オレ、母になる

フロイライン

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「祐希君」

講義を終えた田子浦教授が、祐希を呼び止めた。


「あ、はい

何でしょう?」



「あ、いや、別に大した事じゃないんだが、フランスの大学に呼ばれて、先週まで滞在していたんだが、真希ちゃんにお土産を買ってきたんだ。

婚約祝いというほどのものじゃないが。」



「あ、お気遣いいただいてありがとうございます。

真希も喜ぶと思います。」


祐希は、笑みを浮かべながら謝意を述べた。


「フフッ…」



「えっ

何かおかしな事言いましたか?」


「いや、キミも立派になったものだと感心してしまってね。

だって、最初にキミら姉弟に会ったのは、赤ちゃんの時だったから。

それからの付き合いだから、もう何年だ?」



「二十年…


は、経ちましたね。」



「そりゃ立派にもなるか。

とにかく、私の部屋まで来てくれるかね。」



田子浦は、白髪頭を掻きながら、祐希に言った。



部屋に入ると、田子浦は、祐希に座るように促した。


「もう帰るだけだろ?」


「あ、はい。」


「私もそうなんだ。

少し話をしよう。」



「あの、教授」



「何だね?」



「教授の研究のお手伝いを真希が出来なくなって、本当に申し訳ありません。

本人もずっとそれを気にしていて…」



「いやいや、そんな事は一切気にしないように、真希ちゃんに言ってくれ。

結婚は、人生において一大イベントじゃないか。

それに、君達のおかげで、生まれてから成人に至るまでの貴重なデータを取ることが出来て、様々な謎が解けたよ。

感謝してもしきれないくらいさ。」


田子浦は、笑って言った。



「教授…

少し、お時間をいただけますか?
僕の話を聞いて欲しいんですが…」


祐希は、少し前に体を移動させ、真剣な面持ちで言った。
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