夫が女になって帰ってきた!

フロイライン

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誘惑

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心は、愛を送り出すと、家事におけるいつものルーティンをこなし、美都子の待つ病院に向かった。

奇跡的に体が良くなり、退院が決まった美都子は上機嫌で心を迎えた。


「ココ、待ってたわよ。」


「ごめんね、遅くなって。」


「ん?
アンタ、どうしたの?

今日はいつもと感じが違うわね。」


「えっ、何が?」


「化粧のノリが良いっていうか、服装だってオシャレだし…」


「えっ、わかってくれたんだ。
嬉しい。」


心は、少し頬を赤らめて言うと、このあと、買物に行く事を告げた。


「へえ、そうなの?

買物にねえ」


「うん。
せっかくだし、その後、どこかでご飯食べて帰ろうかなって。
愛ちゃんも今日は晩ごはんが要らないから。」


「そうよ。
あの子のご飯をココが作る必要なんてないわ。

もっと人生を楽しまなきゃ。」


「ダメよ、そんなの。
愛ちゃんは私の代わりに働いてくれて、沢山お給料を貰ってるんだから。
ワタシが出来ることって言ったら、彼女が気持ち良く働ける環境を作ることくらいなの。」


「ごめんね。
私の世話だって、アンタに任せっきりになってて…」


「これがあったから、お義母さんと仲良くなれたしね。

ここへ来れて本当によかったわ。」


「ありがとう、ココ。
本当だったら娘の旦那さんにこんなワガママ言えないものね。

この二人きりの空間自体が気まずくて仕方ないだろうなって思うわ。」


「ホントにそうよね。

それどころか、二人きりで温泉旅行の計画まで立てて。」


「笑っちゃうよね。


ありがとう…
あなたがいてくれたからよ、
ココが来てくれてから、全部が上手く回るようになっていったと思う。
ワタシにとってココは、命の恩人であり、可愛い可愛いお嫁さんよ。」


「もう、やめて。

泣いちゃうから。」


心は、そう言って、笑いながら号泣した。

それを見て美都子も泣き出したのだが。



ひとしきり泣き、落ち着いてくると、美都子は財布を出してきて、お金を心に渡した。


「えっ、何?」


「少ないけど、晩御飯の足しにでもして。」


「ダメよ。こんなに…」



「いいのよ。
アンタの事だから、愛に遠慮して、日頃から自分のためにお金を使ったりしていないんでしょ?」


「それは…」


「いいから。
ほんの気持ちだから、ね?」

美都子は、強引に心の手にお金を握らせると、ニコッと笑った。
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