オレ、母になる

屈辱感と期待感

「生理がある…」

真希は、そう呟くと、黙ってしまった。


祐希は、マズイと思ったが、時すでに遅しであった。

それからしばらく沈黙が続いた後、真希は言った。


「ねえ、祐希

じゃあ妊娠して子供も産めるって事なの？」　

と…

祐希は、返答に困ってしまった。

なんと答えていいのか…


だが、嘘をついても真希には見破られてしまう。

それが、一卵性の双子の良さでもあり悪さでもある。


心を決めた祐希は、正直に答える事にした。


「うん…

高山教授にはそう言われてる…」



祐希は、そう答えた後、真希のリアクションを見るのが怖くなり、視線を切って俯いてしまった。


真希は、何も答えず

また沈黙の時間が訪れた。


重苦しい雰囲気の中、さすがに耐えきれなくなり、祐希がゆっくりと顔を上げると…


真希は、祐希をじっと見つめており、祐希は、ギクっとなり固まってしまった。


「祐希

こんな事を頼むのは非常識極まりないんだけど…

代理母になってってお願いしたら、協力してもらえる？」



「えっ」


祐希は、真希の言っている事が全く理解できず、またもや固まってしまった。
そんな祐希のことを、真希はかまわずに、話を続けた。


「子供を産めない私の代わりに、あなたの子宮を貸してほしい…

お願い…」


真希は、そう言うと、涙をポロポロこぼし、嗚咽した。