺、子供は欲しくないねん。」
「ウソ。
ワタシの前やからって、無理せんでええって。
正直な気持ちを聞かせてよ。」
「ううん。
本心や。
子供の時から、色々あったやん。
俺の家って。
自分でそういう事を経験してきたからかもしれへんねんけど、万が一、子供が出来て、俺が不幸にしてしまったらって…
そんな事考えてたら、子供を作るってことが怖くなってしもて…」
ユウもわかっていた。
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