オレ、母になる

避けてほしい事

祐希は、さすがにこの姿で帰る事はムリだと判断し、思案した挙句、晃に連絡を取った。


LINEでメッセージを送ると、すぐに既読となり、返信が来た。


何回かやり取りをして、真希に何かあったのでは？

と質問すると、やはりその通りだったようで、一度会って話をする事を了解した。




「ってわけで、先ずは晃さんに会う事になったの。」



「えっ…」


瑛太にとって、これは誤算であった。


真希を心配するあまり、実家に戻るよう祐希を説得したまではよかったが、先に真希の夫と会う事になったという…

祐希の事を心から愛している瑛太は、二度と真希の夫と接触してほしくなかった。

一度は諦めた祐希の心が、再び動いてしまう可能性があるから…


瑛太は、二人に何もない事を祈らずにはいられなかった。


しかし、結果としてこれがきっかけとなり、運命の歯車が動き出す事になるとは、この時点では、思ってもおらず…




そんな瑛太の心配をよそに、祐希と晃は、あの時以来の再会を果たしたのだった。



「えっ」


晃は、思わず声を上げてしまった。

以前会った時は、既に女性らしい体に変化していた祐希だったが、あくまでも女性に限りなく近づいていただけで、生物学的にはオス、男であった。

しかし、今の祐希は、薬の力で完全なる女性になっており、あのときとは全てが違っていた。