オレ、母になる

盤石な二人

「祐希って、そろそろだよね？

出産。」


瑛太は、真希の手料理を口に運びながら、向かい側に座って自分が食べる様子を見つめる真希に質問した。


「来週だよ。

いよいよだね。

祐希も不安だと思うわ。
女の子になったのだって最近のことなのに、妊娠までしちゃうんだから…」


真希はそう言うと、ため息をついた。


瑛太は、そこからまた黙ってしまい、食事を再開したが、食べ終わると、また顔を上げ、真希を見つめた。


「真希

大丈夫？」



そして、一言、真希に声をかけた。


「えっ、何が？」


真希は、意外な顔をして返事をした。


「あ、いや

メンタルとかそういうの、大丈夫かなって…」



「あー、そういうことか


うん。

大丈夫だよ。

前の私なら取り乱していたと思うけど、今は、あの時のことがウソみたいに…
全然平気なの。」



「それは、よかった。」



「でも…」



「？」



「でも、瑛太の事を考えると、申し訳ない気持ちでいっぱいになるわ。」



「えっ、どういうこと？」



「だって、私はあなたの子を産んであげられないのよ。

本当に申し訳なくて…」


真希は、涙をこぼしながら俯いてしまった。



「真希

何度も言ってきたけど、俺は、キミがいたら何も要らないよ。

その気持ちはずっと変わってないし、変わらないから。

だから信じて。」


瑛太は、手を伸ばし、真希の手を握って言った。