Dad, save me

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迅速診断

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診断結果が出たようだ。

部屋に入ると、親父しかおらず、俺と山中先生は、その向かい側に座った。

「すまんね。
時間外なもんで、専門外だが私から説明させてもらうよ。」

親父はそう言うと、俺の方をチラッと見た。

そして…



「まず、最初に所見を述べたいんだが…」



「…」

妙な緊張感があった。


「昴君

キミはガンではない。」


「えっ…」 


「複数の検査をした結果、癌は認められず、どこも異常はなかった。」


「ちょっと待ってください!

僕は、昨日、ステージⅣaの診断をされたんです。
膵臓がんです。

この時代の医療技術が遅れてて、見つけられなかったんじゃ…」


「失礼だな。

ちゃんと検査したさ。
キミがいた2015年がどれほど進歩していたのかは知らんが、癌かそうでないかくらいは、もっと昔でも容易に調べられたさ。」


「ですが…」


「たとえば、血液検査で膵臓の酵素や腫瘍マーカー値、ビリルビン値の動きをみることにより膵臓機能の異常、膵がんを発見できる。膵がんにより膵管が詰まると、膵管を流れている膵液がたまり、アミラーゼ、リパーゼ、エラスターゼなどの膵臓の酵素が血液中に出てくるんでね。

キミは、健康体だよ。

それだけは間違いない。」


親父は、淡々と衝撃の事実を俺たちに語った。



「ひょっとしたら、タイムトラベルで肉体の信号化と再構成化をした時に、何らかの変異が起きてしまったのかもしれない。

実際に体も女性化してるわけだし、そういうことが起きても何もおかしくない。」   


山中教授は、神妙な顔をしてそう語った。


「まあ、どちらにしても癌でなくてよかったじゃないか。」

親父にそう言われた俺は


「はい…

でも、なんか信じられない気分です。」


と、言うしかなかった。


癌じゃない…


そう診断されてしまえば、素人の俺が反論できるわけもなく…


山中教授と俺は、とりあえず帰るしかなかった。




「どちらにしても、本当に良かった。

ガンが消えたんだから。」


山中教授は、車に乗り込み、エンジンをかけながら俺に言った。



「先生、本当なんです。

昨日、俺は間違いなく末期癌だと診断を受けたんですよ。」



「ああ。
信じてるよ。

キミがガンだった事も、2015年から来たって事もね。

だが、癌が消えた事もまた事実なんだし、まさに、奇跡と呼んでもいい出来事なんじゃないか。」



「はい…」



「さあ、服を買いに行こう。
下着もな。」


山中教授はそう言うと、車を発進させた。
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