夫が女になって帰ってきた!

フロイライン

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こんなに感動した事はない

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岸田は、一人部屋で待機していたが、看護士の女性が呼びに来たので、一緒に出て移動した。


そして、しばらく待っていると、さっき生まれたばかりの赤ちゃんが自分の元に連れてこられた。


愛は、来なかった。


岸田は、恐る恐る覗き込むと、とても小さい我が子がそこにいた。



「心音が弱ってたからって帝王切開したのに、生まれてきたら全然元気なのよ。

何だったろうね、この子。」


看護士の女性は、そう言って笑うと、岸田に赤ちゃんを抱いてやるように言った。


岸田は、どうやって抱いたらいいか、どこを持てばいいのか、さっぱりわからず、戸惑いの色を見せたが、ベテラン看護士の助言を聞き、我が子を抱いた。


時間にして、ほんの数十秒のことだったが、岸田の人生で、一番感動した瞬間だと言っても過言ではなかった。

だが、同時に恐怖感もあり、早めに看護士に赤ちゃんを返した。

そして、臍の緒をもらい、家で干さなければならない等の指示をもらった岸田だったが、時間は、深夜三時を回っており、ここでお役御免となった。

裏口を開錠してもらい、一人外に出た彼は、ふと、空を見上げた。

東京の空とはいえ、その日は星がよく見えていた。

岸田は夜空を見上げ、しばらく無言で見つめ、その場で立ち尽くしていたが、ホッとした表情を浮かべ、また歩き出した。
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