オレ、母になる

不都合な事実

「妊娠…

してる？」



晃は、祐希の言葉を受けて我が耳を疑った。




「今日、病院に行ってきたの…

妊娠六週目で、心拍も確認できたわ。」



まさか、今になって妊娠するとは…


タイミングのあまりの悪さに、頭が真っ白になる晃だったが、申し訳なさそうに言う祐希の表情に気付き、慌てて彼女の本心をたしかめた。


「祐希

心の整理がつかないとは思うけど…

どうしたい？」


「…」

晃は、このような聞き方は当事者としてあまりにも失礼だと思いつつも、まずは祐希がどう考えているか、聞きたいと思った。



「晃さん


もちろん、産みたい…


ううん


絶対に産むわ。」



「そうか。

それを聞いて安心した。

俺も産んで欲しい。


君と俺との子だから…」



「うん。

でも、この事を真希が知ったら…」


祐希は、恐れていた。

子作り計画を白紙に戻し、瑛太の元に走った真希だったが、自分が妊娠した事を知ると、またおかしくなってしまうかもしれない。

最近はマシになっていたが、精神的に不安定であるのは変わりなく、ちょっとしたきっかけで、あのような状態に戻ってしまうかもわからない。


「もう、俺達と真希は関係ないよ。

あいつはあいつで幸せを掴むために瑛太君と上手くやると思うし。

一々過去のしがらみを気にして生きることなんてしないと思う。」


晃は、そう言うと、祐希を力強く抱きしめた。