ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

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代理戦争編

厳戒

亮輔は大西に連れられて、三宮に移動し、繁華街の中にある雑居ビルを訪れていた。

大西は四階で降りてすぐの正面にあるドアを開けた。

「すいません」

大西が中を覗き込みながら言うと、奥から男が出てきた。
見たところ四十くらいで、身なりも小綺麗にしている。

「ようこそお越し下さいました。
さあ、どうぞ」

ただし、男の目つきはヤクザの亮輔から見ても鋭く、かけている眼鏡は少しでも眼光を抑えるためのものとしか思えなかった。


「突然お邪魔してすみません。
ハーバー開発の杉山さんのご紹介でこちらに来ました大西といいます。
隣にいるのが松山です。」

大西と亮輔が頭を下げると、男はソファーに腰掛けるように二人に促し、自らも向かい側に座った。

そして、名刺を取り出すと

「はじめまして、ここで弁護士をしています鷹村です。」

と、言って頭を下げた。

「あの、我々がここに来た理由は…」


「ええ、杉山さんからお聞きしていますよ。
大変みたいですねえ、大阪の方は」


「はい。下手をすると大きな抗争に発展するかもしれません。
だから、自分と、この松山は何としてでもそうなる事を防ぎたくて…」


「大きな抗争になんて発展しません。」


「えっ?」

鷹村の言葉に、大西も亮輔も顔を上げた。

「ですから、抗争にまでは発展しませんよ。
そうなる前に多村さんには悪いが、刑務所に入っていただく。」


「いや、それが出来たらこんなに苦労は…」

亮輔は思わず横から口を挟んだ。


「多村さんは警察に引退届を出したと聞いていますが、実際は三宅組を掌握し、大阪の地で不法行為を繰り返しています。
いくらヤクザの世界の中の事とはいえ、そのような義を軽んじるような生き方は、決して許されるものではありません。」


「では、垂水組が直接…」


「いえ、垂水組は一切介入はしませんよ。」

「…」

「多村さんを止めるのはあなた方です。」

「えっ」

「多村さんを考え得るありとあらゆる罪で警察に突き出すのは私共の役目ですし、沢木組の庄山組長や他の組員を守るのもまた、こちらの役目だと心得ています。

しかし、多村さんを止めて、その後どうするかは元構成員のあなた方の仕事ですよ。

勿論、そのお手伝いをする努力は惜しみませんが。」


「わかりました。
自分にも亮輔にもオヤジを止められなかった責任がありますので、自分らでやります。
申し訳ないですが、その他のサポートの方をよろしくお願いします。」


「ええ。勿論ですよ。

こちらの調べでは、多村さんはキムという男に多額の金を渡し、外人で構成された暗殺チームを大阪に呼び寄せたようです。」


「えっ、キムが!」

大西と亮輔は聞き覚えのあるその名前に反応し、顔を見合わせた。

「その暗殺チームが動き出すと、多村さんは何処かに身を隠す事でしょう。

私共は潜伏先を見つけ出すお手伝いは致します」


「ありがとうございます…

あの、鷹村先生…」

大西は席を立ちかけたが、また座り直し、話を続けた。
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