オレ、母になる

これから

「真希がそんな事を？」


仕事を終えて帰宅した晃は、祐希から話を聞き、信じられないといった表情で言った。


「瑛太と相性がいいって言ってて、すごく幸せだって。」



「あれだけ悩んで心も病んで、周りを巻き込んだっていうのに、なんて変わり身が早いんだ。」



「でも、メンタルが回復して本当によかったわ。

あのまま行けば多分…」



「まあ、たしかにそうだけど…


それで、実家に一緒に説明に言ってやるって？」



「うん。

ワタシも出産を控えてるし、親に黙ってるのも限界があるから。

真希も一緒に話してもらえると、さすがの両親もある程度、こうなった背景とかに理解を示してくれるかもしれないし。」



「そうだな。

誠意をもって話すしかないな。

三人で行こう。」



「うん。」



「それよりも、お腹の赤ちゃんはどうなんだ？

今日、病院だったんだろ？」



「ええ。

すごく順調だって。」



「それはよかった。

今は、親がどうのこうのより、出産のことを第一に考えてくれたらいいと思うよ。」


「ワタシもそのつもりなんだけど…

出産のことばっか考えてたら、なんかすごく怖くなっちゃって…

極力違うことを考えようとしているの。」


「そうだよな。

いくら完全なる女性に変身したとはいえ、二十年男として生きてきたんだもんな。

怖くもなるさ。」



「うん…」


祐希は、お腹を摩りながら小さく頷いた。