Dad, save me

フロイライン

文字の大きさ
1 / 18

宣告

しおりを挟む
覚えてない。

何も覚えてない…
ここにどうやって来たか、記憶が全くない。


2015年10月7日水曜日
午後2時37分

俺は病名告知と余命宣告を受けた。

ガン…

ステージ4

半年生きられない…



まだ22歳だぞ、俺は…
なんで死ななきゃいけないんだ。

身寄りがいないからって、先生も一人で来た俺に、正直に全部話さなくてもいいじゃんかよ。

心の準備も出来てやしない。


検査結果を聞き、絶望感に包まれた俺は、精算機でお金を支払い、この大学病院を後にした。


自己紹介が遅れました。
もう別にどうでもいいんだけど…


俺の名前は高野昴

年齢はさっきも言ったけど22
今年就職したばかりの社会人一年生だ。

地方の大学を出て、就職でこの東京にやってきた。
元々両親は東京に住んでたらしいんだけど、父は俺が物心ついたときには亡くなっており、母も高校一年の時に病気で亡くなってしまった。

父の死因はよく知らないけど、俺みたいに若くして死んだことには変わりなく、母は俺と同じガンによって、その命を落とした。

こんな若くしてガンになるのは、やはりガン家系ってことなのか…、

母が亡くなった後は、母の両親
俺にとっては祖父母によって育てられた。

今も田舎で健在だ。

ってことは、ガン家系でもないか…

いやいや、そんな事はない。
母が三十代で俺が二十代

死ぬには早すぎるだろ…


「ハァ…」

俺は深いため息をつき、駅に向かってトボトボと歩き出した。

そのときである。

前方から歩いてくる中年男性と目が合った。


「…」


見たことある人だ…

でも、俺はそれどころじゃないのでその人のことを思い出すのをやめた。

俺はその人とすれ違い、通り過ぎようとしたのだが、その中年男は

「昴君」

と、俺の名前を呼んだのだ。

名前を呼ばれたのなら仕方ない

俺は顔を上げ、その男の方を見た。


「あっ」


「久しぶりだね。

私の事を覚えているかね?

山中だよ。」


「山中先生…」


声をかけてきたのは特亜大の山中教授だった。

詳しくは知らないけど、その道の権威なんだとか。

母が山中先生の研究室にいたことがあり、母が体の不調を訴えて入院した時も、この大学病院に入院できるように便宜を図ってくれたんだった。

「元気にしてたかい?

いや、この世の終わりのような顔をして歩いていたが、何かあった?」


「山中先生

今検査結果を聞いたんですが、僕…

ガンのようです。
それもステージⅣa…」


「えっ…」


山中教授は俺の言葉に驚いて絶句した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ナースコール

wawabubu
大衆娯楽
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

OLサラリーマン

廣瀬純七
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

月弥総合病院

僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

性転のへきれき

廣瀬純七
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

処理中です...