オレ、母になる

それぞれの重い思い

重苦しい空気の中で話し合いが続けられていた。


「真希さんの話はよくわかりました。

それについて、祐希が同意した事についても、僕から意見する事はないと思います。

ただ…」

瑛太は、真希と晃から視線を切り、隣に座る祐希の方を見て、話を続けた。


「祐希にも配慮していただければと思います。」


「配慮とは？」


晃が質問すると、瑛太は一度頷いた。


「話の流れはある程度は、わかりました。

真希さんの代わりに、祐希が晃さんとの間に子供を作る。

ですよね？」


「はい。
そうです。」


「でも、祐希も人間です。

割り切って出産だけをする機械みたいな事はできないはずです。」


「それは、たしかに…」


晃は、申し訳なさそうな顔をして小さな声で言った。


「木下君

あなたの言った通り…
私は祐希にムリなお願いをしてしまっている…

それも、常識では許されないようなことを…」

真希は、涙をこぼしながらも、はっきりとした口調でそう切り出した。


「真希ちゃん

その事については、さっきも言ったけど、祐希が納得してやる事だし、俺がとやかく言う事じゃないと思ってる。

でも、俺は…祐希の事を愛していて、彼女もそれに応えてくれてる。」

瑛太は、また祐希の方に視線を向けながら言った。

「でも、真希ちゃんがその…
祐希と晃さんがしている部屋に同席して、監視する…っていうか、三人でやるって事がどうにも理解できなくて…」


瑛太は、憤りを抑えながら、敢えて冷静に語った。