夫が女になって帰ってきた!

フロイライン

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美都子

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美都子は今年五十になる。

夫は、愛が小さい時に亡くなり、以来、女手一つで娘を育ててきた。
幸い、夫の残した遺産や、生命保険で、生活に困る事なく、母子家庭でありながら、愛には何一つ不自由な思いをさせる事なく、大学まで行かせた。

娘が結婚し、ようやく肩の荷が下り、自分の時間を持てると思った途端に体調を崩して入院、以来三年余りの間、入退院を繰り返し、病状は一向に改善されなかった。

そんな中、娘の夫である心が、あろう事か、性転換して女となって自身の目の前に現れた。
実に三年ぶりに。

美都子は、激しい怒りを感じたが、元々心の事が大好きだった事もあり、すぐにそんな悪い感情は消え、また、心の献身的な看病と優しさを受け、考えが変わってしまったのだった。

許すどころか、すっかり意気投合した二人は、病院でも互いに気を遣う事なく、本音で接する事が出来たのだった。

美都子も心が来てくれるのを楽しみに待つようになり、その頃から病状が改善され始めたのだった。

医師も首を傾げるほどの回復を見せた美都子は、今日、久しぶりに病院を出て、家に戻ってきた。

今回の退院が、前回までと違うのは、再入院する可能性が極めて低いという事だ。
それほど、美都子の体調が良くなったという事を表していたのだった。



「お義母さん」


「ん?」


「今日は、愛ちゃん、帰るの遅くなるみたいだから、先にご飯食べといてって言われてるの。

って言っても、フツーの時でも帰ってくるのはそんなに早くはないんだけど。」


「そうなのね。」


「ワタシが働けないばかりに、本当に申し訳ないわ。」



「何言ってんのよ。
ココは私の面倒を見てくれてるし、家事だって完璧にこなしてるじゃない。

愛なんて家事嫌いだったし、きっと手抜きしまくっていたに違いないわ。」


「そんな事ないよ。
ご飯も美味しかったし、家も綺麗にしてたわよ。」


「いや、病院に持ってきてくれたお弁当一つ見ても、ココの方が料理の腕前は一枚も二枚も上よ。

さすがね。」


「ねえ、お義母さん。」


「なあに?」


「お義母さんに料理を教えてほしい。」


「私に?」


「うん。」


「私も大して上手ではないわよ。

でも、私でよかったら。」


「やった。
嬉しい。」


「もう、大袈裟なのはアンタの方じゃないの。」


「大袈裟じゃないよ。
ホントに嬉しいの。

さあ、ご飯の用意するね。

お粥と煮物を作るね。」


「ごめんね、ココ

もう少ししたらフツーの食事でいいって言われてるから、あと少しだけ待ってね。」


「そんなの気にしないで。
ワタシらの間に遠慮はナシだよ。」


心はそう言って、キッチンに入っていった。
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