オレ、母になる

フロイライン

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奇蹟に乾杯

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「すまないねえ、祐希君」


田子浦が申し訳なさそうに祐希に言うと、隣の高山も深く頷いた。


「いえ
ワタシもヒマだったんで…

ちょっとお話をお聞きしたいと思っていたところなんですよ。」



「いやいや、大学まで来てもらって本当に申し訳ないかぎりだよ。

なあ、高山君。」



「ええ。

性転換が無事に済んだと思ったら、妊娠したと聞いて…
世界初の快挙…

いや、奇蹟の人なんですよ、祐希さんは。


今は、まだ極秘裏に進めていますが、ゆくゆくはあなたの名前が世界に轟くでしょう。

男性として生まれながら、世界で初めて完全なる女性に性転換し、そして、世界で初めて出産をしたという、まさに生きる神話となるんです。」



「高山先生

少し大袈裟すぎませんか。

性転換はそうかもしれませんが、妊娠についてはまだどう転ぶかわからないじゃないですか。

安定期にも入っていませんし。」



「まあ、それは…そうですがね。


今日、祐希さんに足を運んでもらったのは、ご説明しておきたい事が何点かありまして。」



「えっ」



「あ、いえ

全然大したことではありません。


しかし、妊娠されたということで、女性としてずっと生きていかれることが決定したわけです。」


「はい。

それは、もちろん。」


「だったら、尚更

説明をしておかないとダメです。」


高山がそう言うと、祐希は不安そうに頷いた。
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