ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

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大阪抗争編

欺瞞


「マズいことになりましたね…」 

タクシーの中で多喜がポツリと呟いた。 

「綾香は安全な場所にいるみたいだから 
少しは安心したけど… あの人に知れたら 
私もあなたもタダじゃ済まないわね…」 

亮輔もかなり困惑した表情で多喜に言った。 

「もし… 社長にバレたら、俺が一人でやったことにしますから、心配しないで下さい。」 

「ダメよ。多喜は私が綾香じゃないってことを知らない事になってるのよ。」 

「いえ、社長は既に専務が俺に正体をバラしてることに気付いてるはず。 
それを見越して俺をこっちに引っ張ってきたんだと思いますよ。」 

「それはあり得る話だけど…」 

「とにかくホテルに戻りましょう。社長が全てを見越せているなら、この先の展開もきっと考えているはずです。」 

多喜は敢えて楽観論を唱えて 
亮輔を安心させようとした。 

二人はホテルにチェックインした後、シャワーを浴び、多村と合流すべく北新地にあるステーキハウスに向かった。 

「専務、俺…顔が腫れてますよね?」 

「そうね。」 

「これじゃあ、社長に即バレしちゃいますよ…」 


「まあ、こうなったらなるようになれよ!」 

今度は亮輔が多喜を励ました。店に着いた二人は、既に立正会の幹部と奥に陣取っている多村を見つけ、少しビクつきながら近づいていった。 

多村は既に酒が入ってるようで、機嫌良くペラペラと喋っていたが、二人を視界に捉えると、話すのを止めてこちらに顔を向けた。 

「お疲れ様です!」 

多喜が深々と頭を下げると、多村はニヤリと笑って言った。 

「綾香救出作戦に失敗した御両人じゃねえか~」 

二人はビクッとして顔を見合わせた。 

「俺が何も知らないとでも思ってたのか?」 

「す、すいませんでした!」 

多喜はさらに深く頭を下げた。 

「まあ、言いたいことはあるが、今は咎めないでいてやる。 
それに、お前らの行動はある程度折り込み済みだ」

多村の言葉に、隣りに座っている立正会の男が頷いた。 

「あんたらの解放がもうちょい遅れとったら 
一気に実力行使に出ようと思てたんやけど… 
そしたら、今頃ここで肉なんかのんびり食うてられへんとこやったんやで。」 

その言葉で、亮輔は多村の企みを全て理解し、愕然とした。
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