オレ、母になる

フロイライン

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「どんな話かな?」


話があると言われた田子浦は、興味深げに祐希に言った。


「はい。

僕と真希は、子供のときから、互いにしかわからない感覚を共有してきました。

たとえば、足が疲れたとか、頭が痛いとか、そういう症状が同じタイミングで出てしまったり、言おうとした事が、同じだったりして、同時に声を合わせて発言してしまったり。」



「そうだね。

それは、多数報告されている話だよ。

一卵性、二卵性にかかわらずね。」


「教授

たとえば…

全然仮の話なんですけど、お互いが同時に頭に思い描いたわけじゃなくて、片方が何かを思いついたとき、その思考があまりにも強いために、片方が引っ張られるという事は、考えられない事なんでしょうか?」



「すまない。

キミの言ってる事がよくわからないんだが」



「…

たとえば、真希の婚約者の男性についてなんですが…

当然の話なんですが、二人は愛し合い、結婚する事になったんです。

真希が彼のことを心から愛している事は、傍目で見ていてもよくわかります。


そんな彼女の強い思念が、僕に影響を及ぼす事は…

あり得る事なんでしょうか…」    



「すると、何かね。

キミは、真希ちゃんの婚約者に想いを寄せるようになったと?」


「はい…」


「…」


「予め言っておきたいんですが、僕は同性愛者ではありません。
過去に付き合っていた女性もいましたし、これまで男の人を好きになった事など一度もありませんでした。」


「それはよくわかっているよ。

キミらとは、生まれてからの付き合いだからね。

だが…」


田子浦は、そう言うと黙り込んでしまった。
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