夫が女になって帰ってきた!

フロイライン

文字の大きさ
87 / 469

美都子

美都子は今年五十になる。

夫は、愛が小さい時に亡くなり、以来、女手一つで娘を育ててきた。
幸い、夫の残した遺産や、生命保険で、生活に困る事なく、母子家庭でありながら、愛には何一つ不自由な思いをさせる事なく、大学まで行かせた。

娘が結婚し、ようやく肩の荷が下り、自分の時間を持てると思った途端に体調を崩して入院、以来三年余りの間、入退院を繰り返し、病状は一向に改善されなかった。

そんな中、娘の夫である心が、あろう事か、性転換して女となって自身の目の前に現れた。
実に三年ぶりに。

美都子は、激しい怒りを感じたが、元々心の事が大好きだった事もあり、すぐにそんな悪い感情は消え、また、心の献身的な看病と優しさを受け、考えが変わってしまったのだった。

許すどころか、すっかり意気投合した二人は、病院でも互いに気を遣う事なく、本音で接する事が出来たのだった。

美都子も心が来てくれるのを楽しみに待つようになり、その頃から病状が改善され始めたのだった。

医師も首を傾げるほどの回復を見せた美都子は、今日、久しぶりに病院を出て、家に戻ってきた。

今回の退院が、前回までと違うのは、再入院する可能性が極めて低いという事だ。
それほど、美都子の体調が良くなったという事を表していたのだった。



「お義母さん」


「ん?」


「今日は、愛ちゃん、帰るの遅くなるみたいだから、先にご飯食べといてって言われてるの。

って言っても、フツーの時でも帰ってくるのはそんなに早くはないんだけど。」


「そうなのね。」


「ワタシが働けないばかりに、本当に申し訳ないわ。」



「何言ってんのよ。
ココは私の面倒を見てくれてるし、家事だって完璧にこなしてるじゃない。

愛なんて家事嫌いだったし、きっと手抜きしまくっていたに違いないわ。」


「そんな事ないよ。
ご飯も美味しかったし、家も綺麗にしてたわよ。」


「いや、病院に持ってきてくれたお弁当一つ見ても、ココの方が料理の腕前は一枚も二枚も上よ。

さすがね。」


「ねえ、お義母さん。」


「なあに?」


「お義母さんに料理を教えてほしい。」


「私に?」


「うん。」


「私も大して上手ではないわよ。

でも、私でよかったら。」


「やった。
嬉しい。」


「もう、大袈裟なのはアンタの方じゃないの。」


「大袈裟じゃないよ。
ホントに嬉しいの。

さあ、ご飯の用意するね。

お粥と煮物を作るね。」


「ごめんね、ココ

もう少ししたらフツーの食事でいいって言われてるから、あと少しだけ待ってね。」


「そんなの気にしないで。
ワタシらの間に遠慮はナシだよ。」


心はそう言って、キッチンに入っていった。
感想 2

あなたにおすすめの小説

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

秘書と社長の秘密

廣瀬純七
大衆娯楽
社内の調査のため、社長・高橋健一はこっそり秘書・木村由紀と不思議なアプリで入れ替わることに。 突然“社長役”を任された由紀と、自由に動ける立場を手に入れた高橋。 ふたりの秘密の入れ替わり作戦は、どの様な結末になるのか?

熟女教師に何度も迫られて…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
二度と味わえない体験をした実話中心のショート・ショート集です

OLサラリーマン

廣瀬純七
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

性転のへきれき

廣瀬純七
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

ストレンジ&デイズ

廣瀬純七
青春
ある朝、高校生の男女が入れ替わる不思議なお話。