夫が女になって帰ってきた!

フロイライン

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裏切り

「大体の話はわかったわ。

でも、心がやった事って、あまりにもひどくない?

私は何も知らずにずっとあなたのことを待っていたんだよ。」


「うん…酷いことをしたと思ってる。

本当にごめんなさい…」


「それで、これからの事だけど、私達は戸籍上はまだれっきとした夫婦だし、何の話もしていないわ。

私にとっては、寝耳に水の話で、あなたの話を聞いても、はい、そうですかって感じでは引き下がれない。

それについて、あなたはどう考えてる?」


「ワタシは…

後戻りするつもりであれば、去勢手術なんていう不可逆な行為はしなかったわ。

だから…

本当に申し訳ないんだけど、察して欲しい。」


心は、申し訳ないという言葉のわりには、きっぱりと愛を拒絶した。


愛は、ここに来てから、もう何度も何度もショックを受け、そして傷ついた。


「心、私…
こんな話だけでは、全然納得できないし、あなたと別れるっていう選択肢はないわ。」


「うん…」


「お母さんのこともあるし、明日の朝イチの新幹線で帰らなきゃなんないの…

ねえ、心

家に一度帰ってきて。
ちゃんと話がしたいから。」

愛は、少しイラついた言葉遣いで、心に言った。


「うん。わかった…」


「それじゃあ、行くわ。

悪いけど、新しい携帯の電話番号を教えといてくれる?」


「あ、うん…」


心は慌てて携帯をバックから出し、まだ覚えていない自分の新しい電話番号を愛に伝えた。


愛は自分の携帯に登録を済ませると、鞄を持ち立ち上がった。

「本当にちゃんと帰ってきてね。
もっと話をしないとダメだから。

それについては信じてるから。」

愛は、もう一度心に念押しすると、玄関に行き、靴を履いた。


「あ、愛」

心も立ち上がり、慌てて愛の背中越しに声をかけた。


「ん?」


「今日、どこに泊まるの?」


「まだ何も決めてない。

今日、心がここにいるのか、いないのか、いないとしたら何時に帰ってくるかもわからなかったし…

でも、そんなに待たずに会えてよかったわ。」

愛は、ここで初めて、少しだけ笑顔をを見せた。



「あの、よかったら、ウチに泊まっていきなよ。」


「えっ…」


思いもよらぬ心の提案だった。


こんな事をして申し訳ないという気持ちと、去ろうとする愛の背中があまりにも悲しそうだったから、心は衝動的に声をかけたのだった。


「いいの?…」


「もちろん…

東京は、予約してないとなかなか取れないと思うし、ホテル…」


「ありがとう…

じゃあ、お言葉に甘えていいかな」


心の厚意を受けた理由…

それは、愛の中に、まだ心への愛情が残っていたからに他ならなかった。
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