オレ、母になる

オンナのカン

美咲は、真顔で祐希に迫った。


「カラクリって？」



「だから、どういうカラクリか教えなさいって言ってんの。」



「何のことですか？」

祐希が焦りながら聞き返すと、美咲は、フッとため息をつき、祐希にグッと顔を近づけてきた。


「アンタ、一体何やって、そんなふうになったのよ？」


「えっ」


「前と全然変わってんじゃん。」


「変わってる？」



「そんなんで誤魔化せると思ったの？


前からアンタは可愛くて、どこからどう見ても女子って感じだったけど、今のアンタは、あの時と比べて別人よ。

声も、雰囲気も、体つきも全てね。

まあ、声なんてもんは手術すれば高くなるもんだけど、アンタが手術したって形跡もない。

アレって時間かかるからね。


それと、ワタシが一番わからないのが、骨格よ、骨格。

全然華奢になってんじゃん。

それと、骨盤が大きくなってるし…

そんなの手術でどうにかなるって話じゃないし、きっとカラクリがあるに違いない。

その秘密を教えて。」



「それは…」


「現実ではあり得ない事が、アンタの身に起きてんのよね？

誰にも言わないから教えて。

単に興味があるのよ。」


祐希は、観念し、自分が本当の女性になった事を正直に告げた。



「それは、スゴイわ…」

話を聞き終わった美咲は、あまりの内容に固まってしまった。

しかし、何かに気づいたようで


「でもさあ、今のユウキちゃんて本物の女なわけでしょ？

わざわざニューハーフの店で働く必要ないんじゃない？」

と、至極当然の事を口にしたのだった。