オレ、母になる

フロイライン

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価値あるもの

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「お疲れ様でしたあ。」


祐希は、勤めているクラブの仕事を終え、皆に挨拶をして、早めに帰ろうとした。

明日は実家に帰ってカミングアウトし、真希に会わなければならない。

少しでも早く帰って明日の決戦に備えたい。

そんな心境だった。


しかし


「ユウキちゃん」


背後から自分を呼ぶ声がした。


振り返ると、そこには先輩のニューハーフである美咲が立っていた。


「ねえ、よかったら

これからご飯食べに行かない?」



「えっ


あ、はい…」


お水のニューハーフの世界は陰湿な部分もあり、女の世界よりも厄介だと言われている。

特に、まだまだ新人に毛の生えたような立場である祐希は、こんな誘いを受けたときは、絶対に断れない。

そう決まっているのだ。


仕方なく、祐希は美咲の後に付いて、店を出ていった。




「あそこの居酒屋でいい?」


「はい、ワタシはどこでも」


クラブの近くにある、朝の五時までやっている居酒屋に決まった。



「乾杯!」


美咲は、ビールの入ったジョッキを祐希に突き出した。


祐希は

「乾杯」

と、岬の半分くらいの声の大きさで言うと、美咲のジョッキの下の部分に自分のジョッキをコンと当てた。


美咲は、結構な勢いでビールを飲むと、一旦テーブルに置き、そして、言った。


「ユウキちゃん


どういうカラクリなの?」


と…
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