オレ、母になる

合わせ鏡

瑛太は、真希にキスをした。

祐希と晃については、あくまでも妊娠させるためにセックスを行うのであって、愛し合ったり、快楽を求めるのではないという決め事があった。
故に、キスは絶対にしない。

だからこそなのか、真希は積極的に瑛太にキスを求め、瑛太もそれに応えた。

精神的に病んでしまったが、今もなお、真希は十分に美しい。

瑛太もまた、最初に好きになったのは真希であり、そんな思いが、二人をさらに燃え上がらせた。

つまり、瑛太と真希の激しい絡みの原動力は、怒りであった。

それに加え、嫉妬、焦り、悲しみ

様々な感情が二人を包んでいった。

しかし、しばらくすると、それだけでは片付けられない別の感情が襲ってくるのを、二人が同時に感じ取ったのである。


それは、まさしく倒錯感であった。


晃と祐希は、常識を逸脱した行為を行い、快楽を貪っている。

それを認めたのは自分だ。

いや、頼み込んでこのような事をしてもらっているのだ。

なのに、この屈辱感と苦しさは何なのか？

真希は、夫が自分の分身ともいえる双子の弟祐希と合体したのを見て、心が激しく揺れた。

その心を落ち着かせるべく、真希は、同じ思いで側で立ち尽くす瑛太にシンパシーを感じ、その肉体を求めてしまった。

だが、それは慰めでも代用品でもなく、素晴らしいものであった


こんなに感じてしまうとは…


真希は、戸惑いを感じながらも、幾重にも襲ってくる快感の波に溺れていった。